アグリバイオ最新情報【2014年5月31日】のハイライト
ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

5月のハイライト

 4月末に週刊文春の2週にわたる反組換えの記事に対する反論を日経バイテクに書いたところである。にもかかわらず、さらに2週にわたり同様の科学的根拠のない記事を堂々と載せるとは全くあきれたことである。しかも私の文芸春秋社への質問は全く無視され、返事も来ていない。このようなメディアは、いずれ消滅することだろう。

 さて、5月のニュースでは、前欧州連合(EU)委員Franz Fischler氏が、遺伝子組換え(GM)ダイズの輸入を停止するとヨーロッパの鶏卵生産者にとって大損害になると述べたことを先ず挙げたい。同氏は、出身母体のオーストリアでこの発言をしている。そのまま引用すると「遺伝子組換えダイズ製品を輸入できなければ、ヨーロッパで我々は、鶏卵生産を停止しなければならいことは明白である。このことは絶対的に明らかである。他に何かがあると思うのは幻想である」と発言している。このような人物が日本の行政や政治家にいないのは残念なことである。

 米国農業科学・技術会議(CAST)がGEの食品表示についてのより良いコミュニケーションを呼びかけている。彼らは、立法者と消費者は、独立したより客観的な情報を提供し、対立的な議論からより事実に基づいたしかも意味のある議論へと、国を挙げた論議を進めることを促している。日本のように感情論あるいは、科学が理解できない票集めの発言ばかりが取り上げられるようでは、その行く末が心配である。

 気象変動への農業の果たす役割が多く論じられているのも今月の特徴である。特に窒素肥料の適正な管理が重要だと、米国の気象問題協会およびカリフォルニア州環境協会の2つのコンサルティング会社から発表された。このためには遺伝子組換えは必須である。時間もないし、安全に進めることの重要性は傾聴しなければならない。

 アイオワ州立大学( ISU )のエンジニアと植物学者が、糾合して気象変動に耐え、高い収量を生産し、より多くの人々を養う良い作物を設計するためのチームを創生したことにも注目したい。学長裁量の経費ではじめたとのことであるが、すばらしい学際研究グループの成果が期待できそうである。

世界

気象変動の研究によると遺伝子組換え技術は窒素肥料の管理に役立つとしている
遺伝子組換え作物は、環境と農業生産者に恩恵をもたらし続けている
世界の種子市場は、2018年に533億2000万米ドルに達すると予想
ISAAAは、2013年に遺伝子組換え作物の導入に関するインフォマーシャルを発行

アフリカ

ナイジェリア科学・技術担当大臣は、生物学的安全法(Biosafety Law)の必要性を認めた
ケニアのバイオテクノロジー関係者は、遺伝子組換え(GM)食品の輸入を解禁するための作業部会を立ち上げるように要望した
ザンビアのワタ協議会は、GMワタ導入を呼びかけている
エジプトでの遺伝子組換え作物の利点に関する議論

南北アメリカ

米国農業科学・技術会議(CAST)が遺伝子組換え(GE)食品表示に関する報告を出した
賢い(SMART)植物を開発するエンジニア、植物学者チーム創生発足
2つのBT遺伝子を持つ遺伝子組換え(GM)ダイズDAS81419-2が米国で規制緩和された
遺伝子組換えアメリカ栗が胴枯れ病に中程度の抵抗性を示した
カナダの農業生産者がリスト化されてトウモロコシを利用できるようになった

アジア・太平洋

イランが害虫抵抗性イネとワタの圃場試験を開始
ベトナムThai Nguyen省で農業生産者が遺伝子組換え作物について説明を受けた
フィリピン作物科学者が気象変動への適応技術を議論

ヨーロッパ

Fischler氏曰く:ヨーロッパの鶏卵生産には遺伝子組換え(GM)ダイズが不可欠
タバコ会社は、バイオテクノロジーを頼りにしている

文献備忘録

ISAAAは、バイオテックブックレット第二弾を発行
窒素をより効果的に用いる遺伝子組換え作物に関する新しいポケットK を発行

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2014年5月31日】

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https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140615/176992/