個人向け(Direct to Consumer)の遺伝子検査サービスに対する注目が高まっています。インターネットや医療機関を介して、利用者の唾液などからSNPを解析。太りやすさや耳垢のタイプといった体質や、動脈硬化や骨粗鬆症などの疾患易罹患性を判定するというものです。

 DTCサービスを手掛ける各社は、論文などを基にアルゴリズムを開発し、利用者の判定根拠としているわけですが、中には欧米人だけを対象とした研究論文に基づいて判定を行っていたり、細胞レベルの研究論文しかなかったりと根拠薄弱なものも少なくありません。先ごろ、経済産業省が音頭を取って、DTCサービスの課題が洗い出されました。

経産省、遺伝子検査ビジネスに関する論点を4月末にも公表へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140424/175628/
経産省が遺伝子検査ビジネスで事業者の努力促す報告書
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140507/175900/

 と、ここまではDTCサービスの利用者に向けて、サービスの質向上を図ろうという取り組みであり、「正直自分には関係ない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ただ最近、こうしたDTCサービスで蓄積した解析データを、さらに創薬などの研究に利用しようと考える企業が出てきているのです。

ジーンクエスト、30万カ所のSNPを解析、将来は研究利用も
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140425/175683/
ヤフーが始めるゲノム解析サービス、将来は創薬応用も
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140512/176021/
サインポスト、Illumina社のチップ使い遺伝子検査サービスを刷新へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140512/176096/

 具体的な取り組みはこれからですが、創薬標的の探索や被検者の登録に、こうした解析データが生かせるのではないかと構想する企業もあります。「製薬企業などは疾患患者のデータベースなどを既に有しており、DTCサービスの解析データなど活用するわけがない」という、否定的な意見もあるのも確かなのですが、一方でゲノムデータに加え、日々の健康関連データ(活動量、食事、睡眠、バイタル)などを蓄積できれば、何らかの新しい取り組みにつながる可能性もあります。

 研究利用を考える企業が出てきた背景には、既製のチップなど低価格で相当数のSNPを網羅的に解析できるようになったことが挙げられます。ただ、解析データの再利用には新たな課題も見えてきました。5月26日発行の日経バイオテクでは、DTCサービスの今とこれからを展望します。ぜひお読みください。