つい先ほどまで、STAP細胞の論文について、理化学研究所が開催した中間報告の記者会見を取材していました。14時からの記者会見にもかかわらず、12時半には会場はカメラクルーや記者であふれかえり、用意された100席近い席はすべて一杯。テレビや新聞は、論文発表時に大々的に報じてしまったからなのか、メディアの関心の異常な高さがうかがえました。

 中間報告はというと、結論から言えば、これまでの調査で「明確なねつ造」は認められておらず、何も前に進んでいない印象です。疑念が示されていた酸処理2日後と3日後のSTAP細胞の写真の不自然さについては「不正は認められない」と結論され、2枚のマウスの胎児の胎盤部分の画像が酷似していることについては、同じマウスではあったものの、不要な写真を取り忘れた「単なるミス」と認められました。

 また、リンパ球のT細胞受容体遺伝子のPCR産物の電気泳動の画像に手を加えた跡があることについては、別のレーンの画像を切り貼りしたことが明らかになったものの、それが不正に当たるかどうかは調査を継続中。核型分析の方法の記述が、過去の他研究者の論文を無断で引用しているという指摘には、小保方晴子研究ユニットリーダー(RUL)が「どこから引用したかよく覚えていない」としているということです。

 最も大きな疑惑であった、博士論文の画像が流用されているのではと考えられるテラトーマの免疫染色の画像については、小保方RUL自身「誤って使ってしまった」と説明しているにとどまり、「故意であるかどうか、不正に当たるかどうかは、今後の調査対象となる」(調査委員会の理研の石井俊輔上席研究員)予定です。

 ちなみに、この流用疑惑については石井上席研究員が、「こうした取違いは客観的に見てかなりレアケース」と発言し、通常は考えられないと指摘していますが…。とはいえ繰り返しになりますが、あらゆる疑惑について、「明確なねつ造」は認められないのが現状なのです。

 では、STAP細胞は本当にあったのか――。世間が抱くこの最大の疑問点について中間報告では、出席者が「第三者による再現実験などで証明してもらうしかない」と口を揃えていました。そもそも、「調査委員会は不正があったかどうかを調べるのが仕事であり、T細胞受容体遺伝子の再構成に関する矛盾点など、科学的な疑義については調査対象ではない」(石井上席研究員)そうです。

 もっとも、電気泳動の画像の切り貼りや、論文の無断引用などは認められたことから、論文は撤回されることになりそうです。既に小保方RULはじめ、理研の3人も撤回に同意しており、残る共著者の意向を踏まえて、論文は撤回される方向といいます。このまま行くと、ねつ造と考えられる明確な証拠がないままに、論文やプロトコルが撤回され、STAP細胞の実在性は藪の中という事態になりかねません。残るのは、「結局、STAP細胞って何だったんだろう…」という空気だけという可能性も。

 日本分子生物学会も要望していますが、理研には、不正やねつ造の有無の調査もさることながら、STAP現象を検証するための生データの提供や細胞、組織の提供をいち早く検討してもらいたいところです。