皆さん、お元気ですか。

 現在、理研神戸研究所を取材、博多に移動中です。こちらはSTAP細胞の論文疑惑事件と追試できない事件、そして本日、東京では武田薬品の降圧剤に対する臨床試験に対する利益相反疑惑で当初予定されていた記者懇談会を止めて、緊急釈明会見が設定されています。日本中科学に絡んだスキャンダルだらけ。いい加減にしろとも言いたくもなりますが、この背景には科学がこの20年間に急速にビジネス化され、社会に対するインパクトが拡大して事実があります。10数年前には、追試できないからといってここまでの騒ぎにはならなかったのではないでしょうか? 「追試できなくては放っておいても消えるだけ」という態度が一般的でした。しかし、アベノミクスの第3矢に医療イノベーションが真面目に取り上げられるほど、期待が大きければ、それだけ大きな責任が追及されます。こうした社会の付託に、わが国の大学や研究機関のアカデミアが対応できるのか? 頭でっかちの先生ばかりの大学や研究機関には毛頭期待することはできません。土台無理な期待の幻想を社会に抱かせるだけでは、社会の落胆を深くするだけです。アカデミアには社会とコミュニケートする能力が無いことを認め、企業から科学至上主義に染まっていない普通のまっとうな社会人を採用、社会とのインターフェースを形成しなくては、社会と科学の軋轢は増し、相互不信が情勢されるだけです。その時、アカデミアが自分たちのスポンサーが、浮気な国民からいただいた税金であることに気付いたとしても、時既に遅しと言わざるを得ません。わが国の科学は深刻な状況に直面していることを認識しなくてはなりません。

 まずはセミナーのご案内から、3月7日から8日、京都で実は再生医療の実用化の鍵を握る標準化や規制を国際的に議論するシンポジウムが開催されます。再生医療を商業化しようという関係者には必見のシンポジウムです。世界動向とわが国の規制や標準化を把握する最高の機会です。詳細を下記からアクセスのうえ、どうぞご参加願います。
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●STAP問題に関連Wmの憂鬱コラム記事一覧
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140217/174224/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140130/173630/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140218/174251/

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 さてバイオです。

 今日は速報を二本。

 第1は残念ながらアステラス製薬の戦略方針の転換による感染症領域からの撤退を受け、イーベックとの感染症抗体医薬の共同開発契約が終了した模様です。フェーズI直前まで完全なデータがイーベックに返還されました。これは感染症領域に参入しようという企業にとってまたとないチャンスとなるでしょう。

 第2は、本日取材した理研の広報は否定も肯定もいたしませんでしたが、近くSTAP細胞の詳細なプロトコールをウェブなどで公開する準備が理化学研究所発生・再生科学総合研究センター内で検討が進んでいることが明らかになりました。STAP細胞の追試を積極的に研究所外に働きかける動きが始まったのです。

 これが公表されればSTAP細胞の追試の機会が拡大するため一歩前進といえるでしょう。革新的な研究は追試が困難である場合が多く、手法を独り占めにして研究を進め、研究成果も独り占めしようという態度は、追試できないという疑惑を深め、研究そのものの信頼性を損なう可能性すらあるのです。前のメールでも何回も叫んで参りましたが、理化学研究所がこの研究は正しいといくら主張しても、説得力を欠きます。早急に第三者の追試を可能とする条件整備を進める必要があるのです。何故なら、こうすればSTAP細胞は出来ると論文には書けますが、こうすると出来ないというノウハウを論文に書き込むスペースがないためです。科学論文の構造的欠陥ともいえるでしょう。この欠陥を利用して、いかにライバルとの間に水を空けるかという姑息な戦いが行われているのも事実なのです。科学者は生身の人間です。細胞の処理、処理する細胞の選択、初期化した後の培養など、STAP細胞樹立のノウハウは山のようにあるはずです。実際は小保方さんも気がついていないかも知れないノウハウ(暗黙知)を顕在化させるか、理研は地味ですが重要な戦いを勧めなくてはなりません。

 最悪なのは、今の理研のように、全員が貝のように押し黙ることです。論文の図転用問題と、STAP細胞の樹立の問題は、一秒を争って分離しなくてはなりません。そうでないと、既に始まっていますが、図の取り違えやコピペ(引用忘れ)などの杜撰さが、研究の結果の信頼性をじわじわと蚕食してしまい。最後にはこんな杜撰な論文を書いたのだから、結果も信頼できないというみそもくそも一緒くたに捨て去るというまったく非科学的な結論にならないと限らないためです。

 科学は自由な討論の下に健全に発展します。理研は貝になるよりも、大いにデータを公開し、社会の疑惑に反論すべきです。昨日の京都大学iPS細胞研究所長の山中先生が組み換えネズミの杜撰な管理に関してすぱっと謝ったように、是々非々で対応願いたい。

 理研のデータとノウハウ公開の方針は、従来の図の取り違えに加えて、昨日、論文のマテリアル&メソッドでコピペが発覚、引用を忘れていたことが判明したための対応ではありません。論文発表当初から、追試が難しいということで所内で検討が進められていたものです。記者会見の時、こうした対応もパッケージで発表していれば、今のような短兵急で余計な疑惑にSTAP細胞が翻弄されることも少なかっただろうと思います。

 本日理研の広報を取材した結果、今回の騒動の根本の原因は、理研のプレス発表の作成プロセスを逸脱した一枚の補足資料にあることが判明しました。詳細は木曜日のメールでお伝えいたします。STAP細胞だけの問題でなく、大学や研究機関に新たに求められている広報のあり方も大きな問題として浮き上がってきました。まったく、わが国の科学者と科学を支援する体制は未熟でありました。

 本日もどうぞ皆さん、お元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

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