ソチオリンピックのジャンプ団体で銅メダルを獲得した竹内択選手が、免疫疾患であるチャーグ・ストラウス症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎)に罹患していたことを明らかにしました。日本における年間新規発症数は100例、治療を受けているのは1800人程度といわれる希少疾患です。
http://www2.nanbyou.or.jp/46_B.html
http://www.nanbyou.or.jp/entry/208

 「結果を残してから公表したかった。同じ病気で苦しんでいる人に元気を届けたいという思いも込めて飛んだ」という言葉は感動的でした。

 折しも2月14日、GlaxoSmithKline社が、チャーグ・ストラウス症候群を対象にしたmepolizumabのフェーズIII試験を開始したと発表しました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140219/174257/

 mepolizumabは抗IL5ヒト化モノクローナル抗体で、チャーグ・ストラウス症候群の他に好酸球性の喘息などを対象にした開発も進められています。このフェーズIII試験は、米国立アレルギー・感染症研究所との合意に基づいて行われるもので、希少疾患用医薬品開発における官民協力の例となると期待されています。

 そして2月の最終日は「世界希少・難治性疾患の日」です。
http://www.rarediseaseday.jp/

 これは希少・難治性疾患の認知度向上を目的に2008年にスウェーデンで始まったもので、日本でも2010年からイベントが開催されています。今年も2月28日に日本各地でRare Disease Day 2014が、東京では丸の内オアゾで患者さんとの交流や学生共同企画、展示などが行われます。
http://www.rarediseaseday.jp/download/data/RDD2014_A4_ver2.pdf

 昨年のイベントには企業や大学の研究者も参加し、希少疾患に対する研究へのモチベーションが上がったという声も聞かれたそうです。

 日経バイオテクでも昨年12月に、「希少疾患・難病の治療薬開発におけるゲノムの活用」というセミナーを開催し、多くの開発・研究者の方々にご参加いただきました。これまでは限定的な売上しか見込めないとして、製薬企業は希少疾患治療薬の開発に及び腰のところがありましたが、グローバルな展開や適応拡大を図れば決して小さなビジネスではないという認識が広がり、開発に積極的に取り組もうとする動きが出てきています。それ以上に、希少疾患には深刻なものが多く、治療法開発への社会的な要請が高いという背景があります。

 しかしながら、開発には通常の大型新薬と同等のデータが必要である一方、患者数が少ないという大きなハードルがあるのは事実です。また、承認までこぎ着けても高い製造原価に見合う薬価が付くかという問題もあります。これに対して日本では、希少疾病用医薬品としての指定を受ければ再審査機関が10年に延長されたり、税制上の優遇を受けられるなどの行政的な支援がありますが、Patient Registryやバイオバンクの整備が、これからの開発のカギになるのではないでしょうか。

                      日経バイオテク編集長 関本克宏

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https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/