2013年のバイオベンチャーの新規上場数は2000年以降で最多の5社。上場総数は30社を超え、ようやくセクターらしきものが形作られてきた。年初には4000億円に満たなかった時価総額は年末に1兆3000億円と3倍以上に増加。新規上場企業を除いた既存バイオベンチャーだけでも2.7倍と、東証1部時価総額増加率1.5倍を大きく上回った。

 注意しないといけないのは、バイオ株を始めとする新興銘柄の株価はボラティリティー(変動率)が大きいため、下がる局面では市場平均を上回る下落率を覚悟しないといけないこと。また、ファンダメンタルズ(基礎的条件)は企業ごとに異なるため、本来は上昇銘柄群と下落銘柄群に分かれるはずであるにもかかわらず、昨年はほぼ全銘柄が上昇した。つまり、モメンタム(勢い)に乗りやすいことだ。

 バイオベンチャーのファンダメンタルズとは開発パイプラインの進捗と数を指す。これが停滞あるいは後退し、新たな提携契約も結べないのに株価が上昇する銘柄は、モメンタムの向きが変われば下落に転じるリスクがある。逆に、負のメモンタムに逆らって上昇する企業の価値は見掛け以上に高い。

 業績修正発表も投資家を惑わす。企業は利益計画が30%以上、振れると判断した場合、修正する義務がある。一般に、契約金やマイルストーン収入が主体の創薬ベンチャーの業績は変動しやすい。ただ、修正するのはあくまでも、現在進行している決算期の数字の話。提携交渉の成立や創薬ステージの進展がたまたま、決算月を超えるだけのこと。

 バイオ株業績は中長期の目線で見る必要がある。売上高と利益が日常的に計上されるような業種を見るのと同じ指標、たとえばPERなどで評価すべきではなく、パイプラインのステージアップを目標に売買する方法をお勧めする。

 弊社では、業績の下方修正よりもパイプラインの毀損や枯渇を悪材料に、上方修正よりもパイプラインの進展や充足を好材料と見ている。生命線となる開発費などの先行投資を減らせば、上方修正は簡単だからだ。昨年は多くのバイオベンチャーが資金調達によって、手元流動性を潤沢にしており、今年は開発投資を積み増すものと見られる。このため、見かけの業績が悪化する可能性があり、業績からファンダメンタルズを判定しにくくなるだろう。なお、長期間、提携や進展が見られないプロジェクトにはそれなりの理由が存在すると考えており、適切な開示がなければ悪材料となる。

 個人投資家が70%を占めるバイオベンチャー。業績修正を含むニュースや材料、話題によって株価は浮き沈む。ボラティリティーがあってこそ投資のチャンスが生まれると考えると、情報を色分けするアナリストの役割は高くなると信じている。