日本バイオの見直しが進んでいる。日本バイオの評価といえる上場バイオ企業の時価総額(株価×発行済株式数)合計値は、2013年は年初の約4,100億円から年末には約1兆4,500億円となった。約3.5倍の上昇である。参考までに、10年は6.6%の上昇、11年は9.7%の減少、12年は88.8%の上昇である。

 12年10月8日に京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したことをきっかけに始まった日本バイオの見直しだが、13年のけん引役は、安倍政権の政策であった。安倍首相は、「健康長寿社会の実現」を成長戦略の柱の1つとし、これをiPS細胞を用いた再生医療など日本発の革新的な医療技術の実用化スピードを速めることで実現する考えを明らかにした。13年に実施したことは、法案の整備である。iPS細胞を用いた再生医療を世界のどこよりも早く実現するために薬事法改正法案と再生医療安全性確保法を秋の臨時国会で可決・成立させた。薬事法改正法案は、「再生医療等製品」を独立したカテゴリーとして医薬品や医療機器と区分して扱い、臨床試験を短縮する早期承認制度が創設された。

 2014年の最大の注目点は、14年春頃と予想される早期承認制度の具体的な内容の発表であろう。条件・期限付きで承認される再生医療等製品が保険適用になるかどうかは現在、議論が進められているが、先進医療と同じく、保険診療と保険外診療の併用(いわゆる混合診療)となる可能性もある。みずほ証券は保険適用すべきと考えるが、保険適用と決まった場合は、異業種を含めて日本の再生医療分野へ参入ラッシュが起きる可能性があると予想する。

 みずほ証券のバイオ担当アナリストである私の国内外の投資家へのプレゼン(電話会議含む)件数は大幅に増加し、13年は前年比3倍強となった感覚だ。これまでほとんど日本バイオに関心を示さなかった欧米の投資家も13年6月のペプチドリームの上場によって変わってきた。世界大手製薬企業上位10社中4社と共同研究開発契約を締結したバイオ企業は世界でも例がなく、特殊ペプチド医薬品という新たな医薬品カテゴリーを日本のバイオ企業が創出するというビジネスモデルが関心を呼んでいる。14年は証券界における日本バイオの伝道師として、昨年以上に情報を海外に発信していきたいと思っている。