2013年は、バイオベンチャー株が新興市場(東証マザーズ、JASDAQ等)でゲーム関連と並ぶ「主力株」になった記念すべき年です。

 バイオベンチャー株は、創薬ベンチャーを中心とする損益の向上や、主力開発品の承認を背景に、2012年の春頃から注目され始めました。同年秋以降は山中伸弥・京都大学教授のノーベル賞受賞がきっかけとなり、主役がiPS細胞関連に移ります。さらに2013年に入ってから上昇に弾みをつけたのが、安倍政権の経済政策「アベノミクス」です。バイオが成長戦略の柱の1つとなり、再生医療や創薬をリーディング産業に育成する方針が打ち出されたことで人気が一段と高まりました。当社で作成しているバイオベンチャー株のインデックスは2013年の1年間で3倍近く上昇し、日経平均の上昇率1.5倍を大きく上回っています。

 こうしたバイオベンチャー株の人気は、新規上場と資金調達に恩恵をもたらしました。2013年のバイオベンチャーの新規上場は5社となり、過去最高の2011年に並ぶ社数です。そのほとんどが公開価格に対し2~3倍の初値がつき、2003年以来の好パフォーマンスを記録しています。株式市場からの資金調達も目立ちました。タカラバイオやオンコセラピー・サイエンス、ナノキャリアなどは100億円前後の公募増資に成功しています。

 2013年の新規上場は内容的にも話題性に富む企業が目立ちました。ペプチドリームとオンコリスバイオファーマ(以下、オンコリス)は欧米ビッグファーマと提携しています。それまで欧米ビッグファーマと提携している上場バイオベンチャーは、そーせい(Novartis社と提携)など1部に限られました。また、ペプチドリームは創薬基盤技術でNovartis社など欧米ビッグファーマ6社と提携しており、オンコリスはHIV治療薬でBristol- Myers Squibb社と約280億円という大型契約を締結している点も特筆に値します。創薬ベンチャーは主力品の開発段階がポイントです。オンコリスのHIV治療薬はフェーズ2b、メドレックスの消炎鎮痛貼付剤はフェーズ3にまで進んでいます。リプロセルとヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの研究支援2社の特徴も明確です。前者は?PS細胞、後者はメタボローム解析と、いずれも日本が世界に誇る技術を活用しています。

 2014年は日本のバイオベンチャーの歴史に、また新たな1ページが刻まれることになるでしょう。創薬ベンチャーが承認申請のラッシュを迎えるからです。現時点で7件程度が見込まれており、日本のバイオベンチャーの歴史始まって以来の数を記録することになりそうです。国内ではUMNファーマの季節性インフルエンザワクチン、シンバイオ製薬の抗がん剤の適応追加などが予定されており、海外ではメドレックスの消炎鎮痛貼付剤、そーせいの2つのCOPD治療薬が申請される見通しです。ペプチドリームをはじめとする創薬基盤技術ベンチャーからも目が離せません。近年、バイオ医薬品に関する日本の創薬基盤技術への世界的な評価が高まっており、欧米ビッグファーマ等との契約増加が見込まれます。新規上場も注目です。社数では2013年に比べ減る可能性がありますが、内容的には引き続き有望企業の上場が期待されます。米国に本社を置く創薬ベンチャーのアキュセラの上場が既に承認されており、2月に東証マザーズ(外国株)に上場する予定です。

 日本のバイオベンチャーがいよいよ実力を発揮し始めました。日本経済の再生には新産業創造が欠かせません。バイオベンチャーがその要となります。私の夢は株式欄に「バイオ」セクターをつくるとことです。そのためにも、日本のバイオベンチャーをビジネスの視点から長年調査してきた私の経験を活かし、引き続きバイオベンチャーの育成支援に努めたいと思っています。