新春のお慶びを申し上げます。

 日本は発酵産業の伝統の下、バイオテクノロジーを用いたもの作りに関する高度な科学・技術をもつ先進国です。バイオ関連産業の発展には、単にサイエンスとしての生命科学の進歩のみならず、バイオテクノロジーを用いた物質生産、すなわち「もの作りバイオ」に関するしっかりとした基盤が必要となります。我が国はそのしっかりとした基盤をもつ、もの作りバイオに関する先進国と言えます。

 近年、抗体医薬を始めとする組換え糖蛋白質医薬品生産や、ワクチン生産、さらには、初代細胞、iPS細胞、幹細胞等を用いた再生医療、創薬、医薬品や食品の機能・安全性評価など、動物細胞の産業利用分野が目覚ましく発展しています。本分野においても、もの作りバイオに関する基盤構築は欠かせません。

 我が国では、創薬等としてシーズを生み出す事には焦点があたりがちですが、その後段のもの作りに必要な種々の課題については、あまり注意が払われることは無い様に思います。実際には、シーズから実際の上市に至る過程においては、様々な高度の技術の集積が必要であり、それを支える基礎科学、工学の発展が無ければ成り立ちません。「プロダクションサイエンス」は、レギュラトリーサイエンスに対比させて、もの作りにかかわる科学・工学を総称した筆者の造語ですが、プロダクションサイエンス、すなわちプロダクションに関わる目的基礎研究の振興が、今後の実用化を見据えた際の重要な基盤構築になると考えています。

 2014年は、各プロセスの統合による、プラットフォーム化が本分野の一層の発展に大きく貢献する年となると期待しています。我が国は、個々の要素研究では優れていますが、優れたものを開発しても、それが統合されて実証されなければ実際に使えるものとなることはできません。開発した要素研究を統合化して実証することが本分野の課題であり、お世話をさせて頂いている経産省の次世代バイオ医薬品製造技術研究も統合化による実証に向けての第一歩を踏み出します。

 「既に実用化されている」=「完成されている技術」と誤解されがちですが、まだまだ未完成です。ものつくりバイオ大国 ニッポン、期待と決意を込めて

 皆様にとって実り多き一年でありますように。

大政健史(徳島大学教授、大阪大学招へい教授、日本生物工学会セルプロセッシング計測評価研究部会代表)