新年明けましておめでとうございます。

 思い起こせば平成元年4月、製薬業界で働きだしてから早25年が経ちました。当時と今と業界の状況を比べてみますと、昔には想像もできなかった大きな変化が多くみられるように思います。平成元年頃は、正に製薬企業は大型市場を狙い、抗生物質は年に何品目も上市され、H2ブロッカーなども競合環境の真っただ中だったように思います。医療機関と製薬企業との関係も大きく変化してきました。今後はますます医薬品における真理の追及として、その医学的科学的価値やアンメット・メディカルニーズが問われていくでしょう。

 機会があって稀少疾患における医薬品開発に2010年から取り組み始めました。ここ数年間で稀少疾患に関連する環境も劇的に変化しているように感じます。まずは“稀少・難治性疾患”といった言葉が普通に耳に聞こえる場面が増えました。そのせいか、昨年は小生も色々な講演会や研究会などにお声掛け頂くことが多かったように思います。企業の規模の大小に係わらず、稀少疾患に関心を持つ会社も増えましたし、アカデミアの皆様も多くの方々が稀少疾患に取り組んでいらっしゃいます。そして何よりも昨年は国の制度として、(1)再生医療等製品に係わる規制、(2)改正薬事法、(3)特定疾患に関する枠組みなどを中心に各種の法案が国会を通過し、これからの期待感が高まります。

稀少疾患は稀少なのでしょうか?

 個々の疾患で患者様の数は少なくとも、それぞれの疾患に悩む患者様は数多くいらっしゃいます。反面、個々の疾患の患者様の人数をまとめると数字自体は大きいものの、それぞれの患者様は孤立している場合が多いのも現状です。また、稀少疾患に係わる医薬品を開発する企業にしても孤立しがちです。旧来からある企業間の競合意識などが障壁になり、なかなか企業の壁を越えて色々と相談し合える環境にはなっていません。行政の皆様とは新薬の開発に向けた建設的な相談が不可欠です。稀少疾患薬の開発では患者様が極端に少ない中で臨床戦略の相談が必須ですし、国のオーファン指定や難病対策などの制度との関連を十分に考慮する必要があります。更には、開発を進める上で医療現場の専門家やアカデミアの先生方との協力も必要です。

 新薬の開発や市販に向けた基盤整備も忘れてはいけません。その疾患に係わる患者レジストリの確立や早期診断と治療を行うための新生児マス・スクリーニングの可能性を検討するなど、稀少疾患薬の場合には新薬の承認だけを目標とするだけでなく、その周辺を整えていくことも重要です。

 このような観点から考えますと、稀少疾患への取り組みには産官学の連携や企業間の連携など、多くの対話の場がもっと必要です。率直に色々な悩みや考えなどを相談し合うことで解決できることは多いのではないでしょうか? 既に欧州では行政や企業、医学専門家、患者会の皆様が集まり意見交換できる場面が多くあります。日本でもこの様な視点から更に連携を深め、取り組み方を考えることは今後の課題でしょう。

 昨年、独立法人医薬基盤研究所の増井 徹先生、国立保健医療科学院の水島 洋先生が発起人となり、「希少疾患・難病に関する連絡会」という定期的な意見交換の場が発足しました。稀少疾患に関連する企業、アカデミアの先生方、行政の方々が集まり、フランクに話し合える有意義な会合です。小生は初回からお招きいただいておりますが、会に参加するメンバーも回数を重ねるごとに増え、今後の更なる発展が楽しみです。

毎年2月最終日は世界稀少・難治性疾患の日?

 2008年にスウェーデンで世界稀少・難治性疾患の日(通称、稀少疾患デー)が患者団体の活動として始まりました。稀少疾患デーは2月の最終日、稀少・難治性疾患について考える日です。2月の最終日にした理由はと言いますと、この日はうるう年があるために他の日とは異なる稀な日なので選ばれました。当初はうるう年にのみ行う予定だったと聞いておりますが、活動が好評であったために毎年行うことにしたそうです。

 稀少疾患デーの活動は、その後、欧州や米国などの諸国にも広がり、2010年からは日本でも毎年のイベントとして患者会やNPOの皆様が中心に取り組んでいらっしゃいます。弊社におきましては本社に加えて日本でも、稀少疾患デーのイベントを何らかの形で行っております。

 今年の稀少疾患デーは2月28日(金)です。弊社の日本での活動の1つとして、今回は短いイメージビデオを作成してみました。クリスマスバージョンとなっていますが下記のURLからご覧いただけます(洋風ですが正真正銘の日本製です)。

https://ja-jp.facebook.com/photo.php?v=461077450663561&set=vb.151526491618660&type=2&theater

 「我々は一人で悩まず、皆で一緒に取り組みましょう」といった強い思いを込めてみました。ビデオ以外にも、現在、今年の企画は更に検討中です。

 皆様もこの日には稀少・難治性疾患について考えてみてはいかがでしょうか?

 2014年、稀少疾患に係わる昨年までの種々の取り組みが更に増幅し、大きなうねりとなる期待が高まります。国としての制度設計も更に固まっていくでしょうし、産官学や企業間の対話や連携などの機会はもっと増えることでしょう。2014年は稀少疾患元年かもしれません。

 私自身は稀少疾患で悩む患者様のために、障壁を越えて皆で話し合って解決していくといった気風を大事にしたいと考えています。そして、こういった潮流の中で新しい治療の選択肢の提案はもちろんのこと、基盤整備への注力など色々な側面からの貢献を果たせればとても嬉しいことです。

 皆様との一体感を大事に。