新春展望2014、今年はC型肝炎治療のブレークスルー元年

(2014.01.02 00:00)
ギリアド・サイエンシズ    開発本部長 表雅之

 2014年は、C型肝炎治療のブレークスルー元年となるのではないだろうか。

 肝炎はその約80%がウイルス感染により発症し、国内最大の感染症といわれている。ウイルス性肝炎のなかで最も多いのがC型肝炎であり、現在、そのウイルスキャリアは全世界で1億7000万人、わが国で150万~200万人と推定されている。C型肝炎ウイルスに感染すると、約70%で感染が持続し、慢性肝炎へと移行する。そして、慢性肝炎から約20年で約30%の人が肝硬変に進展し、その後、高率で肝がんが発症する。わが国の肝がんによる死亡者数は3万人を超え、肺がん、胃がんに次いでがん死亡の第3位を占めていることから、C型肝炎ウイルス排除の重要性が認識できる。

 我が国におけるC型肝炎ウイルスの遺伝子型は、高ウイルス量・難治性である1b型が約70%、2型が約30%といわれている。1992年にインターフェロンがC型肝炎の適応承認を受けたが、1b型に対しては、24週間の治療でウイルスが排除できたのは5~10%に過ぎなかった。その後、2004年からペグインターフェロンとリバビリンの併用48週間療法が始まり、著効率は約50%に向上した。さらに、2011年11月には、プロテアーゼ阻害剤であるテラプレビルが承認され、ペグインターフェロンとリバビリンとの3剤併用による24週間の治療により、1b型の初回治療の著効率は約70%に向上した。一方で、高度な貧血や重篤な皮膚病変、腎機能低下などの副作用が報告された。2013年11月には、第2世代プロテアーゼ阻害剤であるシメプレビルが承認され、ペグインターフェロンとリバビリン3剤併用による24週間の治療で初回治療の著効率は約90%まで向上し、副作用も軽減された。

 このように、インターフェロン治療が開始されてから約20年で、C型肝炎治療が大きく進展してきた。一方で、インターフェロンやリバビリンによる重篤な副作用の発現、インターフェロン療法に無効又は再燃、そして、患者の高齢化や肝の線維化の進行等により、インターフェロンが使えない患者も増加してきた。そのため、インターフェロンを使わないインターフェロンフリー療法が待たれていた。

 インターフェロンフリー療法の開発は世界規模で急速に進んでいる。核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害剤であるsofosbuvirとリバビリンとの12週間の併用による2型患者を対象にした海外第3相試験では、初回治療の著効率は97%を示し、2型患者への世界初の経口療法として2013年12月に米国FDAより承認され、新しい時代の幕を開けた。1型患者に対しては、sofosbuvirとNS5A阻害剤であるledipasvirとの配合剤による第3相試験で、12週間の治療で初回治療の著効率は約98%に達した。

 本邦では、プロテアーゼ阻害剤のアスナプレビルとNS5A阻害剤のダクラタスビルとの併用24週間治療による国内第3相試験が実施され、インターフェロンが使えない1b型の患者に対して、約85%の著効率を示し、日本初のインターフェロンフリー療法として2013年11月に承認申請された。また、前述の2型の患者を対象にしたsofosbuvirとリバビリンとの併用、及び1型の患者を対象にしたsofosbuvirとledipasvirとの配合剤の治験については、国内でも3相試験が進行中であり、2014年の承認申請が予定されている。さらに、新規のプロテアーゼやNS5A/NS5B阻害剤を組み合わせたインターフェロンフリーの他の国内第3相試験も2014年に開始される見込みである。

 このように、この数年でC型肝炎治療が劇的に進展し、C型肝炎ウイルスを完全に排除できる時代がみえてきた。C型肝炎ウイルスが排除されることにより、肝がんの減少、期待余命の延長、そして、生涯医療費の削減が期待される。C型肝炎治療薬の開発にかかわるものとして、これらがより早期に実現できるよう取り組んでいきたい。

日経バイオテク お薦めの専門書籍・セミナー

  • セミナー「異常な蛋白質に対する低分子薬の2つのアプローチ」
    2019年6月7日開催!不安定な標的蛋白質の立体構造を安定化する「シャペロン薬」、ユビキチン・プロテアソーム系を利用して標的蛋白質を分解する「標的蛋白質分解誘導薬」。最新の研究開発状況と、2つのアプローチの棲み分けを解説する。
  • 「日経バイオ年鑑2019」
    この一冊で、バイオ分野すべての動向をフルカバー!製品分野別に、研究開発・事業化の最新動向を具体的に詳説します。これからのR&D戦略立案と将来展望にご活用ください

PR・告知製品・サービス一覧人材・セミナー・学会一覧