バイオマスからのバイオ燃料(エタノールなど)の生産はすでに事業化されています。また、我が国では最近藻からのバイオ燃料の研究開発も活発化しています。米国では、Solazyme社が発酵タンク内での藻の培養ではありますが、藻からのディーゼル油の生産を始めています。

 一般に環境問題というと、低炭素や省エネルギーに関心が集まっています。有機化学品の場合、原料となる化石資源が枯渇すると工業生産ができなくなります。特に有機化学品の「炭素」に着目すると、土壌への廃棄または焼却による炭酸ガスの放出により、「炭素資源」が一方向に移動していくことが最大の問題であることがわかります。この問題を解決するには、光合成などにより炭酸ガスを固定し、またバイオマスから化学品(バイオ化学品)を製造する必要があります。もう一つの解決策は、廃棄物を再利用し、炭素資源を循環させることです。

 東レはGevo社と提携してバイオマスからイソブタノールを経由してテレフタル酸を試作し、さらにPET繊維を試作することに成功しております。ただし、テレフタル酸やPETの工業生産の実現はまだ先のようです。2014年はバイオテクノロジーを使ったバイオ化学品、特に芳香族化学品の工業生産が実現されることを期待したいと思います。

 ジナリスは、「廃プラリファイナリー&バイオアップサイクル」という標語のもとに、廃棄PETなどを原料として高付加価値化学品を製造することを目指しています。これは、廃棄PET樹脂を化学的に処理し、テレフタル酸を部分精製した後、育種微生物を利用してテレフタル酸をもとにポリフェノールなどの高付加価値化学品(エコ化学品)を製造するというものです。

 我が国のNEDOロードマップでは、廃棄プラスチックのアップグレードリサイクル技術も、バイオテクノロジーを利用した新しい概念のプラスチックからの化学品の製造技術の開発も、2020年代のテーマであります。当社にとってこれらの目標を10年早く実現することは夢でありましたが、今年はその夢を正夢にしたいと思います。