米Celldex Therapeutics社は、2013年12月2日、完全ヒトモノクローナル抗体・薬物複合体であるglembatumumab・ベドチン(CDX-011)を、糖たんぱく質NMB(gpNMB)の過剰発現が見られる転移性のトリプルネガティブ乳がん患者に適用する枢要な無作為化試験METRICを開始したと発表した。

 glembatumumab・ベドチンは抗体薬物複合体(ADC)で、gpNMBを標的とする抗体CR011と強力な細胞障害性薬剤のモノメチルアウリスタチンE(MMAE)を結合したもの。米Seattle Genetics社の専有技術を用いて開発された。血中では安定だが、ひとたびgpNMB発現細胞の内部に入るとMMAEが放出され、細胞障害効果を発揮する。米食品医薬品局(FDA)は2010年5月に、進行した難治性/治療抵抗性のgpNMB発現乳がんを適応としてこの製品をファストトラック指定している。

 乳がんに発現されるgpNMBは、がん細胞の移動と浸潤、転移を促進し、再発リスクも上昇させることが知られている。

 METRIC試験には約100施設が参加することになっており、約300人の患者を登録する予定だ。米国内の施設では既に患者のスクリーニングが始まっている。2014年初めにはカナダとオーストラリアでも患者登録が始まる見込みだ。

 METRIC試験は、オープンラベルの無作為化試験で、進行乳がんに対する化学療法の経験はタキサンとアントラサイクリンを含む1レジメンのみ、または化学療法歴を持たない、gpNMBの過剰発現が見られる転移性のトリプルネガティブ乳がん患者を登録、2対1でglembatumumab・ベドチン、またはカペシタビンに割り付け、進行が見られるまで、または不忍容となるまで投与を継続する設計になっている。腫瘍の反応の評価は、当初6カ月間は6週ごとに、それ以降は9週ごとに行われる。

 主な目的は抗がん活性の評価に設定されており、客観的奏効率と無病生存期間を対照群と比較することになっている。同社は、いずれかの指標においてglembatumumab・ベドチンの優越性が示されれば、承認申請を提出する計画だ。

 また、奏効期間、全生存期間、安全性、忍容性の評価も予定されている。さらに、QOLとがん関連疼痛、あるいはそのどちらか一方への影響も検討する計画だ。

 gpNMB陽性転移性乳がん患者を対象として先に行われたフェーズII EMERGE試験では、標準的な化学療法薬を適用された患者群に比べ、glembatumumab・ベドチン群の全奏効率は高く、全生存期間も長いことを示した。無増悪生存期間も長かった。最も多く見られた有害事象は発疹だった。

 現在のところトリプルネガティブの乳がん患者が利用できる治療の選択肢は限られており、gpNMBを標的とするglembatumumab・ベドチンは患者に新たな有効な治療を提供すると期待される。

 この製品については、同社は現在、ステージIII/IVのメラノーマを適応とする開発も進めている。さらに2014年には、肺がんを初めとする他の種類のがんの患者を対象とする臨床試験も開始する計画だ。