こんにちは。1週おきにこのメールを担当しております、日経バイオテク記者の増田智子です。

 今日、11月27日はノーベル賞の制定記念日だそうです。京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授がノーベル賞生理学・医学賞を受賞したのは昨年のことですが、この分野ではその後、さまざまな発展があったので、主観では5年くらい経っているような気がします。11月初旬には国内では秋の叙勲や文化勲章の受章者が発表されるので、11月は賞のニュースが多い月でもあります。

 ノーベル化学賞を2回受賞した英国のFrederick Sanger博士が、先週、亡くなりました。95歳でした。たんぱく質のアミノ酸配列と、DNAのゲノム配列を決定する方法を考案した生化学者で、英Wellcome Trust Sanger研究所に名前が付いているSanger博士です。

 最近の英国の一定以上の地位にある研究者は皆、敬称に"Sir"とか"Dame"が付いている(いわゆる「騎士」である)ような気がします。大英帝国勲章という、現在のイギリスで最も一般的な勲章の上位二階級を受賞すると、男性は"Sir"、女性は"Dame"の敬称を付けられるようになるのです。

 しかしSanger博士はSirではありませんでした。英語版のwikipediaにのっているSanger博士の経歴を見ると、騎士叙階は断った、と書いてありました。同時代を生きたDNAの研究者でノーベル賞受賞者のFrancis Crick博士のページにも、騎士への叙階は断っており、本当はSirではないのによくSirとかLordと間違えられた、と書いてあります。ただし、Sanger博士もCrick博士も、メリット勲章という、定員が英国王を含め24人しかいない(受章者が亡くなると新しい受章者が決められる)栄誉は受けていました。メリット勲章は受章者の敬称が変わらないのです。1910年代生まれの英国の科学者にとっての「階級」が持つ意味は、今とはまた違っていたのだと思います。

 賞をもらうことは名誉ですが、ノーベル賞を見れば分かるように、賞を作り、それを伝統あるものとしていくのはさらに名誉なことです。弊社もいくつか賞を制定していますが、継続には中々の困難があります。例えば、日経BP技術賞は今のところ09年の受賞者が最後になっています。今年から始まったのは「テクノインパクトトレンド」。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/technoimpacttrend/ 
社会の中できちんと意味を持つ賞にできればいいと思います。

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                             日経バイオテク 増田智子