こんにちは。1週おきにこのメールを担当しております、日経バイオテク記者の増田智子です。

 日経バイオ年鑑の編集作業が山場に差し掛かり、外出もままなりません。取材予定だった学会、カンファレンス、シンポジウムは軒並みキャンセルせざるを得ず、気分が落ち込み気味です。なお、ただ今、日経バイオ年鑑2014は予約特価受付中です
(http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/book/06.html)。

 取材に行けないとメルマガのテーマを探すのも大変なので、人に聞いた話から。大学の教員が、他の大学で自分の研究について講演したり、小中学生や一般の人の前で話をしたりするとき、主催者から謝金(交通費、食費は含まない)は支払われるものでしょうか?私の聞いた範囲で判断すると、日本では「支払う」のが主流だと思います。でも英国では普通「実費のみ」だそうです。にわかには信じがたい。

 どうして「実費のみ」になったのか。自分で仮説(1)英国の大学は全部国立であり、大学Aに所属している人が大学Bから講演料をもらうと給与の2重払いになってしまうため、(2)アウトリーチも業務のうちに入っている(所属する大学が人件費を負担している)、等を立てて聞いてみましたが「そういうものだから」という回答しか得られませんでした。おそらく英国では、科学者は自分の研究について進んで人前で説明するものだ、と期待されているのでしょう。

 日経BPは企業なので、主催するセミナーやイベントの講師には社内で決めた講演料を支払っています。ただ日本では、例えば小学校のPTAが研究者を招いて話をしてもらう場合にも、謝金をいくらにすべきかで悩まなければなりません。こういう場合は英国の習慣がうらやましい感もあります。謝金を支払いたくないわけではなく、相場が不明だと予算が立てづらいのです……。

 以前、会社の業務外の非営利団体のイベントでサイエンスカフェを企画した時も、研究者に支払う謝金が分からず、困ったことがありました。なおこの時は、地元の自治体から講師を派遣してもらいました。同自治体には、域内の市民が主体として企画するイベントであれば、職員を講師として無料で派遣する、という制度があり、また都道府県レベルになると、職員にもいろいろな分野の専門家がいるので、非常にありがたいものでした。謝金を支払うのか、支払わないのか、払うとしたら一体いくらぐらいにすればいいのか分からない、というのは、市民が科学者を招いて話をしてもらう際のハードルの1つだと思います。科学者と社会の距離を縮めるために、日本にも大体のコンセンサスがあるとよいと思いました。

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                          日経バイオテク 増田智子