月曜日の夕方6時30分、パソコンの前に座り、「You Tube」のノーベル財団公式サイトで生理学・医学賞発表のライブ中継を見ていました。都内某所の受賞が期待される研究者のもとへ向かっている記者に、その結果を伝えるためです。周知の通り米国の研究者3人が「細胞内の物質を運ぶ制御システムの発見」の業績で受賞したわけですが、結構淡々と発表されるものですね。

http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2013/press.html

 Randy Schekman氏は小胞輸送に関する遺伝子群を特定し、James Rothman氏は小胞がたんぱく質を目的の場所に運ぶ仕組みを解明、Thomas Südhof氏は神経伝達物質を細胞外に放出する仕組みを突き止めたとされます。

 昨年は山中伸弥教授の受賞で、てんてこ舞いだった日経バイオテク編集部ですが、今年は他紙誌の報道が一段落したあたりで、深掘りの記事を掲載しようと考えています。

 ところで今回受賞したSchekman氏とRothman氏は、2009年の「トムソン・ロイター引用栄誉賞」に選ばれていました。この賞はThomson Reuters社が、同社の学術文献・引用データベース基にした解析からトップクラスの研究者の功績を広め、たたえることを目的に設立されたもので、今年9月の発表で11回目となります。

 まずデータベースに収録されている過去30年間に発表された論文の中から、各分野で被引用回数の多い上位0.1%を抽出。この方法だけでは直近の論文が不利になってしまうので、同一分野、同一発表年で比較した場合に被引用回数が特に多い「高インパクト論文」も抽出します。こうして研究者を絞り込んだ上で、貢献度、テーマの話題性なども考慮して最終的な候補者を決めるといいます。

 ちなみに今年の引用栄誉賞には、生理学・医学分野で東京大学の水島昇氏と東京工業大学の大隅義典氏が、「オートファジーの分子メカニズムおよび生理学的機能の解明」というトピックで選ばれました。

https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130925/171069/

 山中伸弥氏は、2010年にこの賞を受賞しており、2013年までに、故人も含めて19人の日本人がこの賞を受賞しています。

 2011年のノーベル賞受賞者は、全て過去に引用栄誉賞を受賞していた研究者でした。この時の発表では、過去10年間の引用栄誉賞受賞者のうち26人がノーベル賞を受賞したということです。論文の引用とノーベル賞には、高い相関関係があるようですね。

                       日経バイオテク編集長 関本克宏

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