皆さん、お元気ですか。

まずは宣伝です。

 皆さん、クリニカルバイオマーカーのセミナーは既にお申し込みいただきましたか?今回は数多あるバイオマーカーのセミナーとは一味違います。バイオマーカーに関しては、従来は残念ながら概論やテクノロジーばかりの話に終始せざるを得なかったのですが、今回のセミナーは実際の病院や診療所で治療法の選択の判断や病態の判断に役立つバイオマーカー、クリニカルバイオマーカーの実例に基づく各論で、皆さんと議論したいと考えています。今回取り上げるクリニカルバイオマーカーの成功例は、東京大学医学部辻教授が発見した神経難病のマーカー、コエンザイムQ合成酵素遺伝子変異とバイオバンクジャパンの成果である重症薬疹の副作用予測バイオマーカーです。これらのバイオマーカーが何故、成功したのか?微に入り細にわたり検証したいと考えています。加えて、こうしたクリニカルバイオマーカー誕生の背景となった、ゲノムコホート研究とシステム生物学研究の最先端の研究者を国内外から招聘、確実に新薬開発と個の医療に不可欠となったクリニカルバイオマーカー開発の最新動向を皆さんと共有したいと願っております。是非とも、本物のバイオマーカーを討議するセミナーにご参加願います。そろそろ席も埋まってまいりました。下記のサイトから詳細にアクセスの上、どうぞお早めにお申し込み願います。
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/131002/index.html

 このところ内緒の理由で精神的にくたくたになる仕事を続けています。昨日もそのためか、久しぶりに自宅で夕食を楽しんだ後ばったりとベッドに倒れ込み、起きたのが午前3時少し前。丁度、リーガエスパニョーラ第6節のバルセロナVSレアルソシエダの試合開始5分前でした。昨年、アウェイでソシエダに苦杯を嘗めたバルサにとって、捲土重来の機会でした。しかし、開始8分間で、ネイマール、そしてメッシが点を入れ、勝負あり、その後2点を加え、4対1で快勝いたしました。もう後半など見る気もなく、ベッドに入り羊を数えるのみでした。皆さんも眠れぬ夜(寝過ぎて眠れぬ夜)をお迎えになることはあるのでしょうか?

   さて個の医療です。

 感染症は誰でも感染するリスクがあるため、個の医療の対極にある疾患です。勿論、最近は宿主(患者)要因も解析が進み、易感染性に個人差があることが判ってはきましたが。。本日はむしろ感染源となるウイルスのゲノムシーケンスによって、私たちが感染するウイルスも多様性に充ちていることが明らかとなったことをご報告しましょう。道理で何回も風邪に罹るわけです。免疫系に対抗するためウイルスも遺伝子変異による多様性拡大で対抗しています。

 2013年9月19日、那覇で極めて注目すべきシンポジウムが開催されました。「沖縄県における感染症防御を目的とした次世代ゲノム解析技術による迅速診断方法の開発並びに対策拠点の形成」と余りに長いシンポジウム名ですが、沖縄県の委託事業として展開中の「沖縄感染症医療研究ネットワーク基盤構築事業」が主催しました。まあ長い名前ですが、今や国際航空貨物のハブとして成長しつつあり、観光客も増加しつつある沖縄県にとって、感染症対策は喫緊の課題であり、それを解決する方策として、次世代ゲノムシーケンサーの設置台数で全国有数の沖縄のゲノム解析力を活用することを狙ったシンポジウムです。また、琉球大学と沖縄県立中部病院が全県に展開している医師のネットワークが、疫学研究に好適である点も見逃せません。また公衆衛生上の対策で、マラリアを撲滅した輝かしい歴史も沖縄は持っています。その意味で、今後のアジア太平洋圏の経済発展の南の玄関と感染症対策の南の盾として、沖縄に大いに期待しなくてはならないのです。

 沖縄の戦略は膨大なゲノム解析力を駆使して、感染症の迅速診断を行い、小規模な流行に封じ込めようというものです。これは可能なのか?実はメタゲノムでこの問題を解決できる目処がつきつつある。感染症なら患者のウガイ液などに存在する全DNAとRNAを片端からシーケンスして、既存のデータベースとマッチングして感染症を検出する戦略です。既に大阪大学微生物学研究所の堀井俊宏教授らは、こうしたメタゲノム分析によって、どんな感染症か予測ができない感染源を突き止めることに成功しています。実際にはヒトの感染症ゲノムのデータベースだけでなく、動物の感染症のデータベースにも、検出したゲノム配列をマッチングさせることで、未知の感染症を突き止めたのです。現在も地球上で微生物やウイルスのゲノム解析の情報は毎日、データが蓄積しています。データが増えれば増えるほど、未知の感染症の検出率は高まってくるのです。

 ゲノム情報が我々を護る感染症の盾となりつつあるのです。沖縄の試みは、わが国ばかりでなく、世界をリードする感染症対策の革新を引き起こす可能性すらあると、私は期待しています。

 今週もどうぞ皆さんもお元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

ご連絡は、https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/