こんにちは。1週おきにこのメールを担当しております、日経バイオテク記者の増田智子です。

 8月30日に2014年度予算の概算要求が発表され、日経バイオテク編集部は例年通りバイオ関連予算の集計に奔走しているところです。

 貴重な研究費を有効に使うにはどうしたらよいか、という観点では、8月中に少し変わった研究プロジェクトの発表を取材しました。文部科学省の新学術領域研究で、研究者の支援をする研究活動である「ゲノム支援」「がん研究分野の特性などを踏まえた支援活動」「包括型脳科学研究推進支援ネットワーク」の合同シンポジウムです。がん研究の支援活動については、8月22日にも単独で成果発表のシンポジウムを開催していました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130807/170244/ 

 この支援活動は、まとめて実施したほうが効率が良い実験、試料収集、教育、その他の研究活動については共同でやってしまおうというもの。2010年に、がん、ゲノム、脳に関する科研費の特定領域研究の終了を受けて、特定領域研究における総括班・支援班の果たしてきた役割を残したものです。

 研究者コミュニティーを構築し、その中でさまざまな資源を分け合うので、個々の研究者が単独ではアクセスできないような貴重な試料でも(計画が認められれば)研究に使うことができます。例えば、がん研究の支援活動では、科研費がん特定領域で05年に始めた「分子疫学コーホート研究の支援に関する研究」を継続しており、2013年3月末の時点で9万4000人超の登録を終了しています。

 ゲノミクス・プロテオミクスの色々な解析手法の専門家に、精密に測定・分析してもらったり、バイオマーカーの性能を確認するアッセイ系の構築を依頼することも可能。高速シーケンサーや高感度の質量分析装置などは高価で、正しい結果を出すためのノウハウも必要であることから、依頼するところがある、という体制は、独立したばかりの若い主任研究者や設備投資に資金を割けない大学の研究者には不可欠のインフラです。ただ、センター化による「節約」を前面に打ち出すと、新技術にキャッチアップしていくための投資ができなくなってしまう、という危惧もあるようでした。技術的な最先端を走り続けるためには、最先端の研究しながら技術を磨いていく必要があり、そのための人材は育てなければならないし、装置も買わなければならないのです。

 5年の研究期間は来年度に終了するため、先々を真剣に考えなければならない時期に来ています。国内資源を最大限に活用し、他国の研究者との競争に有利な環境を作り、研究投資の費用対効果を上げる工夫ができればいいと思います。

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                        日経バイオテク 増田智子