こんにちは。第2、第4金曜日を担当する日経バイオテク副編集長の河野修己です。

 UMNファーマの代表取締役会長兼社長だった道下眞弘氏が、8月5日に突如、全役職を辞任しました。道下氏はUMNファーマの創業者で会長だったのですが、今年2月に社長も兼務するようになり、名実ともに会社を引っ張っていました。それだけに、社長在職6カ月弱での辞任には驚きました。道下氏は顧問などにも就任せず、完全に会社を離れることになるそうです。

UMNファーマの道下社長が突如辞任、業績不振理由に、取締役も退く
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130806/170172/

道下・UMNファーマ社長の辞任、「突然の申し出だった」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130807/170205/

UMNファーマが中間決算説明会を開催、中国事業が通期予想実現の鍵
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130801/169971/

 プレスリリリースでは、辞任の理由は業績不振と書いてあります。しかし、この理由に素直にうなずく訳にはいきません。確かにUMNファーマは2013年12月期の中間決算において下方修正しましたが、通期の業績は変更していません。まだ業績不振かどうか明確になっていない段階で、いきなり責任を取ると言い出し始めたわけです。下方修正はバイオベンチャーには珍しくなく、この程度で責任を取らなければならないとすれば、バイオベンチャーの社長の首はいくらあっても足りません。

 道下氏は、投資家やアナリストなどからも評価の高い経営者でした。決算説明会などでのプレゼンテーションは明解で分かりやすく、同社の経営方針やビジョンがよく理解できるものでした。成長戦略を蕩々と語る道下氏のコミュニケーション能力も賞賛されていました。

 事業面でも、アステラス製薬と共同開発している季節性インフルエンザワクチンは順調にフェーズIIIに達し、国内最大のたんぱく質製造工場である岐阜工場も4月に無事、竣工していました。この工場には竣工後、取材で訪れて、内部を見学させてもらったことがありますが、ベンチャー企業がよくここまでの施設を完成させたなと、驚嘆しました。まさにこれから本格的に成長軌道に乗るという段階だったのです。

 これまでもバイオベンチャーで社長が予期しない時期に辞任したことが何度かありましたが、病気や大株主との対立などそれなりに納得いく理由がありました。しかし、今回だけはさっぱり分からないというのが正直な印象です。会社に取材してみても、残された幹部達の方が困惑しているという感じでした。

 道下氏の手腕への期待が大きかっただけに、辞任後、同社の株価は下降しています。「無責任だ」との批判もありますが、本人なりの葛藤があったのかもしれません。4月にインタビューした時は、今後の成長への意欲を語ってくれていたのですが。

UMNファーマの道下社長に聞く、「バイオ医薬品にこだわったベンチャーとして成長していく」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130412/167376/

日経バイオテク4月22日号「企業研究」、UMNファーマ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130424/167596/

もう一度道下氏に取材する機会があれば、じっくりと話を聞いてみたいところです。