7月17日のファイザーに続き、ノバルティス、サノフィ、ジェンザイム、アストラゼネカ、武田薬品、バイエルと、製薬協の透明性ガイドラインに基づく医療機関への支払いの開示が進んでいます。たまたま同時に発覚した臨床試験データの改ざん問題のおかげで注目度がかなり高まりましたが、物事が進む時は、こういうものなのでしょう。

 渦中のノバルティスは再発防止策の一環として、自社製品がからむ臨床試験は、今後すべて委受託契約方式にすることを明らかにしています。ただし、基礎研究に関しては公的な予算が足りないという現実があるため、施設の要請を吟味した上で、契約よりも自由度の高い奨学寄付金を継続するといいます。公的な予算が足りない――その通りですよね。

 いずれにせよ、好きに使える奨学寄付金で行った臨床研究の“いまひとつ”な結果を国内の学会で発表するという光景は、見られなくなるでしょう。そうなると、日本に数多く存在する学会・研究会も淘汰されるのでしょうか。いつぞやどこかの学会のプレスブリーフィングで弊社の記者が、「海外の学会ですでに発表されているものが、どうしてここに目玉として載っているのですか」という質問をして、学会幹部の苦笑を誘ったことがありましたが、存在意義を是非見せて欲しいものです。

 この資金提供のデータ公開は日本が世界に先駆けており、米国では2010年に法律「Physian Payment Sunshine Act」 が制定されましたが、実際にスタートするのは今年からで、8月からデータが収集され、公開されるのは来年9月になります。ただしこの法律には罰則があり、報告もれがあった場合は1つの支払いにつき15万ドル、状況によっては1年に100万ドルの罰金が課せられます。徹底していますね。

 徹底しているといえば米国政府は今年4月に、過剰な医師への支払いがメディケイドやメディケアの支払い増大を招いたとして、Novartis社を訴えています。ここでは、薬剤に関するイベントへの参加謝礼や豪華な食事の提供により、薬剤の処方を誘導したということが問われています。

 また欧州でも、欧州製薬団体連合会(EFPIA)が7月に、医師への支払い情報の公開を決定しました。2015年に運用開始、2016年に情報公開というスケジュールです。

 ところで、米国での提供データ収集に先立ち、7月31日に米国研究製薬工業協会(PhRMA)が声明を発表しました。そこでは来年9月に公開されるデータが正確であることに自信を示すとともに、新規治療法の開発のために医師と企業との金銭的関係がいかに貢献しているか国民が理解できるように、公開されるデータに適切な背景説明を加えるべきだとしています。

 これもその通り。ただの悪者探しでは、世の中動かないと思う今日この頃です。

                      日経バイオテク編集長 関本克宏

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