こんにちは。第2、第4金曜日を担当する日経バイオテク副編集長の河野修己です。

 5月31日から6月4日まで開催された米臨床腫瘍学会(ASCO)を取材してきました。周知の通り、ASCOは製薬企業やバイオ企業が、抗がん剤に関する最新の研究開発成果を披露する場でもあります。発表を基に現地で記事を書き、7月2日号にはASCO特集も掲載する予定です。

米臨床腫瘍学会が開幕、Swain理事長は公的研究費削減に危機感を表明
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130602/168703/

ASCO2013、フェーズIで決定された用量はどの程度信頼できるか、3万3000人の試験結果から解析
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130603/168740/

ASCO2013、伝統的なフェーズIの手法の限界を指摘
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130604/168742/

ASCO2013、PRISMが創製したPRI-724、推奨用量は1日905mg/m2に決定
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130605/168778/

ASCO2013、BBI608の標的は年内に公表、大日本住友傘下の米創薬ベンチャーが開発中
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130605/168808/

ASCO2013、大阪市大がペプチドワクチンのフェーズIIを発表、長期投与でOS延長の可能性
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130606/168813/

ASCO2013、PRISM Pharmaの小路社長に聞く、「C型肝炎を適応とした医師主導治験を開始する」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130610/168866/

 今年のASCOを取材した感想を一言で表せば、「抗がん剤の研究開発は壁に突き当たっている」というものになります。行き詰まっていると表現してもいいでしょう。もっと具体的に言えば、進行した固形がんを対象としてPFS(無増悪生存期間)は延長できるが、OS(全生存期間)を延長する新規治療法が出てこないということです。

 現在、抗がん剤開発の主流は分子標的薬になっています。標的のかなりの割合はキナーゼですが、単剤では十分な効果を得られないことがほとんどです。そこで、まずは分子標的薬1剤と殺細胞型抗がん剤の組み合わせが始まり、さらに分子標的薬2剤、あるいは3剤の組み合わせへと拡大しています。

 組み合わせ方法は、がん細胞の増殖や転移に関わるパスウエイの上流と下流、あるいは並行するパスウエイなどありとあらゆるものが試されているという状況です。ASCOのポスターセッション会場に行くと、こういった研究の発表が何十、何百と並んでいます。それでも、OSをクリアに延長できたという発表は一向に出てきません。

 ここ数年、ASCOを見続けてきた経験では、おそらくこのままの手法で続けていても状況は変わらないという印象を持っています。標的に対する新たなアイデアが必要なのでしょう。何人かに意見を聞いてみましたが、免疫、がん細胞、ミトコンドリアなどのキーワードを挙げていました。いつか目の覚めるようなブレークスルーが実現することを期待して、来年もシカゴに行くつもりです。