こんにちは。毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日の日経バイオテクONLINEメールの編集部原稿を担当しております日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長の河田孝雄です。

 今日は昨日に引き続き、都内の一橋大学一橋講堂などで開催されている「オープンアクセス・サミット2013」の会場におります。500人を超える方々が集まっています。オープンイノベーションの推進でも、学術情報の流通を促進するオープンアクセス(OA)化への取り組みが大切です。

 午後最初の講演はSPARC North AmericaのHeather Joseph氏の「Open Access:Delivering on the Promise」。新技術のインターネット、デジタル洪水の例としてまずヒトゲノム解読を紹介しました。OAジャーナルの論文数が、従来型のジャーナルの論文数を上回るのは早ければ2017年と予測されています。PubMed Centralには既に260万件以上のOA論文が登録されています。

http://www.nii.ac.jp/irp/2013/04/25csi-20130405.html

 昨日のテーマは「機関リポジトリ」で、信州大学、京都ノートルダム女子大学、神戸市外国語大学、金沢大学、千葉大学、九州大学、東京大学、名古屋大学、広島大学、北海道大学、筑波大学、同志社大学、鹿児島大学の担当者が発表しました。

 この4月から同志社大学社会学部教育文化学科の助教に着任なさった佐藤翔さんの発表「利用状況から考える機関リポジトリが果たしている役割と今後とるべき方法」はたいへん参考になりました。

http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/

 今日の午前中のテーマは「博士論文のオープンアクセスを実現する」でした。京都大学、慶應義塾大学、岡山大学、麻布大学と、文部科学省、国立国会図書館、国立情報学研究所が発表しました。

 文部科学省の学位規則の改正により、2013年4月から博士論文を「インターネットにの利用による公表」が義務付けられました。従来は「印刷公表」でした。

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigakuin/detail/1331790.htm

 2013年4月には、科学技術振興機構(JST)が「オープンアクセスに関するJSTの方針」を発表しました。公的資金による研究成果を納税者や国民が無料で閲覧できるオープンアクセス(OA)化が世界で広がっている状況を踏まえ、JSTとしての取り組み方針を表明したものです。

http://johokanri.jp/stiupdates/policy/2013/04/008443.html

 学術の振興を目的とする日本唯一の独立した資金配分機関(ファンディングエージェンシー)で文科省の科学研究費補助金も配分している日本学術振興会(JSPS)はOAに関する明確な方針は示していないとのことです。

 OA化が進む中で、「ゴールドOA」と呼ばれる商業情報出版の市場が急拡大しています。現在のところ、欧米の大手がこの市場を席巻していますが、アジア発の総合情報誌を発刊する事業を開始すると、医療・ヘルスケア・福祉などの専門的情報を取り扱う専門情報商社でヘルスケア・ライフサイエンス関連業界を中心にWebソリューションを提供しているゼネラルヘルスケア(東京・港、竹澤慎一郎社長)が発表しました。

http://www.spp-j.com/japan.php

※日経バイオテクONLINE記事
[2013-6-5]
ゼネラルヘルスケアがアジア発のオープンアクセス総合学術誌を発刊へ、
査読者の公募を開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130605/168781/

 ゼネラルヘルスケアは、SPPを発行する学術論文事業を通じて、アジアNo.1の学術研究論文インフラストラクチャーを構築していく考えです。科学技術医学(STM)学術論文の世界市場規模に占めるアジアの比率は増大しており、2010年時点で4分の1程度のものが2050年には半分に達すると見込まれています。

 STM学術論文の市場は、2010年時点で1兆5000億円で、研究者数は500万人、読者数は1000万人、論文数は年140万件。研究者数や読者数、論文数は年率3%で増大し、出版コストは40年で5分の1に低減すると予測しており、2050年にはSTM学術論文市場は1兆円、研究者数1600万人、読者数3200万人、論文数450万件と見込んでいます。アジアにおけるSTM論文市場は2010年時点の3750億円が、2050年に5000億円に増大するという計算になります。

 竹澤さんはオープンアクセス・サミット2013にも参加するとお話しでした。

 オープンアクセス・サミット2013には、図書館関連の方々が大勢参加しています。「図書館戦争」のアニメーションと実写版を映画館で見て、原作の小説も読みましたが、実写版のロケ地などを調べているうちに、各地の公共図書館などで新たな動きがあることを知りました。

 佐賀県の武雄市図書館は、映画のロケ地ではありませんが、その後、新聞などでも良く取り上げられています。
http://www.epochal.city.takeo.lg.jp/winj/opac/top.do

 OA化時代を迎えて図書館の機能も進化していかざるを得ません。大学図書館でも改新設が最近目立っていまして、東京大学の新図書館計画が始まりました。

http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/contents/ac.html

 メール原稿の締め切り時間になりましたので、今回はこの辺りで失礼します。

           日経BP社 医療局 先進技術情報部
           日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長 河田孝雄

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https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html