1カ月ぶりでGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長の河田孝雄です。

 このメールでは、環境・農業関連の日経バイオテクONLINEの記事などを紹介しています。ONLINE記事のリンク先は、日経バイオテクONLINE環境・農業版とさせていただきます。

 1カ月前の4月25日の日経バイオテク GreenInnovationメールでは、ゲノム編集技術の話題を紹介しました。

[2013-4-25]
国産のゲノム編集技術に期待、九大と広大が特許出願【GreenInnovation Vol.240】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130523/168522/?ST=env

 今回はまず、藤井太洋さんの著書「Gene Mapper-full build-」(ハヤカワ文庫JA1107)の話題からお届けします。

 詳しくは文庫を読んでいただきたいのですが、おおよその話をすると、今から四半世紀後の未来である2037年の物語で「Gene Mapper」は、完全に人工的にゲノムを設計した「蒸留作物」を用いて、栽培畑などでロゴを浮かび上がらせる広告宣伝媒体を設計する人です。「蒸留作物の完全有機農業」が出てきます。

 著者の藤井さんは2013年までソルトウェア開発・販売を主に行う企業に勤務していただけあって、インフォマティクス系の(私にとっては)難解な用語がたくさん出てきます。主流のコンピュータは128ビットで、インターネットは過去の遺産です。「若者たちが作り上げたコンピュータ・ネットワーク<インターネット>は、彼ら自身が埋め込んだミスのために崩壊し、人類を追放した」という内容の記載が出てきます。

 現在の農林水産省は、環境生産省という組織名に変わっています。「03年に新潟の農業試験センターで固定された古代米『紫雲』」という作物がとても重要な役割を担っています。

 ただいまネットで検索したところ、新潟の米どころである越後平野の北西部に新潟県新発田市紫雲寺という地名があり、アイガモ農法による無農薬・無 化学肥料栽培に取り組む「紫雲寺町紫米研究会」があるようです。この古代米の名前は「紫米」です。

 フィクションの話題はここまでにして、今回はもう1つ、このGreenInnovationメールで頻繁に登場する、いわゆる「カルタヘナ法」の話題をお届けします。

[2013-3-1]
光合成と人工触媒、理研の新センター、ゲノム編集【GreenInnovation Vol.236】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130228/166525/?ST=env

 米国はカルタヘナ法を批准していないため、バイオ燃料用の農作物・藻類などの育種で有利な立場にあることは、これまでも紹介されてきましたが、今回は、がんの治療薬の開発でも、カルタヘナ法が、遅延の障害になっているという話題です。

 昨晩、東京大学医科学研究所先端医療研究センター教授の藤堂具紀さんの講演を聴きました。講演のタイトルは「最新型ウイルス“G47Δ”でがんを滅ぼす!-がんのウイルス療法、開発最前線-」です。

 藤堂さんたちの取り組みは5月15日の東京大学医学部附属病院のプレスリリースをご覧いただきたいのですが、

http://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/press_archives/20130515.html

 第三世代HSV-1であるG47Δの臨床開発で、カルタヘナ法関連の規制への対応も大変であることを、藤堂さんはお話しでした。

遺伝子組換え生物等第二種使用確認申請(カルタヘナ法-文科省)
遺伝子組換え生物等第一種使用確認申請(カルタヘナ法-厚労省・環境省)
遺伝子組換え生物等第二種使用確認申請(カルタヘナ法-厚労省)
と3回、3省庁で手続きが必要でした。がん治療用ウイルス薬剤の開発で、このようなカルタヘナ法関連の手続きが必要なのは、日本だけとのことです。

 またこの他、マスター・セル・バンクの品質試験を行うためにサンプルを英国に輸出すする際には、ワシントン条約の関係で経産省の許可が必要で、これに1年を要したとのことです。

 実態に即した規制へと進化できないものか、と考えてしまいます。今回のメールはここまでとさせていただきます。

           日経BP社 医療局 先進技術情報部
           日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長 河田孝雄

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