弊社が発行する「日経マネー」の6月号に、バイオ株で2億円以上も資産を増やした投資家の話が載っています。この方の情報源は「東証IRコーナー」と「日経バイオテクONLINE」。これでその企業の内容を調べれば、いつ頃臨床試験に進展があり、あとどれくらいで上市できるかのスケジュールが分かり、一般企業よりむしろ先が読みやすいのだそうです。さらに、「具体的な医薬品が見えていない企業より、臨床試験がフェーズ2や3に達している企業の方がわかりやすい」ともおっしゃっています。

 ここ1カ月、バイオ関連株が急騰していますが、その背景には世の中全般の“ムード”以外にも、バイオベンチャーの開発品が具体的な形になって来たことがあることは間違いないと思います。それに伴って、投資家の目も厳しくなって来ているのです。

 日経バイオテク5月6日号の「業界こぼれ話」では、バイオベンチャー失敗の法則を取り上げています。そこでは、経営陣が創業研究者をコントロールできないことや、研究者が取締役を兼任している場合について、懸念を示しています。

https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130508/167831/

 高度なレベルでの意思決定が求められる経営の場に、ビジネスの素人が関与し判断を誤らせれば、あっという間に会社は傾くというのです。

 そういえば過去に書いたことがありますが、三菱UFJキャピタルの方は「ヒトについては過去の投資の反省から、大学教授が起業して社長であること、モノに関しては知的所有権が曖昧な状態のままで事業を進めていること、カネについては事業計画上で必要な資金を把握していないなどの状況であれば、投資する確率は低い」とおっしゃっていました。

https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130328/167097/

 海外でも、4月にシカゴで開催されたバイオ業界最大のイベント、BIO International Conventionでは、科学的価値を重視しがちなバイオベンチャーの傾向とビジネス的価値を重視するベンチャーキャピタルなどの投資家との間の乖離が大きくなっていることを懸念する講演があったことを、河野副編集長がレポートしています。「新しい製品や技術が患者や製薬企業にとって意味の無いものであれば投資はしない」ということです。

https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130513/167973/

 これまで、その中身がブラックボックスとされ、何か情報があれば急騰し、材料不足になると急落するといったことが繰り返されてきたバイオ株ですが、その実力が吟味されるようになり、いわゆる“バブル”の部分がそげ落ちた時には、優勝劣敗がはっきりと分かれるのかもしれません。

                   日経バイオテク編集長 関本克宏

ご意見、ご批判は以下のフォームよりお願いします。
https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/