東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センターの中内啓光教授と山崎聡助教らは、長期にわたって造血能を保持できる機能的な造血幹細胞を、iPS細胞から作製する方法を開発した。iPS細胞をマウスに注入するとできる奇形腫テラトーマの中で造血幹細胞が分化し、骨髄に移動することを見いだした。造血幹細胞の維持に必要とされるサイトカインであるSCFとTPOを持続補給できるサイトカインポンプと、ストローマ細胞であるOP9細胞とを、iPS細胞と同時にマウスに移植することにより、テラトーマの中で造血幹細胞が誘導される効率を向上させた。マウスiPS細胞に続いてヒトiPS細胞からも造血幹細胞を作製できた。さらに、共通γ鎖(γc)遺伝子を欠損しているためにリンパ球が無く重症免疫不全症(X-SCID)を発症するマウス(X-SCIDマウス)からiPS細胞を作り出し、正常なγc遺伝子を導入したiPS細胞をOP9細胞と共にX-SCIDマウスに移植したところ、免疫不全を克服して生存できることを見いだした。この成果は、米遺伝子治療学会のMolecular Therapy誌(インパクトファクター6.873、Nature Publishing Groupが発行)のオンライン版で2013年5月14日(米東部時刻)に発表する。中内教授は5月13日、科学技術振興機構(JST)が主催して文部科学省で行った記者向け説明会で成果を発表した。

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