春見教授がエリスリトールで農学賞、明治が農芸化学会発表のMG2809乳酸菌を商品化

 先週金曜日(2013年3月29日)に続いてお目にかかります。「日経バイオテク/機
能性食品メール」をお届けしております日経バイオテクONLINEアカデミック版編集
長の河田孝雄です。

 今日(4月5日)は、東京大学山上会館で第84回日本農学大会が開催され、日本農
学賞の授与式や受賞者講演、パネルディスカッション「農学の課題と展望2013」、
受賞祝賀会が行われました。50ほどの学協会が加盟する同学会の受賞論文には、次
の7つが選ばれました。

 日本獣医学会が推薦した明石博臣・東京大学特任教授の「牛ウイルス性下痢ウイ
ルス感染症及びアカバネ病の診断と予防に関する研究」、日本応用糖質科学会が推
薦した春見隆文・日本大学教授の「有用機能を有する新規糖質エリスリトールの生
産と利用」、日本農芸化学会が推薦した高山誠司・奈良先端科学技術大学院大学教
授の「植物の自家不和合性における自己非自己識別機構に関する研究」、日本農業
施設学会が推薦した前川孝昭・筑波大学名誉教授の「藻類バイオマス生産技術の開
発と藻油の航空燃料化」、日本生物環境工学会が推薦した村瀬治比古・大阪府立大
学教授の「適応的解析手法の植物工場環境制御システムへの応用」、日本育種学会
が推薦した矢野昌裕・農業生物資源研究所農業生物先端ゲノム研究センター長の
「イネの量的形質に関する分子遺伝学的研究」、日本土壌肥料学会が推薦した米山
忠克・農業・食品産業技術総合研究機構副理事長の「植物生産を担う窒素代謝と篩
管移行の研究」の7つです。

 このうち機能性食品と特に関係が深いのは、春見教授が受賞なさった日本発の機
能性糖質であるエリスリトールです。三菱化学の100%子会社の三菱化学フーズが
事業化しており、エリスリトールの生産量は2010年時点で日本8000トン、米国9000
トンほどで市場規模は63億円であり、2015年には日本1万5000トン、米国2万トンが
見込まれるとのことです。欧州や中国、韓国においてもエリスリトールの生産が始
まり、競争が激化している中で、日本の強みを発揮していきたいと、春見教授はお
話しでした。

 パネルディスカッションの司会は、この3月まで4年間、奈良先端科学技術大学院
大学(NAIST)の学長だった磯貝彰NAIST名誉教授が務め、受賞者7人に農学のミッ
ションなどについて意見を求めました。なおNAISTの新しい学長には、日本ゲノム
微生物学会の会長も務めている小笠原直毅NAISTバイオサイエンス研究科教授が就
任しました。

 仙台で先週、開かれた日本農芸化学会2013年度大会で発表された機能性食品の成
果も順次、報道しております。

※日経バイオテクONLINE機能性食品版の記事
明治、農芸化学会でストレス軽減効果など発表したガセリ菌を商品化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130405/167282/?ST=ffood

ユニチカ中研、βクリプトキサンチンに尿酸値低下作用の新機能、
痛風予備軍に温州ミカン
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130331/167170/?ST=ffood

 このうち明治のガセリ菌は、明治の食機能科学研究所が3月25日に2題続けて発表
しました。演題名は「乳酸菌Lactobacillus gasseri OLL2809 のストレス軽減およ
び免疫賦活効果」と「乳酸菌Lactobacillus gasseri OLL2809 およびαラクトアル
ブミンの運動選手におけるコンディション改善効果」で、前者は明治単独、後者は
日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕教授らとの連名でした。

 明治は、この乳酸菌をMG2809乳酸菌と名付け、配合したサプリメント「健康のま
んなか MG28」を明治の通信販売「ウェルネス」限定で4月2日から発売しました。

 MG2809乳酸菌を「世界中から集めた2500種類以上の乳酸菌の中から選び抜いた」
「体内環境になじみがあるヒト由来の」「逆境に強い」と説明しています。

 明治はこの乳酸菌の研究成果について、日本国特許第4974881号を取得しました。
また3月7日にはOLL2309に関する「身体活動を促進させる乳酸菌」という発明名称
の特許が公開になりました(特許公開2013-47192)。

 明治は、明治ブルガリアやLG21、R-1と、特徴のある乳酸菌商品を市場に投入し
て事業を拡大させており、このMG2809乳酸菌にも注目です。