京大CiRAと基盤研で注目の人事 【日経バイオテクONLINE Vol.1860】

(2013.03.25 11:51)
河野修己

 こんにちは。第2、第4金曜日を担当する日経バイオテク副編集長の河野修己です。

 3月は人事の季節。先週から今週にかけて、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)と医薬
基盤研究所の人事に関する記事を掲載しました。

 驚きがあったのがCiRAの人事。前厚生労働省事務次官の阿曽沼慎司氏が4月からCiRA
の特定研究員として働くことになりました。

 通常、事務次官経験者の再就職先としては、所管の行政法人や関係業界の企業が大部
分を占めています。それも行政法人であれば理事長や理事、企業であれば最低でも取
締役といった幹部職として天下るのが当たり前です。また、事務次官クラスであれば、
本人が就職活動をしなくても事務方があれこれ動いてくれ、従来の慣習などでポストは
決まるはずです。

前厚労事務次官の阿曽沼氏、京大iPS細胞研究所の研究員に就任へ、公募により採用
を決定
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130318/166900/

 それに対して阿曽沼氏は、特定研究員の公募に応募し、一研究員となる道を選びま
した。公募要項に書かれている内容からすると、iPS細胞の応用に向けた課題を洗い
出し、実用化促進のための方策を立案するのが主な業務のようです。医療行政に精通
した阿曽沼氏はこのポストに適任ですが、極めて異例の人事であることも確かです。
任期は3年。CiRAへの阿曽沼氏の参加で、どのような成果が出てくるか楽しみです。

 一方、基盤研では、創薬支援戦略室の初代室長が決まりました。室長になるのは、
神戸大学大学院医学研究科の榑林陽一教授です。

基盤研・創薬支援戦略室、初代室長に神戸大・榑林教授が就任へ、企業と大学で探索
研究に従事
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130315/166858/

 創薬支援戦略室の設立には紆余曲折がありました。元々は、東京大学医科学研究所
の教授だった中村祐輔氏(現シカゴ大学教授)が実現させようとした創薬支援機構が
起源です。創薬支援機構は日本版NIHを目指したもので、アカデミアにある新規医薬
品の有望シーズの製品化を支援しようとの構想でした。厚労省、文科省、経産省など
に散在している創薬支援の機能を統合し、予算も権限も移管して設立するという目論
見でした。しかし、例によって各省庁の抵抗を突破できず、新組織を創設するという
プランから基盤研内に司令塔的部署を設けるというプランにトーンダウンしました。
それが創薬支援戦略室です。

 とはいえ、画期的新薬の創出増に向け、創薬支援戦略室への期待が大きいことも事
実。榑林教授はバイエル薬品やファイザーの日本研究所で長年、探索研究に携わって
きた人物で、サイエンスとビジネスの両方が分かるとの評判です。

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