毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日の日経バイオテクONLINEメールの編集部原稿を担当しております日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長の河田孝雄です。

 早いもので2013年も2月に入りました。1月29日に2013年度予算政府案が決定しました。ただいまバイオ関連予算のとりまとめ進めていますが、自民党の新政権下で2013年度予算の概算要求をもう1度やり直し、1月15日には2012年度補正予算が決まり、この補正予算と2013年度予算を合わせた「15カ月予算」となり、例年に比べ複雑です。

 2013年度予算に盛り込もうとしていた予算の一部は、前倒しして2012年度補正予算に盛り込まれた案件もありますが、次の2014年度予算を要求するときに、前年度実績を2013年度予算(12カ月予算)とすると、前倒しの2012年度補正分は、実績にはカウントされない懸念があります。前倒し補正は、「毒饅頭では」という見方もあります。

※日経バイオテクONLINEの予算関連記事(新しい順です)

理研やJSTなど研究開発型独法5法人の統合は当面凍結、2013年度予算政府案に盛り込まず
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130131/165869/

環境省の福島ゲノム調査費は2013年度予算に盛り込まれず、新規に自然生態系への影響調査費
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130131/165855/

日本学術会議バイオインフォ分科会、バイオインフォの国立研究所構想を検討
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130128/165774/

【機能性食品 Vol.78】戦略的食品バイオ研究開発拠点、ポリアミン学会
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130125/165739/

山本科学技術相インタビュー、「総合科学技術会議の予算権限保有を検討する」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130121/165640/

「物質・材料研究機構、防災科学技術研究所、科学技術振興機構(JST)、理化学研究所、海洋研究開発機構の5法人を統合して、研究開発型成果目標達成法人とする」という内容を含む2012年1月20日閣議決定の「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」は、「当面凍結する」ことが2013年1月24日に閣議決定されました。

 この独法5法人が統合すると、JSTが理研などに競争的資金を配れなくなる、という指摘もありました。1月24日の閣議決定では、「独立行政法人の見直しについては当面凍結し、2013年度予算は、現行の制度・組織等を前提に編成するものとする。独立行政法人の見直しについては引き続き検討し、改革に取り組む」と、行財政改革で記載されました。

 民主党政権の2010年秋の事業仕分けの結果を受けて、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、NARO)傘下の生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター)が、NARO傘下の研究機関に競争的資金を配れなくなっていた、農林水産省では、2013年度から「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」(政府案予算額45億7600万円)を始めます。

 シーズ創出ステージから発展融合ステージ、実用技術開発ステージまで、産学連携による研究開発を「シームレス」で推進します。従来からある競争的資金の「イノベーション創出基礎的研究推進事業」は、既存プロジェクトの継続のみで新規採択は行いません。2013年度予算案の額は20億円5700万円と、2012年度予算の40億3900万円に比べ、ほぼ半分に減ります。

 今回のメールではもう1つ、研究者のアウトリーチ活動(研究成果公開活動)の話題もお届けします。

 先週と今週、文部科学省の文部科学記者会で、論文発表する研究成果の「事前レク」(記者向け説明会)を取材しました。このうち今週の案件は、報道解禁が来週水曜日(2月6日)ですので今日は触れません。先週水曜日(1月23日)の説明会が開かれた論文は1月25日(金)4時が報道解禁でした。

 東京都医学総合研究所の平野恭敬主任研究員(科学技術振興機構さきがけ研究員を兼任)が、ショウジョウバエの学習実験で、空腹状態が長期記憶形成を促進することを見いだしたという成果をScience誌で発表することを説明しまして、ちょうど受験シーズンということで注目度が高く、TVカメラが5台並びました。

都医学総研、Science誌で「空腹時の学習で記憶力向上」発表、記者説明会にTVカメラ5台
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130124/165706/

 今回のショウジョウバエの成果を、ヒトに当てはめるとどういうことがいえるのか、という点に質問が集中しました。ショウジョウバエの時間を、ヒトの時間に換算するのは難しいと、平野さんはお答えでした。「朝飯前の学習は記憶するのに良い」という情報発信は社会通念的に好ましいかと思いますが、それでは「朝飯を抜いた午前中の学習はどうなのか」といった素朴な疑問も生じます。

 研究の成果を社会に還元するため、基礎研究の成果を実生活にに当てはめて説明しなければならないアウトリーチ活動は大変だと、改めて感じました。