皆さん、お元気ですか。

 今朝、BioJapan2013の企画会議に出席、今年も力強く皆さんにバイオテクノロジーとバイオ産業の現状と課題を訴える国際会議・展示会となることを確認いたしました。昨年は1万2369人が横浜に参集、2011年の2.5倍増を記録しました。そして何よりも嬉しかったのは、有料化したにも関わらずパートナリングの参加企業が541社、868名に上ったことです。昨年のパートナリングシステムによって仲介された面談は約3400件と2011年の2倍超を記録しました。BioJapanはオープンイノベーションのウィンブルドンになることを目指して、この10年頑張ってきましたが、ようやっとわが国にもオープンイノベーションに取り組む企業も増大、アジアや海外企業の日本の潜在技術力や臨床試験の実力の再評価も加わって、ぐんぐんとパートナリングの件数と質、つまり共同研究や提携の実が得られるまで成長して参りました。今年10月9日から11日までパシフィコ横浜で開催するBioJapan2013でも皆さんのオープンイノベーションのインフラとして成長すべく、頑張ります。どうぞご支援願います。

http://www.ics-expo.jp/biojapan/

 多分ですが、オープンイノベーションの最大のインフラであった中日のお祭り騒ぎは、BioJapan2013で復活する予定ですので、是非ともご注目願います。

 さて、バイオです。本日は30分後に日経バイオテクのマーケティングDAYがありますので、短く記述いたします。

 先週1月30日に再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会が開催されました。私も専門委員として招聘されておりますので、午後5時に厚生労働省12階の専用会議室に駆けつけました。ドアを開けてびっくりしたのは、全ての在京テレビ局のカメラがずらりと並んでいたためです。まだ第4回目の委員会で、とりまとめの会議でもないのに、どうしてこんな騒ぎとなってのか?委員は全員不審顔でした。

 これは1月29日の朝日新聞の1面で「iPS再生医療、承認制に 厚労省案、罰則付きで法規制」という記事がでかでかと載り、翌日の1面で読売新聞が後を追った影響です。しかし、この委員会の当事者としては、これは誤報に限りなく近く、もしくは厚労省のアドバルーン記事に過ぎないもので、これを一面で報道するのは疑問です。これを明かすのは恥ずかしいことですが、委員会ではまだ再生医療の定義すら、再生・細胞医療か、それとも細胞医療か?で大もめにもめている段階です。

 とてもiPS細胞を罰則付きの法規制でやるところまで腹は固まっておりませんし、第一、現在の幹細胞の倫理指針でも、iPS細胞の臨床研究には大臣承認が必要です。また薬事として臨床試験する場合でも、iPS細胞を最終的に医療行為として使うためにには大臣承認が必要なのです。こうした制度との整合性なども、今後の議論になりますので、一体、この記事は何を言わんとしているのか?まったく意味不明であり、現在、真正面から進んでいる再生医療の法規制に関してノイズとなるだけの記事です。

 このメールでも既にお伝えしておりますが、現在開催中の通常国会で再生医療関連法案3本の提出が計画されています。既に先月、自民、公明、民主の3党合意が成立、今国会に提出が決まった再生医療基本法、加えて厚労省内で現在成案化が進められている薬事法改正(再生医療を別章で明記し、自家および自家に準じる再生医療に関して、条件付き早期承認制度を導入)、そして今回の誤報の原因となった再生医療安全性確保と推進法(仮称)です。

 再生医療安全確保と推進法の狙いは、現在、医療法と医師法による“医師の裁量権”に基づいて行われている効果も安全性も確かめられていないなんちゃって再生医療の取り締まりと、医療法と医師法によって行われている再生医療の安全性確保とそこで得られた症例や情報をより安全で有効な再生医療の開発に結びつけるためのシステム作りです。iPS細胞などリスクの高い再生医療は既に存在する薬事法や先進医療制度(先進医療B)、幹細胞倫理指針で国の規制と審査をきちっと受ける仕組みができていますので、今回の法案の目玉は明確にiPS細胞ではありません。むしろなんちゃって再生医療を規制し、再生医療の推進を図ることが眼目です。毎日新聞の先月のスクープで明確となりましたが、韓国のベンチャーが細胞培養した自己の細胞を手荷物として日本に搬入、日本の医療機関で移植を受けることが常態化し、韓国政府が懸念を表明するところまで事態は深刻化しています。国家戦略として再生医療を推進している韓国は薬事承認なしの再生医療を日本のように医師の裁量権を盾に移植することはできません。

http://mainichi.jp/select/news/20130110k0000m040098000c.html

 わが国も国家戦略として再生医療を推進するならば、野放図な医師の裁量権を再検討し、正しい再生医療を育成する法を成立させなくてはなりません。

 今週もどうぞお元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

ご連絡は、https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/