皆さん、お元気ですか。

 現在、薄暗い厚労省の地下のSUBWAYでこのメールを書いております。エネルギーの節約のためか?とにかく暗くて、誠に辛気くさい。これでは明るい智恵は浮かびません。率先垂範も宜しいですが、いかに事務効率を改善するかにも気を配らなくては、お役所の効率は低下するばかりです。日本を動かしているのですから、萎縮したふりだけでは事は前に進みません。

 さて、個の医療です。

 「会社分割によって誕生した弱みなどない」とGary M. Winterアッヴィ合同会社社長は強調しました。しかし、個の医療に必要な診断薬事業と新薬事業が分かれたのは痛手ではないのか?と畳みかけると、少し眼が泳いだ気がしました。

 今年1月、米Abbott社を分割し、診断機器、医療機器、栄養製品など新興国などにも通用する製品群を持つ新Abbott社と、研究開発に力点を置き、新薬開発を行う米Abbvie社が誕生しました。

 旧Abbott社の株主には1株に対して、Abbie社1株が与えられました。誕生から1カ月しか発っていませんが、株式分割して売り上げ2兆円の企業が2つ誕生したことを考えると、NY市場で新Abbott社の株価が半減し、その株価をAbbvie社が上回っているので、市場はほぼ堅調にこれらの2社を評価したことになります。
http://jp.reuters.com/investing/quotes/chart?symbol=ABT.N
http://jp.reuters.com/investing/quotes/chart?symbol=ABBV.K

 旧Abbott社は、新興国市場に殺到するビッグファーマや我が国の大手企業に背を向けて、先進国市場を新薬で深掘りする逆張りを仕掛けてきました。個の医療に関しても、診断薬部門を切り離すという時流とは逆行する戦略をとりました。これが吉と出るか?凶と出るか?注目しなくてはなりません。

 周りを見回すと、他社は診断薬企業との戦略的提携から、米Roche社が第二世代ゲノムシーケンサー開発企業Illumina社の買収をまだ諦めていないなど、様々な手を仕掛けております。私はこの3年間で診断薬企業と製薬企業の再編成が起こると確信しておりますが、新Abbott社の診断薬事業部門をAbbvie社が再度買収する可能性すらあると考えています。少なくともバイオマカーの研究開発組織はAbbvie社に置かないと、今回の大胆な逆張りは個の医療という伏兵のために危うくなる可能性もあります。

 個の医療は、ある意味で従来の医薬品の売り切りモデルを根底から覆すビジネスモデルの革新であることを、一時も忘れてはなりません。

 今週も、皆さん、どうぞお元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

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