明けましておめでとうございます。毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日の日経バイオテクONLINEメールの編集部原稿も担当しております日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長の河田孝雄です。本年もどうぞよろしくお願いします。

 年初恒例の賀詞交歓会が先週、今週と開催されています。

 今週水曜日(2013年1月16日)には、バイオインダストリー協会(JBA)などバイオ関連12団体の合同賀詞交歓会が東京會舘であり、会場は大賑わいでした。メール読者の方々も参加なさった方も多いのではないでしょうか。

 JBA会長の大石道夫さんに新春展望のご寄稿をいただきました。全文ご覧いただけます。

新春展望2013、わが国バイオの“不都合な真実”
大石道夫(JBA会長、かずさDNA研究所理事長)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121231/165380/

 先週金曜日(1月11日)にパレスホテル東京で開催された日本通信販売協会(JDMA)の賀詞交歓会は、ネット通販会社2社がOTC薬をネットで販売できる権利の確認を求めた訴訟で、国の敗訴が確定した当日でした。

※日経バイオテクONLINEの賀詞交歓会の関連記事

JBAなどバイオ関連12団体が合同賀詞交歓会を1月16日に開催、新たな主催団体は高機能遺伝子デザイン組合
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130109/165471/

清水寺「常山蛇勢」の書を山東昭子JHNFA会長が紹介、乾杯の音頭は大野泰雄NIHS所長
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130116/165579/

日健栄協、1月16日に参議院議員会館で新春セミナー、3月1日のトクホ講習会で河田照雄京大教授が講演
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130109/165458/

アステラスの野木森会長、業界団体の賀詞交歓会で挨拶、「創薬先進国日本のためにさらなる貢献する」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130111/165503/

 政権が代わって、各省庁は2013年度予算の要求を出し直し、2012年度補正予算は政府案がまとまりました。ただいま予算関連の取材も進めております。

農水省、補正予算20億円で健康リスク低減農林水産物供給システム開発へ、「攻めの農林水産業」前倒しの一環
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130118/165602/

 2012年年末には、国内外で活躍するアカデミア研究者お2人に、つくばでお会いすることができました。

 2013年1月からスタンフォード大学教授に異動した構造生命科学の若槻壮市さんと、テキサス大学で長らく研究室を主宰してきたエンドセリン、オレキシンの柳沢正史さんです。

つくばKEK構造生物学センター長の若槻教授がStanford大に転出、文科省創薬プラットフォーム解析拠点代表など継続https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121224/165238/

文科省WPIの筑波大国際統合睡眠医科学研究機構、柳沢正史機構長の下、裏出良博氏や長瀬博氏、櫻井武氏ら集結
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121224/165240/

 若槻さんとは30年近く前になりますか、学生時代からの知り合いです。博士課程は海外に進学することを学部の研究室配属当初から本人が決めていたためかと思いますが、大学の研究室では若槻さんとの会話は「日本語禁止」と教授からお達しがありました。学位を取得したスタンフォード大学に教授として赴任するので格別なことではと思います。2011年3月11日には、文部科学省ターゲットタンパク研究プログラムの公開シンポジウムの会場である東京大学安田講堂の前庭で、シンポジウムの再開を待っている間にお会いしました。

東大安田講堂で開催の文科省ターゲットタンパク公開シンポ、東日本巨大地震で途中取り止めに
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/7727/

 若槻さんは欧州のシンクロトロン施設のビームライン責任者を6年ほど務めた後で日本に戻り、12年間ほど、日本のシンクロトロン施設など構造生命科学に寄与してきました。今後も、文科省が2012年度から開始した創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業の解析拠点長や、科学技術振興機構(JST)が2012年度から開始した戦略的創造研究推進事業「ライフサイエンスの革新を目指した構造生命科学と先端的基盤技術」の個人型研究さきがけの研究総括は、引き続き務めらます(チーム型研究CRESTの研究総括は東京都医学総合研究所所長の田中啓二さんです)。このような活動を通じても、日本国内のサイエンスに寄与するのでひと安心と感じました。

 若槻さんにも、新春展望を寄稿していただきましので、ご覧ください。

新春展望2013、構造生命科学の国際的発展に向けて
若槻壮市(スタンフォード大学教授)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130103/165404/

 筑波大学の柳沢さんとはかつてエンドセリン研究会でたびたび発表をうかがいました。柳沢さんらがエンドセリンの発見をNature誌に発表したのが88年3月ですので、25年くらい前からのことです。早くからテキサス大学で研究室を主宰なさっていましたが、文科省の世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)に筑波大学の案件が採択され、国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)が2012年12月に筑波大に設置されたのを契機に、柳沢さんの研究拠点は全面的に筑波大ということになりました。良好な研究環境を用意してもらえたので、筑波大を選んだ、と柳沢さんはお話しでした。

 柳沢さんは09年採択の最先端研究開発支援プログラム(FIRSTプログラム)に選ばれ、政権交代に伴う見直し(予算規模の削減など)に伴う専任義務解除がなければ、3年ほど前から柳沢さんの研究拠点は日本になっているはずでした。このIIISには金沢大学医薬保健研究域医学系教授の櫻井武さんも参加するので、WPIと内閣府/日本学術振興会の最先端研究開発支援プログラム(FIRSTプログラム)、最先端・次世代研究開発支援プログラム(NEXTプログラム)の3つが揃いました。WPIとFIRST、NEXTの3つが揃った拠点が他にあるのかどうか、十分調べられていませんが、3つそろい踏みという意味でも注目の拠点といえます。FIRSTとNEXTは2013年度で終了します。

 睡眠研究は、日本の研究者の活躍が目立っている分野と思います。この筑波大IIISに参画なさる裏出良博さんにも、12月に大阪でお時間をいただきました。裏出さんにも、新春展望を寄稿していただきました。ぜひご覧ください。

新春展望2013、睡眠研究と宇宙創薬
裏出良博((公財)大阪バイオサイエンス研究所分子行動生物学部門研究部長、大阪大学大学院医学系研究科加齢医学講座招へい教授、(株)スリープウェル取締役)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121231/165382/

 裏出さんもいわゆるメガファーマの海外にある研究所に勤務した経験もお持ちです。

 この年末年始で、法人税率が日本よりも低い国に事業の拠点を移したという日本企業の報道がありましたが、世界レベルの研究者にとっても、国境はないといえます。

 火力発電所の燃料となる液化天然ガスのスポット価格が急騰しているというニュースを今朝見ましたが、資源の少ない日本が今後活力をいかに維持していきうるのか、は大きな課題です。

 こと日本国民の税金が原資の公的研究の場合、日本国民への社会貢献が課題とされ、主要プロジェクトなどでは、アウトリーチング活動が義務化されています。米国など英語圏の国の場合には、英語で発表された論文に、国民が無料でアクセスできるように体制を整備するだけでも、納税者に対する責務の一部を果たせます。

 米国立衛生研究所(NIH)のパブリックアクセス法が2008年4月に施行され、PubMed Centralが米国で推進されている恩恵を、日本の国民も得られるわけですが、日本国民にとっては、PubMed収載の論文を参考にするのは、ちょっとハードルが高い。日本語での研究成果の社会還元も求められています。

 いわゆる国益のためにも、公的研究の成果をどのように社会還元していくか、仕組み作りがまだまだ必要ではと思います。

 主要な国際学術ジャーナルで論文発表した日本の研究成果については、人的資源もさいて成果を公表する取り組みを進め、成果が挙がっているのでは、と思います。科学技術振興機構(JST)や理化学研究所がその代表と思います。一方、大学においては、いわゆる旧帝国大学など一部を除き、大学の大半では、この体制を整備できていません。試行錯誤も続いているように思います。

 今週の日本研究機関の論文記事の中では、ノーベル経済学賞がキーワードの1つとなりました。2003年にノーベル経済学賞(アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞)を受賞した英国人William John Granger博士のGranger因果性解析を用いた論文が、相次ぎ発表されました。ノーベル経済学賞とバイオとの意外な関係ともいえます。バイオテクノロジーの関係する分野がいかに広いかを示す好例かと思います。

理研PSCと九大、代謝反応ネットワークを実測データだけで推定、ノーベル経済学賞の因果関係も活用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130111/165501/

JSTと東大医の宮下保司教授ら、記憶を思い出す源の神経回路を解明、ノーベル経済学賞の因果性解析を活用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130109/165483/

 メール原稿の締め切り時間になりましたので、今回はこの辺りで失礼します。