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◆□◆□●皆さん、お元気ですか
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 機内アナウンスが「到着地、千歳の気温は-23℃」とあっさり告げました。北海道
を寒波が襲っているは聞いていましたが、これは凄い冷え込みです。学生の時、毎冬
登っていた蔵王の山頂でも滅多にない極寒です。出がけに「帽子を持った?」と言っ
た家人の愛を知りました。逆らった愚かな私はこれからどうしたらよいのか?

 今年も年初から全回転で仕事をしております。月曜日に博多、水曜日に札幌と読者
の皆さんの傍らを通り過ぎています。まるでマグロのように回遊を止めてしまうと呼
吸ができなくという恐怖心だけでなく、やはり現場に行き、当事者に会うことが記者
の原則だと信じているためでもあります。今晩は我が国をリードするバイオベンチャ
ー企業、イーベックの創立10周年のお祝いもあり、気になっている北のイノベーショ
ンの取材を組み込みました。今年もどうぞ宜しく願います。遠慮無く、ニュースがあ
ればお知らせ願います。

 さて、個の医療です。年始の忙しさにより1日遅れの送信となることをお許し下さ
い。

 究極の個の医療とも呼べる技術突破が起こりました。2013年の年頭に皆さんにお伝
えできるのは、望外の喜びです。まさに縁起が良い。2013年1月9日号のNeuron誌に掲
載された成果です。時差の関係で1日メール遅れたために解禁に間に合った。怪我の
巧妙です。

 慶應義塾大学医学部生理学教室岡野栄之教授、同大学医学部耳鼻咽喉科学教室藤岡
正人助教、国立成育医療研究センター感覚器・形態外科部耳鼻咽喉科の水足邦雄医局
長らが米国Harvard大学と共同研究行った成果です。10年越しの研究がやっと花開きま
した。Harvard大学はマウスの聴力を調べる超高感度装置を供給しただけですから、こ
れは我が国の血と汗と涙の成果と胸を張れるでしょう。

 その成果は、本当に簡単に言うと、薬剤を投与して聴覚を司る有毛細胞を再生し、
難聴を治療できた、ただし動物実験ですが。究極の個の医療とは、個人の再生能力や
自然治癒能力を助ける治療ではないか、そういった私の妄想をまさに体現した研究
です。

 今までの個の医療の研究開発はまったく残念なことに、医薬品や製薬会社の都合に
ぴったり合う患者を探すというまったく受け身の個の医療でした。2年前くらいからこ
れで良いのかと悩んでおりましたが、実際の研究を展開した藤岡先生とのインタビュ
ーで実感しました。能動的な個の医療、つまり個々人の再生能力や自然治癒能力に
合わせた医薬品開発を目指すことこそが、次世代の個の医療であると。

 詳細は日経バイオテクonlineで報道しますが、少し種あかしをすると、薬剤はγセ
クレターゼ阻害剤をNotch阻害剤として使用しました。局所注射でもまだ商業化までは
道のりが遠いですが、併用薬剤の探索など、ここに投資すれば次世代の再生医療と個
の医療の道が拓かれると実感いたしました。

 きっと今年も個の医療は想像外のスピードで進展するはずです。

 千歳は快晴、もう少し冷えればダイアモンドダストが見られるかも知れません。
そんなチャンスがあるなら、頭の凍傷の心配など忘れてしまいます。

 皆さんもどうぞお元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

ご連絡は、https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/