新春展望2013、世界ナンバーワンを目指す

(2013.01.02 01:00)
道下眞弘=UMNファーマ会長

 「為せば成る」。財政再建と殖産興業を成し遂げた米沢藩主上杉鷹山の有名な言葉である。「やればできる」。2012年を振り返るとき、私の想いのすべてがこの言葉に凝縮される。

 GMP適合を目指す大型バイオプラントを2つ建設するという、無鉄砲と批判されかねない壮大なプランをほぼスケジュール通り完遂したからだ。社員、エンジニア、工員たちの奮闘ぶりはすさまじかった。予期せぬ失敗やケアレスミスもあったが、それらを糧にして個人も組織も大きく成長し、世界最高レベルのプラントができあがったと自負している。アステラス、IHI、アピという素晴らしい事業パートナーに恵まれたことが大きな推進力になったことは言を待たない。厚生労働省・経済産業省には、資金面だけでなく、的確なご指導をタイムリーにいただくことができた。この場を借りて、皆さまに心から謝意を表したい。

 私たちの事業は、細胞培養法による遺伝子組み換え型インフルエンザワクチンの開発、同じく細胞培養法を用いた遺伝子組み換え型の感染性胃腸炎予防ワクチンの開発、そしてバイオ医薬品製造受託事業の3つを柱としている。

 2013年は国内でのインフルエンザワクチン生産体制を固めることに全力を注ぐとともに、攻めの場を世界に求めたい。すでに先月、バイオ医薬品の研究開発を得意とする韓国の日東製薬と提携することができた。今後は、台湾・中国・シンガポールでの展開を本格化させたい。米国の事業パートナーであるProtein Sciencesは、2013年早々にもFDAから正式承認を得ると予想され、これが実現すれば細胞培養法による遺伝子組み換え型インフルエンザワクチンでは世界初の快挙となる。ワクチン製造の進化マップが塗り替えられるほど大きなインパクトを持つ偉業である。

 鶏卵でインフルエンザウイルスを効率良く増やす現行のワクチン製造法は、数十年の長きにわたって世界中のワクチン製造を支えた科学史に刻まれる大発明であり、今後も消えることはないであろう。しかし、世界の趨勢は、細胞培養法へと大きくシフトしつつある。2年前、鶏卵法の開発者Dr. Kilbourneが、Protein Sciencesの本社があるコネチカット州で90歳で大往生されたというニュースを聞いたとき、因縁めいたものを感じたのは私だけではないであろう。

 第2の柱は、ノロウイルスとロタウイルスによる感染症を同時に予防できる世界初の画期的なワクチンの開発である。臨床試験入りを視野に入れ、CMCを固めながら非臨床試験を遂行するフェーズにある。昆虫細胞を用いて製造するためプラットフォームテクノロジーはインフルエンザワクチンとまったく同じである。これまで蓄積してきた知識・ノウハウが有効に使えるため、予想よりも速いスピードで開発が進んでいる。フィンランドのタンペレ大学から導入したものではあるが、ここ日本で開発がスタートした国産技術である。大きな社会問題となっている冬季の感染性胃腸炎や食中毒を予防する切り札に育てたい。

 第3の柱は、昨年,米国Catalent Pharma Solutionsと提携し本格的なサービスを開始したバイオ医薬品製造受託事業である。2013年中に少数の研究開発型企業とがっぷり四つでバイオシミラー・バイオベターの開発・製造に着手できる見込みである。私たちが提供する製品は世界最高品質のバイオ医薬品であるとの自信を持っている。

 冒頭の鷹山の言葉には続きがある。「為さねば成らぬ何事も.成らぬは人の為さぬなりけり」。やろうという意志がなければなにも始まらない、できないのはやろうとしないからだ、心の底から強く望むことではじめて道が開けるのだ、と鷹山は説く。読者諸氏とこの言葉を噛みしめながら2013年に臨みたい。

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