弊社はBridge Of Nucleic Acids Chemistryの頭文字をとりBONACと名付け、核酸化学を駆使したR&Dを事業の中核として2010年2月1日に創業致しました。当初、多大な資金を必要とする創薬分野には進出しないことを掲げて、核酸化学に特化したビジネスの展開を考えていたのですが、昨年に核酸創薬と核酸化学は両輪であることを痛感するに至り、2013年より核酸創薬に本格的に取り組む決断を致しました。この度、せっかくの執筆のご機会をいただいたので、弊社の今までの事業方針と2013年の目標について述べさせて頂きたいと思います。

小さな企業としての知的財産戦略

 弊社はRNA干渉に必須である独自の物質特許をまず日本国内において早期成立させることを目指しました。弊社のような核酸創薬でビジネスを展開する小さな企業が生き残るためにはパテントポートフォリオ分析に裏付けられた知財戦略の構築が不可欠であると考えております。特に創業間もないベンチャーにとって、自ら特許出願ができる環境がなければ、生き残るためのオリジナリティーを確保することが出来ません。しかしながら、ベンチャー独自で高価な分析機器や高度研究体制を整えることは難しく、この環境整備こそが弊社のような設立間もない小さなベンチャーにとって一番の肝ではないかと感じております。

小さな企業としてのR&D戦略

 そこで弊社はベンチャーに対する地方自治体の研究・事業支援体制やインキュベーション施設などを調査した結果、核酸化学を中心とした研究開発拠点を福岡に、分子生物関連などのバイオ研究の拠点を沖縄に設置することにいたしました。福岡県には久留米リサーチパークが運営する福岡バイオファクトリーという施設があり、そこでは核酸化学を駆使した研究開発や核酸オリゴ製造に係わる部門を設置しました。そして新たに生まれた核酸化学に基づく技術の知財強化を行うには、バイオアッセイや動物実験までも自社で行う必要があり、このような実験を自社で行える場所を探していたところ、沖縄県の沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターに出会いました。同センターではバイオアッセイや動物実験だけでなく、バイオベンチャーでは到底揃えることが出来ない分析機器や高度な研究環境が整っており、それらを駆使することによりベンチャーが求められるスピード性も発揮できる非常に優れた施設であると思います。また、沖縄には昨年開学した沖縄科学技術大学院大学(OIST)や琉球大学医学部があり、日本としても新しい取り組みになる核酸干渉医薬のシーズ探索から臨床までの研究開発を沖縄県とベンチャーが一体となって推進出来るのではないかと、ベンチャー企業の立場からは相乗効果に期待を寄せております。

オールジャパン核酸創薬に向けて

 弊社は独自の核酸干渉作用を有するプラットフォーム技術(基本特許)とその周辺を網羅する知財戦略の推進を行っておりますが、弊社が事業性を加味した研究開発領域に特化できるのは日本のアカデミアの先生方から生み出される優れたシーズ研究があってこそであります。弊社としてはそのシーズを弊社プラットフォーム技術に組み合わせることで創薬につなげていきたいと考えており、この度アカデミアの先生方のご支援もいただき、まずは局所と希少性疾患に特化した非臨床・臨床開発の創薬ベンチャーを2013年2月に沖縄で立ち上げ、核酸創薬の実現を目指して微力ながら尽力していきたいと考えております。

 最期に、弊社が約3年でここまで来る事が出来たのは、アカデミアの先生方はもちろんの事、行政や地方自治体、製薬会社、試薬販売会社、金融機関等の皆様のご支援がなければ到達出来なかったことは明白です。今までのご恩に感謝して、本年は次の飛躍に向けたステップを目指していきたいと思います。