病気で一度、政権を降りた安倍さんが、新薬により首相として再び返り咲き、2013年の日本を牽引する。行うべき最優先の課題は、日本経済の復活であり、東北の復興である。まさに2013年のキーワードは再生である。伊勢神宮の20年ごとの遷宮と一致するのもめぐり合わせ妙というものだろう。

 バイオもキーワードは再生である。iPS細胞を中心とした再生医療を中心として動くことになろう。iPS細胞関連へ偏重しすぎるとの声もあるが、今しばらくその声を封印すべきだろう。国はiPS細胞を用いた医療を世界のどこよりも早く実用化するために、薬事法の改正を含めた法整備や規制緩和の議論を本格化させている。iPS細胞は遺伝子導入細胞であるため、iPS細胞を用いた医療とは、遺伝子治療と再生・細胞医療の両面を併せ持つレギュレーションが非常に高いものである。国がこれを世界のどこよりも早く実用化するための環境整備を行うということは、遺伝子治療や細胞医療、幹細胞医療などこれまでなかなか進まなかった先進的な医療の開発や事業化はよりスムーズに進む環境になるということである。

 規制緩和により新たな事業も創出されよう。国がiPS細胞を用いた医療の実用化に熱心になればなるほど、iPS細胞以外のバイオ領域の事業環境も整えられると考えるべきであろう。2013年はiPS細胞のおかげで日本バイオ業界は事業環境のインフラ整備が進む、追い風の環境となろう。2012年10月8日は後の世で日本バイオの歴史的転換点だったと認識されると考える。このタイミングでバイオ音痴の野田さんから先進的な医療に対する重要性を骨身にしみて実感している安倍さんへバトンタッチしたことも日本のバイオ業界にとっては幸運といえよう。

 まずは、自民党が政権公約で通常国会に提出し成立を目指すとしている「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けるための総合的施策の推進に関する法律案」と、神戸で始まるiPS細胞を用いた臨床研究に注目である。みずほ証券は国内大手証券の中で唯一、バイオ専任アナリストが存在し、日本のバイオ情報を国内外の投資家へ発信している。山中教授がノーベル賞を受賞した12年10月8日以降、日本のバイオの話を聞きたいという海外投資家からの依頼が急増している。2013年は昨年以上に日本バイオの情報を世界に発信していきたいと思っている。