皆様、あけましておめでとうございます。2012年は税・社会保障一体改革の一環として、医療イノベーションを進めるべく、開発振興、規制制度の両面において、改革が進んだ年といえると思います。開発振興面においては、早期・探索的臨床試験拠点事業が2年目に入り、フェーズIセンターの整備が進み、従来、欧米に一歩も二歩も遅れていたFirst in Human試験を日本においても実施できる環境整備が進みました。

 日本はもともと、和を重んじ、チームで信頼性を保ちつつ質の高い開発を行いうることが持ち味であり、特に現在、アルツハイマー病等の臨床試験は国際的にも激戦となっていますが、産学連携は2013年にはさらに進展し、日本発あるいは日本を含めた世界同時開発につながっていくと期待されます。2012年10月には、アカデミアの弱点である薬事人材不足への対応として、PMDAとアカデミアの人材交流事業もスタートし、薬事戦略に精通した人材を確保し、出口を見据えた開発が可能になってきています。

 一方、審査の面においてもアカデミアから先端的研究に精通する人材をPMDAに受け入れ、PMDAの審査のさらなるレベルアップが期待されます。今後、FDAやEMAとともに、世界の規制当局の中から選ばれるPMDAになっていく、いや、なっていかなければならない、と考えています。

 2012年には臨床研究中核病院なども新たに選定されましたが、事業仕分け・予算削減などで厳しい状態となりました。新政権はスピード感のある成長戦略を推し進めていますが、学から産へのトランスレーショナルリサーチを進めていくための学における人件費確保や雇用問題の解決、臨床研究人材の育成が重要と認識しています。トランスレーショナルリサーチの推進は、日本の基礎研究者の成果の実用化を推し進めることにつながり、基礎研究者のモチベーション向上にもつながり、産学の好循環を生み出すと期待されます。iPS関連でさらなるノーベル医学・生理学賞を日本にもたらすことにもつながればよいと思います。

 規制改革の面では、治験のルールであるGCP省令、通知などの改正を行い、日米欧共通ルールとしてさらなる国際的整合性が進みました。日本は質の高い治験を実施する一方で、ただでさえ人材不足の中、本質的でない無駄な書類作業が多く、日本独自のJ-GCPなどと揶揄されていました。今回の改正により、安全性を確保しつつ、効率的な治験プロセスが可能になり、ARO(Academic Research Organization)たる早期・探索的拠点や臨床研究中核病院、グローバル拠点などがワンストップサービスを提供することが可能になったといえます。今後、ITも活用することにより、さらなる治験の効率化・活性化につながるとともに、医師主導治験も増加していくと思います。また、2013年の通常国会では、薬事法改正なども予定されており、再生医療・細胞治療製品や医療機器の開発環境の整備はさらに進んでいくものと期待されます。経済産業省や文部科学省とも連携し、スピード感を持って、日本を世界の医療・介護・健康立国とし、世界のPublic Healthの向上に日本が貢献するべく、虚心坦懐、がんばってまいりたいと思います。今年も皆様、ご協力、宜しくお願いいたします。