あたふたとニュースを追って、また一年が過ぎようとしています。皆さんも年の瀬
の忙しさに追われているのではないでしょうか?本日も東京は極寒、日本列島全体が
クリスマス寒波に包まれています。どうぞ、皆さん、ご自愛願います。

 個の医療に関して、1年間報道してまいりましたが、2012年は我が国でも、
コンパニオン診断薬と新薬の同時承認(実際は診断薬の先行承認)が、実現いたしま
した。まさに、個の医療元年を迎えたといえるでしょう。関係者の皆さんの甚大な努
力に経緯を表したいと思います。

 抗体医薬「ポテリジオ」と肺がんの標的薬「ザーコリ」が共に、今年5月に協和
発酵キリンとファイザーによってそれぞれ発売されました。これがわが国の個の医療
の本格的な医薬品の先駆けとなったのです。コンパニオン診断薬として、前者は抗体
が結合するCCR4抗原を検出する免疫診断薬、後者は標的であるEML4-ALK融合遺伝子を
検出するin situハイブリダイゼーションの診断薬が、
協和メデックスとアボットがそれぞれ先行発売しました。

 米国でのコンパニオン診断薬と新薬の同時発売は、2011年8月に発売された
「Zelboraf」(変異型B-RAF遺伝子を標的とした悪性黒色腫治療薬)と「Xalkori」
(ザーコリの英語名)が、初めて実現いたしました。日米の差は10ヶ月間存在して
います。来年はこの差を短縮することと、医薬品医療機器総合機構の審査体制を
拡充して一過性ではなく、持続可能なコンパニオン診断薬の審査体制を構築する
必要があるでしょう。そのためにも、是非ともコンパニオン診断薬のガイダンスを公
表いただければありがたい。

 こうした情報開示が、企業や研究者の意欲をかき立て、個の医療を前進させると
考えています。透明性と情報の開示に一層、力を注いでいただきたいと思います。

 先週、次世代シーケンサーの開発企業、米Illumina社の株化が跳ね上がりました。
スイスの地方紙が一度諦めたスイスRoche社が81億ドル(前回より20億ドル超)で再
び買収を持ちかけ、合意したと報道されたためです。既に先週お伝えした通り、
米Amgen社がアイスランドの遺伝子診断・遺伝子探索企業のDeCode社を買収するなど、
来年はゲノムシーケンス企業の買収合戦が始まりそうな兆しです。

 フルゲノムシーケンスに基づく、個の医療の次代が迫ってきました。

 来年もまた偉大な変化の年となりそうです。どうぞ皆さん、良き年をお迎え願いま
す。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満