いよいよ年の瀬となってまいりました。

 今年も変化の年でしたが、皆さんの2012年はどうでしたでしょうか?自民党の大勝
で、本日、安倍総理が誕生いたします。来年は新しい政権で、バイオ産業も新たな飛躍
を狙う年となります。安倍首相は前回の第一次安倍内閣(2006年9月から2007年8月)
で、ドラッグラグなど先端医療の問題を歴代の日本国首相として初めて、施政方針
演説で取り上げました。わが国の先端医療改革はこの時から始まったと言っても良
いでしょう。小泉改革で絞りに絞っるだけだった社会福祉予算削減から、医療イノ
ベーションによって、医療の質向上を図る先駆的業績を上げました。治験活性化5カ
年戦略や官民対話など医療イノベーションに背を向けていた我が国の医療行政を大
きく、変革に舵を切ったことは評価しなくてはなりません。

 2012年のバイオは、ナノポアシーケンスの商業化など、第四世代のゲノム解析技術
の登場、9月にはわが国のスーパーコンピュータ、京の稼働など、基盤技術のイノベー
ションがさらに進んだ年でした。New Breeding Technology(NBT)の台頭も
忘れてはなりません。

 たんぱく質がDNAの塩基配列を認識し、DNAを切断するTALENなどを使った育種技術
の技術突破は、できあがった種子や細胞に遺伝子を操作した痕跡が残らない最新技術
です。5%未満の意図せぬ混入を、遺伝子組換え表示の閾値としているわが国のGMO
表示制度を根本から再検討しなくてはならない技術突破です。個人的に言えは、もう
育種や遺伝子導入の手法に着目して、食費の安全性を担保しようというのは、完全に
行き詰まってしまったと考えています。育種法によらない、製品毎の物質レベルでの
安全性の検証が重要です。放射線育種や組織培養によっても、ゲノムに突然変異や
構造変化が起こることが証明されています。ゲノムレベルでまず、本当の安全性とは
何か、科学的に議論を積み重ねていかざるをえないでしょう。

 今朝、ライフテクノロジーから来たメールで、次世代シーケンサーIon PGMで
1ラン400塩基を読めるキットが発売された模様です。同社とイルミナの新しい
シーケンサーの発売で2012年は1000ドルゲノムが可能となりました。中国の
BGI社に頼めばもっと安い価格でヒトゲノムの全解析が可能です。今やゲノム
解析のコストより、ゲノム配列データから医学的情報を読み取るインフォマ
ティックスがコスト要因として浮上する次代となりました。

 原発が停止している現在、淡路島の全世帯と同じ電力を必要とする京はエネルギー
問題に直面しています。今後、インターネットの情報を制御するルーターの電源だ
けで、2035年には全世界の発電量の過半が必要という推計もあります。2Wしか消
費しない、人間の脳の仕組みを早急に解明しないと、エネルギー制約でイノベー
ションのエンジンである情報の共有システムが稼働しなくなるリスクも増大して
います。

 今年もまったく大きな変化の年でしたが、来年もこれに倍した変化に私たちは立ち
向わ無くてはならないでしょう。オリゴ医薬の復活、製薬企業によるゲノム解析企
業の整理再編、個の医療の進展、医療経済評価化の具体化、医療イノベーションの
インフラの総点検、セルロース由来のエネルギーの商業化、そして福島や東北の
バイオによる復興など、来年も幅広く、現場に立ち会って、皆さんに真実を伝える
努力を重ねたいと思います。

 来年もどうぞ良き年をお迎え願います。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満