新年明けましておめでとうございます。

 昨年は京都大学の山中伸弥教授が英ケンブリッジ大学のジョン・ガードン教授とともにノーベル医学・生理学賞を受賞し、国内外は大いに盛り上がりました。また、リポ蛋白リパーゼ(LPL)遺伝子搭載AAVベクターが、欧米で初となる遺伝子治療薬として欧州委員会により販売承認され、昨年は大きなイベントが再生医療・遺伝子治療に訪れました。世界に誇る国産技術であるiPS細胞の実用化に向けて、今年は非常に重要な年になると思います。iPS細胞の作製・バンキングとその特性解析方法の確立、iPS細胞から目的細胞への誘導方法とその周辺技術の開発、臨床への応用技術開発と品質試験の確定などを精力的かつ迅速に進めていかなくてはなりません。

 タカラバイオでは、遺伝子工学研究事業で培ったテクノロジーを利用して、細胞医療・遺伝子医療に必須となる中核技術の開発を行い、商業化を進めて来ました。1995年にレトロネクチン�・を用いた遺伝子導入方法を開発してから18年になりますが、その間、ベクターの開発・GMP製造、遺伝子改変細胞作製方法の開発・GMP製造、関連する品質・安全性試験など、多くの技術とノウハウを蓄積してきました。遺伝子治療で培った技術・ノウハウはiPS細胞・再生医療にも応用可能であるため、弊社では早くからiPS細胞作製受託サービスを事業として行い、臨床用iPS細胞作製のためのベクターのGMP製造受託サービスも行っております。これらのノウハウと、さらに当社の誇るゲノム解析に関するノウハウを用いたiPS細胞の発現・エピゲノム・マイクロRNA解析など、今年もウェットとドライの両面からiPS細胞研究関連をサポートしていきます。

 また当社は癌とエイズを対象として、世界規模で数多くの細胞・遺伝子治療プロジェクトを進めています。米国ではエイズを対象としたMazF遺伝子治療の第I相臨床試験が今年まもなく動き出し、がん治療薬HF10の第I相臨床試験は反復投与を開始しています。これら米国での臨床プロジェクトに加えて天津医科大学・天津市腫瘍病院と準備中の難治性がんを対象としたTCR遺伝子治療臨床研究の開始や、がん免疫細胞療法等に用いられる抗体等のGMP製造施設を北京で立ち上げるなど、中国での展開も推し進めていきます。

 国内では大学・研究所と共同で、NK細胞療法の臨床研究、国内唯一の体外遺伝子治療治験であるHSV-TK遺伝子治療、癌免疫遺伝子治療であるTCR遺伝子治療とCAR遺伝子治療の臨床研究など、今年も精力的にプロジェクトを進めていきます。

 近年世界で多くの遺伝子治療の成果が発表されており、単一疾患遺伝病だけでなく、弊社の目指すがん免疫遺伝子治療も米国を中心に大きな成果が得られています。自社プロジェクトの進展と臨床試験用ベクターのGMP製造受託サービスの国内外のニーズに応えるため、新たに細胞・遺伝子治療用の研究・製造施設の建設を開始しています。再生医療・遺伝子治療用のGMP施設としては世界トップクラスであるこの施設の稼働は来年(2014年)になります。

 当社は今年も引き続き既存プロジェクトの上市を目指して臨床開発を推進しつつ、昨年来盛り上がっている再生医療、細胞・遺伝子治療の実用化に向けて今年も全力でサポートしていきたいと考えています。