先週金曜日(2012年12月14日)に続いてお目にかかります。「日経バイオテク/機能性食品メール」をお届けしております日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長の河田孝雄です。来週金曜日(12月28日)のメールはお休みをいただきますので、今回が年内最後の機能性食品メールです。

 このメールをお届けするのは、通常の金曜日ではなく、翌土曜日(12月22日)の朝6時以降とさせていただいております。というのも、メール原稿に記載した成果発表の1つの報道解禁が、12月22日6時と設定されていることに気が付いたからです。

NARO果樹研と浜松医大、
βクリプトキサンチンの血中濃度が高い閉経女性は骨粗鬆症の発症率が低い、
PLOS ONE誌で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121222/165232/?ST=ffood

 この成果発表については、12月21日10時から農林水産省本館で論文発表に関する記者会見がありました。ジャーナルが定めたエンバーゴ(公表解禁)は、日本時間で12月21日7時だったのですが、農水省が独自の報道解禁日時を23時間後に設定しました。

 ちなみにこの記者会見の後は、筑波に異動しまして、日本の構造生命科学を牽引している若槻壮市教授と、エンドセリンとオレキシンの柳沢正史教授にお話しをうかがうことができました。

 若槻さんは現在、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の要職(物質構造科学研究所副所長/教授、構造生物学研究センター長など)をおつとめですが、2013年1月からは米フタンフォード大学医学部の教授に着任して、米SLAC国立加速器研究所でも活躍なさいます。

 筑波大学教授の柳沢さんは22年ほど、米テキサス大学Howard Hughes Medical Instituteで研究室を主宰なさっていましたが、母校の筑波大学に2012年12月に国際統合睡眠医科学研究機構が文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の採択で発足し、柳沢さんはその機構長に着任したため、筑波大が研究の
プライマリーの拠点となります。

 研究者に国境はない、と改めて感じ入っております。

 さて今回のメールは「栄養学と医学、農学、食品工学」について感じていることを少しまとめて紹介します。

 「栄養過多」という表現を医者などの研究者の発表で見聞することが多いのですが、多くは「摂取カロリー過多」という意味合いのことが多いようです。

 栄養という言葉は不思議なもので、人間の場合は4大栄養素で、第5の栄養素として食物繊維、さらには第6の栄養素としてファイトケミカル、といったところでしょうか。そして青汁などのサプリメント原料ともなる藻類の場合は、栄養は、窒素やリンであり、栄養塩と表現されます。窒素やリンが十分にあれば、光合成によって、アオコなどで知られる環境問題になるように十分に増殖できます。

 つい先日、アンチエイジング関連の学会で、管理栄養士の資格を持つアカデミアの研究者の発表で、「異性化糖」の説明を聞いて、管理栄養士と食品素材とはかなり距離があるのだと、思い知りました。

 医学と農学の間のシンポジウムなどを取材する機会も多いのですが、1人の研究者で両方に詳しいのはかなり難しいということは日ごろ感じております。そもそもは医学の研究者は皆さん、お忙しい方なので、農学や食品工学を学ぶ時間が限られている、ということは存じ上げております。

 このメールの主題である「機能性食品」を日本から世界に発信して、外貨も稼げる日本の強みとするには、栄養学、医学、農学、食品工学の連携が欠かせないのでは、と思います。このメールで先に触れた異性化糖も、なぜ2種類の異性化糖が事業化されているのか、その製造法も含め食品工学の専門家の方にはある意味常識ですよね。

 このメールの最初で紹介した温州ミカンをはじめリンゴ、緑茶、海藻、キノコなどなど、日本人の長寿に貢献していそうな日本の食材について、機能性研究がさらに発展することを願っています。

えひめ飲料、
βクリプトキサンチン3mg含む飲料「アシタノカラダ」を2013年3月に商品化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121219/165153/?ST=ffood

農水省会議室のβクリプトキサンチンのシンポジウムに100人、
えひめ飲料とユニチカなど発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121219/165152/?ST=ffood

 加えて、繊細な五感を持つといわれる日本人の強みを生かせる味覚や嗅覚の研究も、日本でさらに推進を強化して欲しいです。

 メール原稿の締め切り時間になりました。メール末尾にここ1週間で報道した機能性食品関連の記事リストを掲載します。ご覧いただければと思います。なお、日曜日(12月16日)まで福岡市で開かれていた1万人規模のバイオ最大学会の記事は現在のところ、以下の3本をまとめています。

第35回分子生物学会が福岡市で開幕、
12月14日午後からは同じ会場で第85回生化学会
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121213/165060/

福岡の生化学会、
フォーラム博士キャリアでJ-オイルミルズと三菱化学、ロシュが発表、
12月16日は遺伝子改変動物と研究マネジメント
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121216/165091/?ST=ffood

分子生物学会と生化学会の市民公開講座「進化する生命科学」に500人、
福岡県高校理科部会生物部会が共催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121218/165144/?ST=ffood

日経BP社バイオ部
日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長 河田孝雄