皆さん、お元気ですか。
 
 昨日は氷点下の室蘭、そして本日は20度を超える那覇に
向かい飛行中です。明後日は24度の予報もあり、まったく
どんな格好して行けばよろしいのでしょうか?鞄一つを原則
とする旅行者にはタフな環境です。

 さて、RNAiです。

 年内にも認可されるかと思っていた世界で第二番目のアンチ
センス医薬で、全身投与(皮下投与)する世界で初めての
製剤となる「KYNAMRO」(mipomersen)の承認が実にややこしい
状況になりました。2012年12月13日に欧州医薬品庁
(EMA)のthe Committee for Medicinal Products for Human Use
(CHMP) が、認可拒絶を勧告したためです。これを申請した米Genzyme社は
この勧告を覆すための申し入れを行ったところです。結論は来年に持ち
越されると思います。
http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/news_and_events/news/2012/12/news_detail_001673.jsp&mid=WC0b01ac058004d5c1

 ややこしいと表現したのは、米国食品医薬品局(FDA)の
Endocrinologic and Metabolic Drugs Advisory Committeeは、12年
10月8日に、まったく逆の判断、つまり承認を勧告していたためです。
大西洋をはさんで欧米の規制当局の判断が分かれました。
http://ir.isispharm.com/phoenix.zhtml?c=222170&p=irol-newsArticle&ID=1747536&highlight=KYNAMRO

 但し、FDAの諮問委員会の判断も、賛成と反対が9:6という評決であり、
米国でも全一致の判断ではありませんでした。KYNAMROの有効性には
欧米とも疑問の余地はありません。200mgの週一回皮下投与により、
家族性コレステロール血症の遺伝子をホモに持っている患者のLDL
コレステロールを25-35%(プラセボは3-13%)と有意に低下させました。
判断が分かれたポイントは、FDAがKYNAMROの副作用を管理可能だと
判断したことに対して、EMAは少数例の2年間の臨床試験では副作用の
リスクを十分評価できず。副作用のリスクが患者のベネフィットを上回ると
判断したのです。

 EMAの諮問委員会が最も問題にした副作用は、循環器系(心臓と
血管に与える副作用)でした。LDL減少による循環器疾患のリスク改善
を、KYNAMRO投与による循環器の副作用のリスクが上回ると結論付けた
のです。標的臓器である肝臓でも肝炎や肝機能障害(10-32%)、そして
肝臓への脂肪蓄積(NASHなど)の副作用も報告されています。この他、
注射部位の炎症、風邪様症状とCRP上昇(オリゴ核酸医薬の宿命か?)
なども報告されました。FDAで発表されたKYNAMROの臨床試験の成績を
見ると、統計的には有意ではないのでしょうが、身体の様々な組織でがんの
発生率(3.2%、プラセボは0.9%)も高まっていました。KYNAMROは一生
投与し続けなくてはならない医薬品であるため、副作用が許認可の判断に
重大な影響を与えます。

 しかし、皆さん、副作用の無い医薬品など存在しません。EMAの諮問
委員会の判断に対して、Genzyme社がどんな手を打ち、副作用リスクを
減少させる副作用予防・管理プランを出すのか。是非とも注目したいと
思います。

 今年も一年、お世話になりました。どうぞ来年も良き年をお迎え
願います。

      日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満