本日はこれから厚生科学審議会技術部会に出席して参ります。

 前回のメールでも、それから月曜日の日経バイオテクONLINEメールでも書きましたが、本日午後3時からの会議で、今までゲノムコホート研究の聳え立つ壁となっていた3省庁のヒトゲノム遺伝子解析に関する倫理指針が改定されます。部会了承となれば、審議会本会議への報告を経て、大臣告示と自動的に進みます。勿論、経産省と文部科学省との調整も必要なので、年内に告示されれは上出来です。

 これによってゲノム・コホート研究では不可欠な、連結可能匿名化のデータの取り扱いが個人情報から外され共同研究なども極めて容易になります。今までがひどすぎたと言うべきでしょうが、机上の論理だけで倫理指針を策定したために、肝心の研究の頸木となってしまいました。審議に関与した方々全員で反省をしなくてはなりません。この指針では明確ではありませんが、全ゲノム解読したデータに関しても、氏名などの個人情報との対照表が同一機関(この定義が肝心ですが。。)に存在しなければ、個人情報ではないと考えてもよいといったところまで議論は進んだと考えています。

 但し、ヒトゲノム計画などの報告や報道で、全ゲノム解読をあたかも全遺伝子配列が分かれば個人を特定できる”究極の個人情報”と表現してきたことが、市民に誤解を与えていることに、心を配らなくてはなりません。全ゲノムを解読して個人が分かるケースは極めて稀な遺伝子病などの例外を除いてはないことを、もっと周りの人に伝える努力を学界も産業界もそして政府もしなくてはなりません。そんな簡単に個人が特定できるのなら、髪の毛一本落とさぬように細心の注意をしなくてはなりません。まったく馬鹿馬鹿しい表現をしたものです。今回の指針改定でも明確になりましたが、個人を特定する対照表を持たない限り、遺伝情報や他のオミックス情報も個人情報ではありません。一般的な医療における守秘義務の対象となる情報なのです。皆さんが健康診断で示される生化学検査値とは、近親の情報をも示すというつ違いがゲノムにあるだけで、実質的には変わらないと考えますが、皆さんはいかが考えますでしょうか?

 さてそろそろ時間ですが、最後に2012年12月10日に米国のバイオベンチャー企業大手のAmgen社がアイスランドのdeCode社を買収しました。ゲノムコホートを利用して、創薬標的の発見と評価を行うことが狙いです。新薬開発をゲノムコホートで加速する。
さすがにバイオベンチャーのリーディング企業です。
http://www.amgen.com/media/media_pr_detail.jsp?releaseID=1765710

 少し考えれば、その先にAmgen社が狙っているのは間違いなく、個の医療であることに、皆さんも納得していただけるはずです。

 今週もどうぞお元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

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