皆様こんにちは。水曜日のコラムを担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 先日、ソニーのライフサイエンス事業の話を取材してきました。ソニーは2010年2月にフローサイトメーターとその関連試薬を開発・販売する米iCyte Mission Technology社を買収して以来、バイオ事業参入の入り口としてフローサイトメーターに照準を絞り、製品開発を進めてきました。そして、2012年6月に発表したソニー独自開発のセルソーター「SH800」に引き続き、スペクトル型セルアナライザーのハイエンド機種「SP6800」の製品化を、11月下旬に発表しました。詳しくは下の記事をご覧ください。

 ソニー、ライフサイエンス事業を本格稼働、ハイエンドのスペクトル型セルアナライザーを発売へ
 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121124/164628/

 それでソニー本社まで取材に足を運んだわけですが、SH800、SP6800とも、外観のデザイン性がバイオ研究用の装置だとは思えないぐらい高く、さすがソニーと思ってしまいました。写真は、会議室に設置されたデモ機をコンパクトカメラで撮影したもので、プレゼンしていただいた人が思いきり映り込んでしまっていますが、ぜひそのデザインをご覧いただければと思います(ログインしなければ写真を見ることはできません)。研究用装置を購入する際に、そのデザイン性を考慮する人がどのぐらいいるのかよく分からないので、一度リサーチしてみたいと思います。

 取材では、どうしてソニーがフローサイトメーターに焦点を当てたのかといったことをつらつらと聞きましたが、その中で面白いと思ったのは、「ブルーレイディスクの次の世代の光ディスク製品を開発していたけれど、これ以上入れ物を高度化しても、中に入れるコンテンツが追い付いて来ない。そこで、光学や微細加工の技術を利用して、光ディスクではない応用先を探す中で、フローサイトメーターに行き当たった」という点です。

 家電製品には全く詳しくない方ですが、テレビの録画装置は放映されている全チャンネルの番組を1日分とか、1週間分とか全部録画してから、見ないものを消していくという製品が主流になっているそうで、なるほどと思いました。こうなるともはや見るのも精いっぱいで、これ以上、記録できる量を増やしても、脳みその方が追い付いていかないんじゃないかという気がしてきます。研究などの用途だと、1つの事象を幾つかの角度から連続的に記録して解析すれば新しい発見もありそうですが、民生用では需要に限界が来ているというのもさもありなんという感じです。

 実際ソニーでは既に、子会社でオーストラリアで光ディスクなどを製造しているSony DADC社の光ディスク製造工場の設備を使って、島津製作所や米Caliper Life Science社からの受託でマイクロ流路チップを製造しているといいます。新たな需要の開拓に行き詰まった製造業などの企業が、その技術を転用してバイオ分野に参入した結果、検査や診断の分野に技術革新を起こし、より低コストの検査・診断技術が普及するというシナリオも、遠くない将来、現実味を帯びてきそうです。一方で、ゲノミクスをはじめとするオミックス研究の進展に伴い、ヘルスケア分野では今後、診断・治療から予測と予防へと価値がシフトし、新規参入企業が活躍できる可能性はますます広がっていくものと思います。かつてからその将来の可能性が指摘されてきましたが、ビジネスチャンスがかなりくっきりと見えてきたというのが、バイオ産業の現状だと思います。バイオ分野への参入を模索している企業の方は、その点をしっかりと認識していただければと思います。

 話は変わりますが、今年も当編集部では日経バイオ年鑑を発行します。12月14日に発行する予定です。日経バイオ年鑑2013のポイントとしては、そのオンライン版の使い勝手が大きく増したことを指摘しておきたいと思います。

 日経バイオ年鑑2013については下記をご覧ください。
 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/information/20121009/163671/

 日経バイオ年鑑は、医薬・診断・医療機器、化成品・環境、食品、農業・畜産・水産、バイオサービス・装置・システムの5つの分野にまたがる計100以上の項目(キーワード)について、直近1年間を中心とする動向を文章で解説するとともに、関連するトピックをデータベース集としてまとめて整理して提示しています。これを、1000ページを超える書籍として販売すると同時に、オンライン版としてWeb経由でほぼ同じデータにアクセスできるようにサービスを提供しています。

 例えば、昨年12月に発行した「日経バイオ年鑑2012」のオンライン版は下の通り。
 https://bio.nikkeibp.co.jp/db/yb2012/

 目次から、各項目を選んでいただくと、「解説文」と「データベース一覧」をご覧いただけることが分かると思います(全文を読めるアクセス権は、日経バイオ年鑑の書籍版の購読者に提供しています)。昨年10月に日経バイオテクONLINEのサービスを開始したときに、同じプラットフォームで日経バイオ年鑑のデータも提供できるようにしたのですが、昨年10月には既に日経バイオ年鑑2012の編集作業が半分ぐらい進行していたために、データベース一覧が少し分かりにくい構造になっていました。その辺りを今年の「日経バイオ年鑑2013」のオンライン版では修正しました。例えば左側の「データベースフリーワード検索」に「DNA」とか「核酸医薬」といったキーワードを入力して検索していただくと、そのワードが出てくるトピックが、どの項目のどういう分野に分類された話題であるのかも含めて、表示されるように致しました。文章で説明するのはなかなか難しいので、ぜひとも「日経バイオ年鑑2013」をお求めいただき、オンライン版をご利用いただければと思います。日経バイオ年鑑2013の発行は12月14日で、オンライン版をご利用いただけるのもそれ以降になってしまいますが、それまでは予約特価で販売致しますのでぜひこの機会にお求めください。

 日経バイオ年鑑2013のお申し込みは下のサイトから。
 http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/book/05.html

 最後に、これまで何度かメールで紹介してきましたが、12月20日に今年最後の日経バイオテクプロフェッショナルセミナーを開催します。テーマは「日本発・創薬革命―オープンイノベーション時代を担う先端ベンチャー」。日経バイオテク編集部の目利きで選んだ日本の有力バイオベンチャー数社に登壇いただき、技術・ビジネスモデル等のプレゼンテーションをしていただくとともに、本当に有力なバイオベンチャーが伸びていくために、周辺環境(エコシステム)はどうあるべきか、といったことを議論したいと考えています。

 特に今回のセミナーで来場していただきたいのは、1つは製薬企業の事業開発のやライセンス関係の方です。それから、バイオベンチャー経営者やキャピタリスト、その他、バイオベンチャーの周辺でビジネスをしておられる専門家の方にも、是非ご参加いただきたいと考えています。ぜひともみんなで、バイオベンチャーのエコシステムの議論を致しましょう。

 12月20日(木)、東京・品川で開催します。詳しくは下のサイトをご覧ください。

http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/121220/index.html

 本日はこのあたりで失礼します。

 なお、何度か紹介していますが、日経バイオテクONLINEに掲載した記事のうち、機能性食品に関する話題のみを提供するサービス、環境・農業に関する話題のみを提供するサービスを開始しました。食品関係者、環境バイオ、農業バイオの関係者は、こちらのご利用をぜひともご検討ください。

日経バイオテクONLINE機能性食品版はこちらをご覧ください
https://bio.nikkeibp.co.jp/ffood/

ご購読のお申し込みなどはこちらから
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/food/

日経バイオテクONLINE環境・農業版はこちらをご覧ください
https://bio.nikkeibp.co.jp/env/

ご購読のお申し込みなどはこちらから
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/env/

 また、日経バイオテクONLINEでは、皆様からの「人材募集」「セミナー・学会」「技術シーズ」などの告知の掲載コーナーも設けています。「人材募集」は大学、公的研究機関の研究者個人による募集告知のみ無料としていますが、「セミナー・学会」「技術シーズ」の告知については、大学などの事務局の方による告知等も受け付けています。ただし、企業による告知はいずれも有料とさせていただいています。

 特に人材募集のコーナーは利用者も多く、投稿いただいた方からご好評をいただいています。一度登録すれば何度でもご利用いただけるので、どしどしご利用ください。

投稿について、詳細は下記をご覧ください
https://bio.nikkeibp.co.jp/help/manual.html

 ご意見、ご批判は以下のフォームよりお願いします。

 https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/

                    日経バイオテク編集長 橋本宗明