皆様こんにちは。水曜日のコラムを担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 先週週末は横浜市で開催された日本ワクチン学会学術集会を取材したのですが、土曜の午後には行政刷新会議の「新仕分け」を取材しておこうと、霞が関に向かいました。仕分けの取材に行くのは初めてでしたが、これが最後になるかもしれないと思い、現場に出向いた次第です。

 とはいえ、衆議院の解散が決まった11月16日に始まったこともあって、今回の仕分けの注目度は今一つといった感じでした。それでも東日本大震災関連の施策に関する仕分けが行われた16日は庁舎内の会議室を満杯にするぐらいの人は集まったのですが、厚生労働省の関連施策の仕分けが行われた17日は、30席から40席程度用意された報道席にも空席が目立ちました。

 で、肝心の議論の中身についてですが、基本的に公開の場で政府の施策に関する議論が行われることはいいことだと思います。ただし、議論の中身は財務省主導で、結論先にありきだったのではないかという印象がぬぐえません。ナショナルセンターのバイオバンクに関して、文部科学省のバイオバンクジャパンなどとの重複が指摘された点や、橋渡し研究に関して創薬支援ネットワークなどの他の施策との重複が指摘された点はなるほどもっともです。施策の縦割りを排するためにも、ナショセンはナショセンだけで別枠の予算を確保するのではなく、他の施策から資金を確保してくることを検討すべきと思いました。特に、バイオバンクについては、自分たちの方が優れたコンセプトであると主張するなら、なおさらそうやって資金を確保していくだろうと思いました。

 ただし、よく分からなかったのが臨床研究中核病院の整備に関する仕分けの議論です。確かに、6年目以降は自立することを目指すのであれば、そこに向けた詳細な収支計画を示すべきで、その点では厚労省側の準備不足だった面は否めません。ただし、臨床研究や臨床試験は労働集約型であり、その経費の大半が人件費となることにそれほど疑問は感じません。ところが、どういう訳か財務省作成の資料では補助金に占める人件費比率の高さが問題視され、「補助期間経過後に持続的効果が現われるか」という点を指摘した上で、実際の議論はほとんどなされないまま、人件費に係る補助率の引下げに取り組むよう求めて、「抜本的見直し」とされました。設備の購入にお金を使った方がいいような言い方には大いに疑問を感じたところです。

 仕分けする立場の人たちも、ナショナルセンターに見学に行ったり、勉強会をやったりして相当勉強してきたということでしたが、正直なところ議論はほとんどかみ合わないまま時間切れになってしまった印象です。終了後の会見では「このようなテーマが仕分けに向くのか」という質問に対して、刷新会議の事務局は「研究テーマそのものの是非を議論したわけではない」と説明していましたが、むしろもう少し専門的な人を仕分けする側に入れて、施策のテーマそのものも含めて議論し、その必要性をもっと広くの人に理解してもらうことが重要な気がしました。もっとも、仕分けは要求された予算を査定していることをアピールする場であって、政府の施策をアピールする場ではないのかもしれませんが。

 仕分けの話は記事にしたのでお読みください。

行政刷新会議の新仕分け、臨床研究中核病院、ナショナルセンターによる橋渡し研究とバイオバンクの整備はいずれも「抜本的見直し」と判定
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121119/164532/

 さて、何度かメールで紹介してきましたが、12月20日に今年最後の日経バイオテクプロフェッショナルセミナーを開催します。テーマは「日本発・創薬革命―オープンイノベーション時代を担う先端ベンチャー」。日経バイオテク編集部の目利きで選んだ日本の有力バイオベンチャー数社に登壇いただき、技術・ビジネスモデル等のプレゼンテーションをしていただくとともに、本当に有力なバイオベンチャーが伸びていくために、周辺環境(エコシステム)はどうあるべきか、といったことを議論したいと考えています。

 特に今回のセミナーで来場していただきたいのは、1つは製薬企業の事業開発のやライセンス関係の方です。もう既にいろいろなところでバイオベンチャーのプレゼンを聞かれていることでしょうが、バイオベンチャーの事業内容、ビジネスモデルは刻々と変化しているので、各企業の“今”をお見逃しなく。また、バイオベンチャー経営者やキャピタリスト、その他、バイオベンチャーの周辺でビジネスをしておられる専門家の方にも、是非ご参加いただきたいと考えています。

 11月30日に東証マザーズに上場することが決まったジーンテクノサイエンス、カネカのグループ企業となり、そのリソースを生かして次世代抗体関連事業を展開するジーンフロンティア、ユニークな核酸技術を有するボナック、特殊ペプチド創薬で欧米製薬と多数の契約を実現したペプチドリームといった早々の顔ぶれに登壇いただきます。さらには、エーザイの鈴木蘭美・事業開発部長、経済産業省の江崎禎英・生物化学産業課長といったユニークな方々を交えたパネルディスカッションも準備しています。暮れのお忙しい時期だとは思いますが、2012年のバイオ業界を俯瞰する意図も込めたセミナーですので、ぜひ皆様のご参加をお待ちしています。

 12月20日(木)、東京・品川で開催します。詳しくは下のサイトをご覧ください。

http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/121220/index.html

 本日はこのあたりで失礼します。

 なお、何度か紹介していますが、日経バイオテクONLINEに掲載した記事のうち、機能性食品に関する話題のみを提供するサービス、環境・農業に関する話題のみを提供するサービスを開始しました。食品関係者、環境バイオ、農業バイオの関係者は、こちらのご利用をぜひともご検討ください。

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 また、日経バイオテクONLINEでは、皆様からの「人材募集」「セミナー・学会」「技術シーズ」などの告知の掲載コーナーも設けています。「人材募集」は大学、公的研究機関の研究者個人による募集告知のみ無料としていますが、「セミナー・学会」「技術シーズ」の告知については、大学などの事務局の方による告知等も受け付けています。ただし、企業による告知はいずれも有料とさせていただいています。

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                    日経バイオテク編集長 橋本宗明