水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 先週木曜日に東京証券取引所は、バイオベンチャーのジーンテクノサイエンス(札幌市、河南雅成社長)11月30日に東証マザーズに新規株式上場(IPO)すると発表しました。ジーンテクノは、バイオ医薬の新薬とバイオシミラー(バイオ後続品)の研究開発を中心に手掛ける北海道大学発の創薬ベンチャーで、2001年3月に設立されました。バイオ後続品では、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤の後続品を富士製薬工業と共同研究開発しており、富士製薬とその共同開発提携先である持田製薬が2011年12月に厚生労働省に製造販売承認申請しています。順調なら2013年には承認されるでしょう。また、バイオ医薬の新薬では、北海道大学遺伝子病制御研究所分子免疫病分野の上出利光教授との共同研究で創出した抗ヒトα9インテグリン抗体に関して、科研製薬と独占的な開発、製造、販売権を譲渡する契約を交わしています。

ジーンテクノサイエンス、11月30日に東証マザーズに上場、バイオ医薬の研究開発ベンチャー
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121025/163952/

ジーンテクノサイエンス、G-CSF後続品は2013年にも承認取得、数年以内に黒字化へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121001/163489/

 バイオベンチャーがIPOするのは、昨年12月のカイオム・バイオサイエンス以来、ほぼ1年ぶりです。昨年はバイオベンチャーのIPOは5件ありましたが、今年はジーンテクノが1社目で、後1社ぐらいかなとうわさされています。では昨年に比べてバイオベンチャーが厳しい経営環境に置かれているのかというと、必ずしもそうではないと思います。

 何よりも大きいのは、製薬企業がオープンイノベーションの名の下に、バイオベンチャーとの提携に積極姿勢を見せていることです。10月上旬に開催されたBioJapan2012でも、製薬企業とバイオベンチャーのミーティングが活発に行われ、「手ごたえがあった」というバイオベンチャーも結構ありました。バイオベンチャーの人が登壇するセミナーは満入りの状況で、製薬企業の方からバイオベンチャー経営者に対して盛んに質問が投げかけられていました。

 山中教授のノーベル賞受賞という大きなトピックがあったためでもありますが、上場しているバイオベンチャーの株価は10月以降上昇基調で推移しています。老舗のバイオベンチャーであるそーせいグループがスイスNovartis社に権利を導出した化合物NVA237は日本と欧州で相次いで製造販売承認を獲得しました。IPOして10年が経過したやはり老舗バイオベンチャーのアンジェスMGは、開発中の遺伝子治療薬「コラテジェン」に関して、田辺三菱製薬と契約を果たしました。

アンジェスMGが田辺三菱と契約、「コラテジェン」のフェーズIIIを開始へ、契約金は100億円以上か
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121024/163934/

 なお、日経バイオテク本誌11月5日号「キーパーソン インタビュー」のコーナーに、そーせいの田村眞一社長へのインタビューを掲載する予定です。ご購読いただいている方はお楽しみに。

 さまざまなバイオベンチャーを取材していて感じるのは、戦略やビジネスモデルの練度が上がっているということです。そこで、日経バイオテクでは編集部の目利きで選んだ今が旬のバイオベンチャー数社に登壇いただき、技術・ビジネスモデル等のプレゼンテーションをしていただくとともに、本当に有力なバイオベンチャーが伸びていくために、周辺環境(エコシステム)はどうあるべきか、といったことを議論する日経バイオテクプロフェッショナルセミナーを12月20日に開催することにしました。

 「日本発・創薬革命─オープンイノベーション次代を担う先端ベンチャー」のタイトルで、12月20日12時半から17時半ぐらいのスケジュールで開催する予定です。

http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/121220/index.html

 バイオベンチャーの経営者、製薬企業の事業開発担当者、さらには金融機関、会計事務所、法律事務所、行政機関などでバイオベンチャーに関わる方、バイオベンチャーのエコシステムの一員であると自認している方は大歓迎です。日本のバイオベンチャーを見直し、日本のバイオ産業の競争力を再認識するきっかけを提供できると考えています。ぜひともご参加いただき、活発に議論していただければと思います。

 開催間近!「個別化医療×ゲノム情報活用」のセミナー

 何度か紹介していますが、11月に2つの日経バイオテクプロフェッショナルセミナーを開催します。1つは、「個別化医療におけるゲノムデータベースの活用-ゲノムデータベースは創薬と医療に役立つか」と題するものです。昨今、「バイオバンク」「ゲノムバンク」「ゲノムデータベース」などの名称で、日本各地で住民や患者の試料やその解析情報に関するデータベースの整備が急ピッチで進められています。これによって、GWAS(全ゲノム関連解析)などの研究が進み、疾患に関連する遺伝子の同定という成果が生み出されつつあります。一方で、医薬品、特に抗がん剤などの開発においては、ゲノムバイオマーカーの利用が広がりつつあります。

 では、ゲノム情報は実際の医療や創薬、医薬品開発の中でどのように利用され、どのような変化をもたらしていくでしょうか。

 今回のセミナーでは、ゲノムデータベースの構築や解析研究に関わっている研究者と、実際に医療現場で個別化医療に取り組んでいる医師、個別化医療の医薬品研究開発を進める製薬企業の研究者、規制当局の担当者に、それぞれの立場で「個別化医療におけるゲノムデータの活用」に関する取り組みを紹介いただきます。その上で、パネルディスカッションでは今後の個別化医療の進展をにらみ、医療と医薬品の研究開発の観点から、ゲノム情報は本当に役立っているのか、より有効に利用することはできないか、そのためにはゲノムデータベースはどうあるべきか、などを議論していく予定です。

 製薬企業の立場で登壇していただくのはエーザイのプロダクトクリエーションシステムズ・バイオマーカー・パーソナライズド・メディスン機能ユニットの小田吉哉プレジデントです。折しもエーザイは10月初め、がんのゲノム情報を解析する米Foundation Medicine社と抗がん剤の臨床開発などで提携しています。こうした事例も踏まえ、日米におけるゲノム情報の利用に対する考え方の違いなども紹介していただけるものと期待しています。

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)からは、新薬審査第5部で抗がん剤の審査を担当され、PMDAオミックスプロジェクトチームの一員でもある石黒昭博審査専門員に登壇いただきます。審査側の立場から、バイオマーカーを利用した医薬品の開発と審査の現状を解説いただき、コンパニオン診断薬に対する審査側のスタンスなども明かしてもらえるものと期待しています。

 「個別化医療×ゲノム情報活用」のセミナーは11月12日(月)12:50から17:40まで、秋葉原コンベンションホールにて開催します。まだ残席が少々残っていますので、この機会にお忘れなくお申し込みください。

セミナーのお申し込みはこちらから
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/121112/

 もう1つは、「バイオバンク/ゲノムコホートの連携を目指して-国際的な標準化を踏まえて-」です。欧米ではバイオバンクの標準化が進む中、日本では、バイオバンク/ゲノムコホート研究の連携や情報共有を行うしくみづくりが遅れています。政府関係者も加えて、熱い議論を展開します。11月26日(月)12:30から17:30まで、コクヨホール(東京・品川駅港南口)にて開催します。

セミナーの詳細はこちらをご覧ください
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/121126/

 本日はセミナーの宣伝ばかりになってしまいました。このあたりで失礼します。

 なお、何度か紹介していますが、日経バイオテクONLINEに掲載した記事のうち、機能性食品に関する話題のみを提供するサービス、環境・農業に関する話題のみを提供するサービスを開始しました。食品関係者、環境バイオ、農業バイオの関係者は、こちらのご利用をぜひともご検討ください。

日経バイオテクONLINE機能性食品版はこちらをご覧ください
https://bio.nikkeibp.co.jp/ffood/

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 また、日経バイオテクONLINEでは、皆様からの「人材募集」「セミナー・学会」「技術シーズ」などの告知の掲載コーナーも設けています。「人材募集」は大学、公的研究機関の研究者個人による募集告知のみ無料としていますが、「セミナー・学会」「技術シーズ」の告知については、大学などの事務局の方による告知等も受け付けています。ただし、企業による告知はいずれも有料とさせていただいています。

 特に人材募集のコーナーは利用者も多く、投稿いただいた方からご好評をいただいています。一度登録すれば何度でもご利用いただけるので、どしどしご利用ください。

投稿について、詳細は下記をご覧ください
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                    日経バイオテク編集長 橋本宗明