水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 先週は、山中教授のノーベル賞受賞決定のニュースにBioJapan2012の開催が重なり、てんてこ舞いの1週間となりました。先週のこのメールでも少しお伝えしましたが、日経バイオテクONLINEの過去記事のデータベースを「iPS」という言葉で検索すると1200件以上、「山中伸弥」では250件以上の記事がヒットします。日経バイオテクでは、2003年に英Edinburgh大学の研究グループと共同で、ES細胞(胚性幹細胞)の維持に関わるNanog遺伝子を同定したころから山中教授らの研究に着目し始め、06年にマウスの体細胞の初期化に成功してからは、基礎研究、応用研究の進展から、特許の状況、政府による研究支援策や規制の動向、さらには関連ビジネスの状況も含め、本当につぶさに日経バイオテクONLINEで報道してきました。

 こうした記事の積み重ねを生かし、皆様が山中教授の功績とiPS細胞の可能性やその課題を理解する一助となるよう、日経バイオテク特別編集版を電子書籍の形式で発行することにしました。先週木曜日に京都大学iPS細胞研究所で河野副編集長が行った単独インタビューや、金曜日に横浜で開催中のBioJapan2012のセミナー「iPSアップデート」で山中教授と宮田満・特命編集委員が行った対談、対談のために横浜に来られた山中教授に対して宮田編集委員が楽屋で行ったインタビューも掲載し、昨日、編集作業を終えたところです。

 ちなみに、インタビューなどは日経バイオテクONLINEに掲載しているので、こちらでお読みください。

「iPS細胞は次の段階に突入した」、BioJapan2012、山中所長楽屋裏独占インタビュー
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121015/163780/

BioJapan2012、ノーベル賞受賞した山中教授が登場、「iPS細胞ができるメカニズム解明に前進」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121015/163762/

京大・山中教授インタビュー、「iPS細胞の作製技術と同様に評価技術も重要」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121012/163726/

 日経バイオテク特別編集版「iPS細胞のすべてがわかる その誕生から実用化まで」は、日経バイオテクの紙媒体と同じA4変型判38ページのPDFです。元の記事が専門家向けなので、一般の方には少し読みにくいかもしれませんが、少しでも分かりやすくなるように巻末には用語解説を設けました。来週頭にはウェブでダウンロードいただけるようになると思います。現在、4ページの試読版を無料ダウンロードできるようにしています。無料試読版をダウンロードいただいた方には、特別編集版発行後に速やかにメールなどでお伝えいたしますので、今のうちに特別編集版をダウンロードしてご利用いただければと思います。iPS細胞を取り巻く世の中の動きを理解し、その周辺にあるビジネスチャンスをつかむためにも、ぜひ、特別編集版をご利用ください。

緊急発行決定「iPS細胞のすべてがわかる…」、試読版を無料ダウンロードできます
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/information/20121012/163730/

 さて、先週はBioJapan2012が開催され、横浜で取材をしてまいりました。2011年が震災の影響を受けたとはいえ、出展社は前回を3割上回り、マッチングシステム登録者は前回の2倍、来場者は昨年とは計測方法を変えたために正確な比較はできないももも、3日間の延べ人数ではなく実数で前回の倍以上の1万2000人を上回る人が参加したとのことです。12日に開催された山中教授のセミナーには、定員の倍近い450人が聴講したということで、ノーベル賞効果もあってバイオが注目されていることを実感します。

 私は開会式終了後に、基調講演の取材は別の記者に任せて、その裏番組であるBaNZaIセミナーを取材してきたのですが、非常に面白かったです。「白熱教室」というタイトルだったせいか、登壇者に対して多数の質問が出され、インタラクティブなセミナーとして大成功だったと思います。セミナーのもようは下記の記事にしましたのでお読みください。

BioJapan2012、起業家の心意気を伝えたBaNZaIセミナー、現状を打破するにはシードラウンドの資金不足解決を
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121016/163807/

 記事には書かなかったのですが、若い女性が「バイオ分野でクラウドファンディングはうまくいかないか」と質問したのに対して、ベンチャーの金融実務に詳しい森・濱田松本法律事務所の弁護士の増島雅和さんが答えていたのが非常に興味深かったので、少し紹介します。クラウドファンディングというのは、プロジェクトに共感した人から小口のお金を少しずつ集めてプロジェクトを進めるというもので、確かに製薬企業などが開発に乗り出さない難病の治療薬などを開発するにはいい手法のように思います。増島弁護士の説明によると(正しく理解できていなかったらごめんなさい)、寄付型、購入型(後で何かを提供する)、投資型(収益からリターンがある)の3つがあり、ビジネスの世界には寄付型は向いていないので投資型が注目されているものの、投資家保護との関係で、米国ですらハードルが高いということでした。

 で、日本でどうかというと、日本の法制では1億円までを集めることは可能だけれど、それには証券会社などのノウハウが必要となり、上限が1億円のファンドに証券会社などがビジネスとして絡んでやれるのか、という課題があるということです。また、詐欺などにつながりやすい点も注意しなければならないとも指摘されていました。ただ、「これからの分野として注目していきたい」と増島さんが言うように、資金不足のバイオ分野に風穴を開ける存在になるかもしれません。私も関心を持ってみていきたいと思います。

バイオマーカーを利用した医薬品開発に関心がある人は必見のセミナー

 さて、何度か紹介してきましたが、11月12日には日経バイオテクプロフェッショナルセミナー「個別化医療におけるゲノムデータベースの活用」を開催します。日本各地で整備が進められているゲノム関連のデータベースが、実際に医療や創薬の中で有効に活用されるのか、あるいは医療や創薬の観点ではゲノムデータベースはどうあるべきか、といったことをテーマに、製薬企業や規制当局も交えて議論する予定です。製薬企業からは、エーザイのバイオマーカー・パーソナライズド・メディスン機能ユニットの小田吉哉さんにご参加いただきます。医薬品医療機器総合機構からは、抗がん剤の審査を担当し、オミックスプロジェクトチームの一員でもある石黒昭博さんにご登壇いただきます。日本におけるバイオマーカーの利用や、コンパニオン診断薬のガイドラインの話などもお聞かせいただけるかもしれません。バイオマーカーを利用した医薬品開発に関心がある方には必見のセミナーと言えます。ぜひとも皆様のご参加をお待ちしています。

http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/121112/

 本日はこのあたりで失礼します。

 なお、何度か紹介していますが、日経バイオテクONLINEに掲載した記事のうち、機能性食品に関する話題のみを提供するサービス、環境・農業に関する話題のみを提供するサービスを開始しました。食品関係者、環境バイオ、農業バイオの関係者は、こちらのご利用をぜひともご検討ください。

日経バイオテクONLINE機能性食品版はこちらをご覧ください
https://bio.nikkeibp.co.jp/ffood/

ご購読のお申し込みなどはこちらから
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/food/

日経バイオテクONLINE環境・農業版はこちらをご覧ください
https://bio.nikkeibp.co.jp/env/

ご購読のお申し込みなどはこちらから
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/env/

 また、日経バイオテクONLINEでは、皆様からの「人材募集」「セミナー・学会」「技術シーズ」などの告知の掲載コーナーも設けています。「人材募集」は大学、公的研究機関の研究者個人による募集告知のみ無料としていますが、「セミナー・学会」「技術シーズ」の告知については、大学などの事務局の方による告知等も受け付けています。ただし、企業による告知はいずれも有料とさせていただいています。

 特に人材募集のコーナーは利用者も多く、投稿いただいた方からご好評をいただいています。一度登録すれば何度でもご利用いただけるので、どしどしご利用ください。

投稿について、詳細は下記をご覧ください
https://bio.nikkeibp.co.jp/help/manual.html

 ご意見、ご批判は以下のフォームよりお願いします。

 https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/

                    日経バイオテク編集長 橋本宗明