秋なのに、まだ蒸し暑い厚生労働省の会議室で、このメールを書いております。理由は明白で、専用第21会議室が傍聴人で溢れているためです。人間が発する熱が秋初めにし涼しい朝を台無しにしております。しかし、それだけ関心が強い委員会とも言えるでしょう。

 本日、第一回が開催された再生医療の安産性確保と推進に関する専門委員会に出席しているのです。 究極の個の医療といも言うべき、自家再生医療の実用化が進展するにつれて、ジャパンティッシュエンジニアリングが2件、薬事法で医療用具として承認を得た培養皮膚と培養軟骨以外にも、様々な再生医療・細胞治療が実施されるようになって参りました。

 そして当然のことながら、混乱も生じているのです。この暑くてたまらん熱気も再生医療・細胞医療に対する期待と同時に、街角のクリニックで行われている似非再生医療・細胞医療(厚労省は本日、こう渾名しました)に対する安全性への疑惑、そしてこの委員会の結論次第では、ビジネスモデルの変更を迫られる医療機関やベンチャー企業関係者の懸念から、立ち上っているのです。年内に今回も含め3回でとても、これらの熱気に正しく応えることは難しいでしょうが、少なくとも論点の整理は必要です。国が国家戦略として再生医療推進を閣議決定した以上、似非再生医療・細胞医療を野放しにすることはもうできません。少なくとも安全性を担保し、国民や医療関係者を啓発する仕組みの構築は待ったなしだと考えます。

 山のようにある論点の中から少しだけ、重要な論点を抽出しましょう。薬事法で安全性を確保された再生医療・細胞医療と、ヒト幹細胞指針で安全性を担保された再生医療・細胞医療の臨床研究と、現在クリニックを中心に実施されている医師法や医療法に基づく医師の裁量権に基づき、自由診療で行われている似非再生医療・細胞医療との線引きは何なのか?また、こうした線引きによって、法律、ガイドライン、通知、自主基準、施設基準、施術者認定、患者への説明と納得の手法、国民の啓発など、多様な安全性担保の手法をどう組み合わせるのか?を議論にしていただきたい。

 まずは、実態調査が重要だと思います。京都で再生医療で医療事故があったと報道されたベセスダクリニック(現在、休診中と厚労省)事件などの報告も必要です。韓国の医師法・医療法では医師の裁量権による再生医療は認められていないのに、日本では裁量権の下で幹細胞の移植が可能であり、その法的な空隙を縫って、韓国で培養された幹細胞を患者が飛行機で京都まで持参、移植が行われたといわれています。国際化が進んだ現在、わが国の似非再生医療・細胞医療を野放しにすることは、外交上も好ましい結果を生みません。

 似非再生医療・細胞治療は日本だけではありません。欧米でも幹細胞詐欺(Stem Cell fraud)として大々的な報道が行われるようになっています。当初の期待だけだった再生医療・細胞医療が成熟するにつれ、実態の伴わない似非再生医療・細胞医療の淘汰が始まったと考えています。
http://www.cbsnews.com/8301-18560_162-57354695/stem-cell-fraud-a-60-minutes-investigation/

 再生医療の安産性確保と推進に関する専門委員会の審議については、逐次、個の医療メールでお伝えいたします。

 最後に10月10日から12日まで開催されるBioJapan2012でも、iPS細胞と個の医療に関連するセミナーが予定されています。このほか、最新のバイオの研究開発と規制動向、企業の動きなどを把握するのに好適なセミナーが目白押しです。既に満員締め切りのセミナーの散見されます。是非とも、下記のリンクよりお早めにお申し込み願います。全部のセミナーが無料です。ご安心願います。但し、参加者も増加しておりますので、絶対見るものだけ、お申し込み願います。
http://www.ics-expo.jp/biojapan/seminar_schedule.html

 今週もどうぞお元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

ご連絡は、https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/