国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2012年8月31日】

(2012.09.13 18:31)

(編集部注)この記事は、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)によるアグリバイオ最新情報【2012年8月31日】の日本語訳を掲載したものです。

世界

食糧農業機構(FAO)の事務局長が学界に飢餓に対する対策に挑むように提言

食糧農業機関(FAO)の事務局長Jose Graziano da Silva氏は、地方の貧困と小規模農業生産者を中心とした食料と農業に関する研究に学界が挑むことを呼びかけた。リスボンで行われた農村社会学世界大会でda Silva氏は「我々が今日持っている大きな課題の一つは、世界各地の農村部の住民の生活を理解し、改善するために学術的知識を使用することである。そのためには、我々が大学の壁の外の現実を見る必要がある。」と述べた。

同氏は、学者と政策立案者からの提案に含まれるべき研究戦略に言及した。これには、農業への大規模の投資が含まれており、大学が必要な農業投資原則の研究、小規模農業生産者を農業及び食品チェーンに引き込むこと、食糧と農業セクターのあり方の問題、どのように公平・公正な利益配分を達成するかなどの研究を行うことが含まれていると述べた。
原報道は、以下のサイトにある。http://www.fao.org/news/story/en/item/153887/icode/.
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食糧農業機構(FAO):コメの世界的生産は増加する

コメの世界生産は、2011年にこれまでを凌駕する優秀な成績をあげる可能性が高い。これは、国連食糧農業機関(FAO)の報告書;コメ市場モニターによるものである。ところが2012年7月の報告書では、その予想を修正して今年は、全世界のコメの生産は、より低くなるとした。

報告書によれば、下方修正の主な理由は、インドの平年を下回るモンスーン期の雨によるもで、これによって約7.8億トンのFAOのコメの生産高予想が下がった。生産予測はまた、カンボジア、台湾、北朝鮮、韓国、ネパールで2012年には生産の低下が予想されている。

生産向上があるところとして、中国、インドネシア、タイとおよび他のいくつかのアジアの国々が期待されている。アフリカは前年より3%高い生産が期待でき、またオーストラリアこれまでの記録となる32%増が期待される。

FAOの報道リリースは以下のサイトにあります。 http://www.fao.org/news/story/en/item/154122/icode/. コメ市場モニター7月度の報告は以下のサイトにある。 http://www.fao.org/economic/est/publications/rice-publications/rice-market-monitor-rmm/en/.
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アフリカ

遺伝子組み換えバナナが5年以内にウガンダに?

通常のレベルの6倍のビタミンAをもつ遺伝子組み換えバナナが5年以内にリンゴに加わると医者なしで過ごせるようになる。ウガンダの国立農業研究機構(NARO)の副所長Andrew Kiggundu氏が期待を込めて述べた。
Kiggundu氏は、ウガンダの5歳未満の子どもの52%がビタミンA欠乏に苦しみ、発育不良につながっていると述べた。またこの年齢層の死亡の40%、妊婦の死亡の30%が鉄欠乏性貧血を占めている。 「この遺伝子組み換え技術については賛成と反対のかなりの議論があるが、我々は(GMの商業化)法が最終的に可決されると非常に楽観視している。我々はトップレベルと交渉しており、そこから受けているメッセージは、トップレベルがおそらくこのプロジェクトを支持し、最終的に農業生産者の手に渡る。」と同氏は述べている。

研究プロジェクトは、ウガンダ政府、NARO、ビル&メリッサゲイツ財団と米国国際開発庁(USAID)からの支援を受けている。
原報告は、以下のサイトにある。 http://www.freshfruitportal.com/2012/07/24/new-gm-banana-could-solve-ugandas-nutrition-challenges/.
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国際熱帯農業研究機構(IITA)は、ビタミンA増強トウモロコシをナイジェリアに提供

国際熱帯農業研究機構 (IITA) は、ナイジェリアでビタミンAの前駆体であるベータカロチンを高濃度に含むトウモロコシ2品種を提供した。このことでこの国の数百万人のビタミンA欠乏症の脅威に対抗できる希望を与えた。
第一世代のプロビタミンAが豊富なトウモロコシのハイブリッドは、Ife maizehyb 3とIfe maizehyb 4としてナイジェリア国立品種リリース委員会が2012年7月4日にリリースした。これらはそれぞれ、IITAハイブリッドA0905-28、A0905-32として認定されている。

IITAのトウモロコシ育種家Abebe Menkir博士によると、ハイブリッドは、およそ10年にわたるプロビタミンAのレベルが高いことに的を絞った育種の成果である。また、このトウモロコシ品種は、栄養価が高いだけでなく、収量も高くヘクタールあたり6〜9トン生産できる。ナイジェリアの一般農業生産者ではヘクタールあたりわずか約2トンの生産である。
CGIAR's のプレスリリースは以下のサイトにある。 http://www.cgiar.org/consortium-news/vitamin-a-maize-released-nigeria/.
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南アフリカで遺伝子組み換えトウモロコシの商品許可申請が確認された

南アフリカ農林水産省(DAFF)は、遺伝子組み換え(GM)品種の商品許可申請が終了したことを確認した。この品種は、Dow Agro SciencesからのDAS-40278-9で、2012年5月に承認された。
プレスリリースでは、DAFFは「GMトウモロコシは除草剤2,4 - ジクロロフェノキシ酢酸(一般に2,4-D呼ばれる)に耐性であるように改変されている。この品種は、発現タンパク質(酵素)が2,4-Dを除草剤として不活性の4 - ジクロロフェノール(DCP)に分解する。このことでGMトウモロコシの生産では、除草剤噴霧を行ってもGMトウモロコシは影響を受けないことを意味している。」としている。
メディアの記事では、ベトナム戦争で化学兵器として2、4-Dが使われたことから「エージェント•オレンジトウモロコシ」とコードネームをつけた。しかし、 DAFFは、科学委員会及び理事会による審査で導入形質(2、4-Dを分解する酵素)および由来食品及び飼料の安全性評価を確り確認したと述べた。
DAFF のプレスリリースは以下のサイトにある。 http://allafrica.com/stories/201207260942.html.
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ウイルス抵抗性キャッサバ試験は良い結果だった

キャッサバ褐色条斑ウイルスは、キャッサバ生産における主要な問題の一つである。特にサハラ以南のアフリカでは最重要な作物の生産における主要な問題である。Donald Danforth Plant Science Centerは、ウイルス抵抗性キャッサバの品種を開発するために、遺伝子サイレンシングまたはRNA干渉(RNAi)技術を使用して開発したキャッサバ品種のウガンダでの隔離圃場試験進捗状況を報告した。栽培試験は2010年11月に開始され、2011年11月に収穫した。試験の結果では、RNAiを用いたウイルスの効果的な制御原理が証明された。この試験はウガンダ国立作物資源研究所(NaCRRI)とケニア農業研究所(KARI)とのセンター間協力の一環である。
「ウガンダでは、一日あたりキャッサバを2回または3回食べる。キャッサバの生産性の復活と改善をすることは、国や地域の持続的経済発展にとって重要になるだろう」とTitus Alicai博士(プロジェクト•リーダー、国立作物資源研究所(NaCRRI))が語った。
詳しくは以下のサイトを見てください。 http://www.danforthcenter.org/wordpress/?page_id=395&pid=10522.
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バイオ栄養増強プログラムがウガンダのビタミンA欠乏症を減らした

2007-2009年間のHarvestPlus(栄養と健康のための農業に関する研究(A4NH)についてのCGIARの共同研究プログラムをパートナーと一緒に行い、その成果をオレンジ色のサツマイモとして普及した。この成果をモザンビークとウガンダでの24000世帯に普及し、ビタミンA欠乏症(VAD)が減少するかどうかを検討している。
3年後の結果がJournal of Nutritionに今月発表され、オレンジ色のサツマイモ(OSP)が相当量のビタミンAを栄養失調のウガンダの子供や女性に提供することになり、その結果、測定可能な体内のビタミンAのレベルの向上がいくつかのケースではっきりと示された。
ウガンダでは、子どもの28%、女性の23%がビタミンA欠乏であると推定され、そのリスクが高いと報告されているアフリカの国の一つである。 VADは、免疫不全や失明のみならず死につながるものである。
HarvestPlusに関する報道は、以下のサイトにある。 http://www.harvestplus.org/content/orange-sweet-potato-makes-case-biofortification-works.
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南北アメリカ

洪水耐性ダイズに明るい未来がある

ミシシッピ川のデルタ地帯の農業生産者にとって水稲との輪作に使っているダイズは収量の25パーセントを失う可能性が常にある。しかし、米国農務省農業研究サービスのTara Van Toai氏が率いる科学者たちは、まさにこの問題への解決策を示した。彼らは、米国産ダイズの狭い遺伝的基盤を補完し、湿った土壌や関連疾患への耐性を向上させるために非米国産ダイズ品種からの遺伝子を組み込んで湿地帯耐性とそれに伴う病気に抵抗性のあるように改良を進めた。これは洪水耐性ダイズ開発の可能性を開いたものである。
網室で上位3種の洪水耐性品種を同定した。これらはカンボディア原産のNam Vang;中国原産VND2;オーストラリア原産のATF15-1である。植物体は最も草丈が高く、最大の種子をもち、最も高い収率を生み出した。洪水実験圃場でも同様の結果を得た。

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線虫耐性品種育種のための分子マーカー

分子マーカーを用いて米国農務省の科学者たちは、ワタの二つの重要な害虫に抵抗性、即ちネコブセンチュウと被わ線虫 に対する抵抗性を促進することに成功した。これらのワタの害虫は、100年以上にわたり大混乱を起こしており、育種に当たっては、抵抗性が複数の遺伝子によることとコストと時間がかかるので進歩が遅れていた。
ミシシッピ州の遺伝学および精密農業研究ユニットでは、植物遺伝学者Johnie Jenkins氏らが高地ワタにおけるネコブセンチュウ線虫に対する抵抗性に関与する遺伝子の遺伝子マーカーを開発した。彼らは、遺伝子が染色体11および14であることを解明した。研究者はまた、野生のワタGossypium barbadenseに一つの遺伝子以上に支配される被わ線虫抵抗を発見した。これらの遺伝子に関連するマーカー遺伝子は染色体21および18に位置していた。
原報告は、以下のサイトにある。 http://www.ars.usda.gov/News/docs.htm?docid=1261

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寄生性ツル植物に対抗する植物の機構

カリフォルニア大学デイビス校のNeelima Sinha氏が率いる植物生物学者のチームは、食用作物に影響を与える寄生性ツル植物に対抗するための遺伝子組み換えアプローチを開発した。チームは、寄生性ツル植物に応答して水、糖、その他栄養分を提供するのは、RNA分子であることを同定した。この分子に対応する遺伝子は、活発に分裂している宿主細胞にあり、寄生性ツル植物が入ったジャンクションにあることが分かった。
RNA干渉を利用して、寄生性ツル植物に特異的な領域を同定し、また、短いDNAをこれを使用して作った。タバコにこの短いDNAを入れて寄生性ツル植物の遺伝子と一致するが、宿主とは一致しないRNAを作らせた。
この遺伝子組み換えタバコに生育できるようにしたネナシカズラのツルは、うまくタバコで育たず、また早期開花による高度のストレスを示した。チームはアフリカでこの知見を応用することで、穀物に影響を与える寄生性雑草ストリガの感染を予防したいと考えている。
ニュースは以下のサイトにある。http://news.ucdavis.edu/search/news_detail.lasso?id=10292.
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乾燥耐性トウモロコシが良い結果を出した

改良された乾燥耐性をもつ様々の品種の遺伝子組み換えトウモロコシがいろいろなところで試験中である。DroughtGardハイブリッドトウモロコシが今年強烈な乾燥気象が起こっている西部の大平原で10万エーカー以上の面積でこの春に最初の試験栽培を行った。これまでのところ、試験の結果は、モンサントの研究者によれば逸話になるような良好な結果である。
「我々は、この地域での本当の勝者が見え始めている。」とClay Scott氏が言っている。米国乾燥モニターによると極めて例外的な旱魃がある西部カンザス州に位置する同氏のここの土地を試験用にボランティアとして提供している。同氏はまた「このトウモロコシの結果を心待ちしている。」と付け加えている。
別の乾燥耐性トウモロコシは、DuPont PioneerのAQUAmaxで、先進的な育種技術により開発されたものである。 AQUAmaxは、昨年発売され、従来のハイブリッドに比べてストレス環境下で7%収量が増加したことが報告されている。
乾燥耐性トウモロコシの詳しい報告は以下のサイトにある。 http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=drought-tolerant-corn-trials-show-positive-early-results.
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減耕起でワタ栽培における化石燃料、土壌、労働が保全できた

カリフォルニア大学が出版しているカリフォルニア農業ジャーナルに出版された「ワタ栽培における減耕起システムがSan Joaquin渓谷で進んでいる」と題する研究結果が発表された。ワタをトマトと輪作してしかも減耕起することでコストを低減してもこれまでの栽培法と同じ収穫結果を得たと報告した。

具体的には、2000-2011年にかけて、Five Pointにあるカルフォルニア大学West Side Research and Extension Centerで、被覆作物、ワタ、トマトの輪作体系でのトラクターの運転回数をこれまでの20回から13回にして減耕起とした。減耕起で化石燃料はエーカーあたり、12ガロン、労働時間は2時間減少した。これは2011年にエーカー当たり70USD節約できたことになると報告している。

「カルフォルニア大学の研究では一貫して減耕起でワタ-トマト輪作体系法で従来の標準耕起と同じ収穫が得られる。」と筆頭著者Jeffrey P. Mitchell氏、カリフォルニア大学デービス校植物科学研究科の協同エクステンション専門家は述べている。
詳細は以下のサイトにある。 http://www.universityofcalifornia.edu/news/article/28070.
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多重形質をもつ品種AGRISURE VIPTERATM 3220 E-Z REFUGETMがカナダで承認

Syngenta社の多重形質品種Agrisure Viptera™ 3220 E-Z Refuge™(複数の鱗翅目害虫とアワノメイガの制御の形質をもつ)がカナダの食品検査庁からカナダでの商業栽培の承認を得た。製品には、95%の遺伝子組み換え形質を残りの5%は遺伝子組み換え形質が含まれていないハイブリッドトウモロコシを入れてある。
承認は、2010年と2011年に行われた圃場試験の結果に基づくものである。その試験では、多重形質品種は効果的にオオタバコガを制御できることを実証した。ハイブリッド品種は、2013年の栽培シーズンに向けて数量限定であるが、入手可能である。
詳細は以下のサイトにある。 http://www.syngenta.com/country/ca/en/Media/Pages/SyngentaReceivesRegulatoryApprovalofAgrisureViptera3220.aspx
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アジア・太平洋

オーストラリアの小麦の収量増に向けての共同研究

オーストラリアの連邦科学産業研究機構(CSIRO)とオーストラリア穀物研究開発公社(GRDC)との研究協力がBayer CropScienceの小麦収量に関する研究を契機に形成された。 CSIROが研究を行い、GRDCが資金提供して初期の研究がガラス室で栽培試験され、遺伝子組み換え小麦が30%増収の成功に至った。Bayer社との新たな提携を組み、小麦の開発の次の段階が実施されることになる。
「この技術により、活発な栄養生長、大きな穂、大きな種子を得られる。」とBruce Lee博士(CSIROの未来食品部の部長)が言った。 「もしも圃場で大幅な収量の増加を達成できたら、地球規模での食糧生産に大きなインパクトを与えることになる。」とも述べた。

John Harvey 氏(GRDCマネージングディレクター)は、作物の収量を改善することが穀物栽培者に利益をもたらすだろうと述べた。 「オーストラリアの農業生産者が直面している水の限られた環境下で小麦の収量を増加させることは、GRDCが投資することの極めて大きな推進力である。この収量増加技術は、小麦の生産に重大なインパクトを与える心が踊る発見である。」とも述べた。
詳しい情報は以下のサイトにある。http://www.bayercropscience.com/bcsweb/cropprotection.nsf/id/EN20120730?open&l=EN&ccm=500020.
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イネ研究者は、C4 イネプロジェクトを更新した

イネ科学者は、C4イネプロジェクトの最新情報の提供を行った。このプロジェクトは、国際イネ研究所(IRRI)が主導して世界中のさまざまな研究機関からの科学者が実施しているもので、ここで進行中の研究プログラムの最新情報を提供した。Science誌に発表された論文を通じ、主任研究者は、C4イネ研究がイネの現在の光合成能の限界と収量の頭打ちを突破し、長期的な食料安全保障の実現を支援できるかについて論議した。
論文によると、科学者たちはイネのC4光合成を導入するときに使うべき遺伝子の同定と遺伝子工学操作が、イネにおける大容量の光合成機構、またはC4経路につながるとしている。改良された光合成能力は、収量の増加と水や栄養分のような資源の利用の減少を生むことになる。
これらの高収量イネ品種は世界的な食糧需要を満たすことができるようになり、この研究事業の成功は食糧不足の世界的な問題への解決につながる。
C4 Rice プロジェクトの全文は以下のサイトにある。 http://www.sciencemag.org/content/336/6089/1671.full.
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パキスタンは、ワタ収穫量のこれまでの記録を塗替えた

パキスタンは、これまでの最高のワタ収穫量を記録した2004年の1430万梱を破って2012年には1500万梱になるとされている。今シーズンこれまでにすでに、1460万梱以上の同国ginneries新記録に達している。
パキスタンコットンGinners協会(PCGA)の隔週レポートでPCGA会長Amanullah Qureshi氏は、この素晴らしい記録は承認Btワタ品種の栽培によるものであるとした。到達した数字は、前年の同期のものと比べて26.39%の増加である。
全文は以下のサイトにある。http://www.pabic.com.pk/Pakistan%20to%20beat%20its%20own%20highest%20Cotton%20production%20Record.html
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ヨーロッパ

欧州委員会(EC)主席科学顧問のコメント:遺伝的に改変された生物(GMOs)は相当する従来のものよりもリスクが高くない

遺伝的に改変された生物(GMOs)は、相当する従来のものよりもリスクが高くはないと欧州委員会の主席科学顧問Anne Glover氏がEurActivの独占インタビューで述べた。「ヒトの健康、動物の健康や環境に悪影響を及ぼした事例はない。これはかなり強力な証拠であるので、私は、従来の食品を食べるより遺伝子組み換え食品を食べる方が、より大きなリスクがある訳が無いと言うことに確信をもっている。」とGlover氏が説明した。
主席科学顧問は、科学的証拠が政策決定における強力な役割を果たすことが必要だと付け加えた。「私は、証拠が部分的に使われたなら、なぜそこで証拠を却下したか理由を明らかにする義務があり、どこでそれが行われたかを真に明かす必要があると。」と述べた。Glover氏はまたEUの政策立案に科学的な証拠を強化するために、加盟国の中の個々のチーフ科学アドバイザーのネットワークを構築する可能性を探っているとも述べた。
全体は以下のサイトにある。 http://www.euractiv.com/innovation-enterprise/commission-science-supremo-endor-news-514072?utm_source=EurActiv%20Newsletter&utm_campaign=0fa3855ac8-newsletter_daily_update&utm_medium=email.
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調査によるとGM作物研究への支援が増加している

イギリスThe Independent紙のためにComResが実施した調査によると遺伝子組み換え作物の一般大衆の受容意見が増加している。
政府は農業生産者の農薬使用量を削減するために、遺伝子組み換え作物の研究を可能にするかどうかを回答者に質問した。過半数(64%)が合意し、27%が反対し、9%が未定だった。結果はまた「男女格差」があることを示し、女性は男性よりも遺伝子組み換え作物の試験の実施についてより多くの知識を持っている。しかし、より多くの男性(70%)は、そのような実験は、奨励されるべきであると述べた。一方、女性は、わずか58%が、同じ考え方示した。
いくつかの相違点は、意見及び回答者の年齢、社会階級、または場所の面でもみられる。全体的な所見は、英国での遺伝子組み換え作物の開発に対して緩やかなやり方を研究者に期待し、奨励することで、もっと穏やかに徐々に懐疑的な一般大衆に受容されるようになるとまとめられる。現在のところ、遺伝子組み換え作物は、英国で商業的に栽培されていないが、輸入される商品には、ダイズのようにGM作物を含むものが動物用飼料に使用されている。
原報告は以下のサイトにある。http://www.independent.co.uk/news/uk/politics/dramatic-change-as-twothirds-now-support-gm-crop-testing-7973432.html.
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TEAGASCが遺伝子組み換え疫病耐性ジャガイモの環境影響を調査開始

壊滅的な病気を制御するために疫病耐性の遺伝子組み換えジャガイモを利用する必要性を認識して、アイルランドの政府は最近、アイルランドにおける遺伝子組み換え作物の圃場試験を承認した。これと並行して、環境影響評価も実施する必要があるとしている。ここでは、アイルランドでの遺伝子組み換えジャガイモを栽培することの環境影響と数シーズンにわたって疫病病原体が圃場で遺伝子組み換え品種にどのように応答するかをモニターすることも必要である。
Teagasc研究員Ewen Mullins博士は、以下のように言っている。「我々は、潜在的なコストを考えずにその利点を単純に見ることはない。慎重に管理された条件下でのこの組み換えジャガイモ栽培に伴う長期影響を見る必要がある。疫病がどのようになるかを評価するひつようがある。この実験はアイルランドにのみに科された課題ではなく、全ヨーロッパの課題でもある。」
規制に関する事務処理が完了すると、研究がOak Park, Carlow にあるTeagasc作物研究センターで開始される。チームはまた、実験の開始に合わせて最も関心をもっている人々と包括的で公平な議論を促進するために、利害関係者や、一般市民に向けたアウトリーチ•プログラムを立ち上げる。
より詳しいニュースは以下のサイトにある。http://www.teagasc.ie/news/2012/201207-26a.asp
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GLOVER氏は、遺伝子組み換え食品は、リスクをもたらさないと述べた

遺伝子組み換え作物は従来の作物よりも何の害ももたらさないと欧州委員会主席科学顧問Anne Glover教授が述べた。
「15年以上にわたる世界的な遺伝子組み換え作物の栽培と消費の証拠を見ると、ヒトの健康、動物の健康や環境に悪影響を及ぼした事例はない。これはかなり強力な証拠であるので、私は、従来の食品を食べるより遺伝子組み換え食品を食べる方により大きなリスクがある訳が無いということに確信をもっている。」Glover氏が説明した。同氏はまた大抵の植物は毒であり、調理をして初めて食用になると強調した。従って、同氏は、より緩やかな予防的アプローチがこの技術のために必要であり、それが少ない土地、エネルギー、水で食糧安全保障の課題に対処するために役立てるようになると確信するとした。
Glover 氏は、欧州委員会に入る前はスコットランドの主席科学顧問だった。原報告は以下のサイトにある。 http://www.euractiv.com/node/514084.
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遺伝子組み換え飼料の投与実験としてBTトウモロコシを豚に与えたが問題なかった

アイルランドの農業•食品産業開発庁(Teagasc)の研究者は、Btトウモロコシの短期、中期、長期の給餌試験の結果、豚の成長成績に全く影響がなかったと発表した。研究のハイライトはGMSAFOOD会議報告(オーストリア、ウィーンで、2012年3月6-8日開催の要旨集)に収載されている。Stefan Buzoianu氏と共同研究者が率いる研究チームの結論は:
・妊娠•授乳中の母豚へのBtトウモロコシを給餌することで子豚に成長期を通しての生育の改善があった
・異なる年齢の豚にBtトウモロコシを給餌したが長期間安全だった
・豚にはBtトウモロコシ対するアレルギー反応はなかった。 Bt 毒素と導入遺伝子( cry1Ab )は、腸管外では検出できなかった
詳報は以下のサイトにある。 http://issuu.com/gmsafoodproject/docs/magazinegmsafood_120412_webq?mode=window&backgroundColor=%23222222.
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研究

将来の遺伝子組み換えワタ品種開発のためのワタミ壁特異的プロモーターの同定と解析

市販の遺伝子組み換えワタ品種が活発に抗害虫タンパク質を発現することで害虫から植物を保護している。導入遺伝子の発現をその産物を必要とする組織に限定することで作物の品質を高め、環境への影響を減らすことができると考えられる。そこで、オーストラリアのアデレード大学のDamien Lightfoot氏は、他の科学者と一緒に導入遺伝子の発現をワタのワタミ壁に限定するワタ本来のプロモーター遺伝子を同定した。
ワタミ壁に集中していた6種のmRNAが同定され、そのうち二つの遺伝子プロモーターが同定、単離、そして解析された。

遺伝子GhPRP3とGhCHS1のプロモーターは、一過性形質転換系でレポーター遺伝子のワタミ壁での優先的発現を引き起こすことが判明した。これらのプロモーターのさらなる分析から同定された以前に報告されているシス作用調節因子(CAREs)と3つの新しい共通性のあるCAREsの同定に至った。これらの知見は、次世代の遺伝子組み換え植物の開発に不可欠である。
要旨は以下のサイトにある。 http://www.springerlink.com/content/p27553w87276q6v9/.
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中国の試験でBTワタが非BTワタへのピンクオオタバコガを抑制することがわかった

米国からの以前の報告は、改良した Bacillus thuringiensis (Bt)の害虫抵抗性毒素をもつ遺伝子組み換え作物が近くにある非Bt作物畑における害虫侵入を抑制することを示している。そこで中国農業科学院のPeng Wan氏らは16年分の圃場データを使用してBtワタが「ハロー効果」をピンクオオタバコガ(Pectino gossypiella)に対して示すかをYangtze River Valleyの6県について調査した。
これらの県では、Btワタ栽培面積は2009年の9%からと2010年の94%に増加した。研究チームはBtワタが非Btワタでのピンクオオタバコガを大幅に減少させたことを見出した。つまりBtワタを植えて11年後に、非Btワタでの卵と幼虫がそれぞれ95%、91%の純減少を示した。アメリカタバコガ殺虫剤スプレーも69%削減した。
自由閲覧誌PLosOneは、以下のサイトにある。 http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0042004.
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遺伝子組み換えトマトの遺伝子の流動とマルハナバチの摂食行動への影響

遺伝子組み換え作物栽培に当たっての懸念の一つは、導入遺伝子の環境への流動、と花粉媒介者の機能に与える影響である。遺伝子流動は、それほど広く遺伝子組み換えトマトで検討されていない。イタリア国立新技術研究機関(ENEA)S. Arpaia氏と共同研究者は遺伝子組み換えトマトから交雑可能な植物へ遺伝子流動の可能性と遺伝子組み換えトマトがマルハナバチの動態に与える影響を評価する実験を行った。
モデル系としてCry3Bb1をもつ殺虫剤抵抗性トマトを使用し、遺伝子組み換えトマト系統、近縁野生トマト、非遺伝子組み換えトマト品種の間での人工交配;遺伝子組み換えトマトと非遺伝子組み換えトマト間のマルハナバチ媒介の交雑について実験を行なった。遺伝子組み換えトマトと近縁野生トマトの交雑はなかった。遺伝子組み換えトマト種よりも非遺伝子組み換えトマト受容種を多くした設定では、マルハナバチ媒介の交雑では、4.3±5.47%の交雑があった。研究チームは遺伝子組み換えトマトと非遺伝子組み換え植物でのマルハナバチの摂食行動に有意差を認めなかった。
研究チームの遺伝子組み換えトマトから野生植物への遺伝子流動の確率は無視できる程度であると結論づけ、マルハナバチは遺伝子組み換えトマトと非遺伝子組み換えトマトの間の交雑を仲介することができる。また遺伝子組み換えトマトは、マルハナバチの摂食行動に影響を与えないと結論した。
要旨は以下のサイトにある。 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1744-7348.2012.00559.x/abstract.
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IRRI の科学者がリン効率の良いイネを開発

国際イネ研究所(IRRI)の科学者たちは、大きくて良い根を成長させ、より多くのリンの吸収を助ける遺伝子(PSTOL1)を発見た。リンは、食用作物の生産に重要な栄養素である。従って、食料安全保障を達成し、化学肥料の使用を削減して効率的なリン吸収作物を開発するために必要なことである。
日本国際農林水産業研究センターのMatthyas Wissuwa博士は、従来のイネ品種Kasalathの中のリン欠乏耐性遺伝子(Pup1)に随伴している主要な量的形質遺伝子座にあると同定した。その後、Sigrid Heuer博士主導のIRRI科学者チームと共同で、リン欠乏耐性1(PSTOL1)と命名し、Pup1特異的タンパク質キナーゼ遺伝子であると発見した。
研究チームはまた、リン欠乏土壌にさらされたときに現代のイネ品種におけるPSTOL1の過剰発現で収量を増加できることがわかった。更に分析を実施し、この遺伝子は、生育の初期段階で根の生育を促進し、より多くのリンと他の栄養素を植物に取り込ませることを発見した。
要旨は以下のサイトにある。 http://www.nature.com/nature/journal/v488/n7412/full/nature11346.html またプレスリリースは以下のサイトにある。 http://irri.org/index.php?option=com_k2&view=item&id=12275:underground-solution-to-starving-rice-plants&lang=en.
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文献備忘録

栄養素を増強した遺伝子組み換え飼料作物に関する冊子:POCKET K 41  

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)は、栄養素を強化した遺伝子組み換え飼料作物についての冊子Pocket K第41号を発行した。 2ページの解りやすいダイズ、トウモロコシ、豆類、大麦などの飼料作物に関する冊子で、その栄養素の改質の向けての狙いと改善点を記載している。増強したタンパク質、アミノ酸、改質した脂肪酸、生理活性物質、改質した栄養素、減らした毒素や抗栄養因子などの形質が記載されている。ポケットKまたは知識のポケットは、組み換え遺伝子製品および関連する問題についての手元で利用できる情報をパッケージ化したものである。分かりやすいスタイルで書かれており、簡単に持ち歩きあるいは配布できるようになっている。
Pocket K 41 は、以下のサイトからダウンロードできる。http://www.isaaa.org/resources/publications/pocketk/41/default.asp
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国別遺伝子組み換え作物の現況と動向

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)は、3番目の発展途上国ミャンマー、ブルキナファソ、メキシコ、コロンビア、チリの5カ国について遺伝子組み換え作物の現況と動向をまとめた。このシリーズは、1〜2ページで遺伝子組み換え作物の商業化のハイライトを要約したものである。各国の遺伝子組み換え作物の商業化(栽培面積と導入率)、承認および栽培、利点と将来見通しを簡潔かつ分かりやすく記載しある。内容はすべてISAAA Brief 43(Clive James.著、遺伝子組み換え作物の世界での商品化動向2011)
国別遺伝子組み換え作物の現況と動向は、以下のサイトからダウンロードできるhttp://www.isaaa.org/resources/publications/biotech_country_facts_and_trends/default.asp

GreenInnovationメール2012

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