男子のU23敗退は力負けでした。なでしこには、自分より強いチームと競り勝つ、運と強靱な精神と戦術がありました。卓球の団体も、レスリングも柔道もそうですが、日本男児は今回のオリンピックで国際的に競争力が疑問符のついた種目が目立ちました。女子に比べて恵まれた環境が用意されている場合が多い、日本の体育協会の方針も見直しを迫られるのではないでしょうか?

 あるいは、日本は本来ポリネシア文化圏に属し、女性が働き手であり、社会の担い手であることが暴露されたのか?こう暑いと日本は熱帯圏に属すると主張しても、皆さんのご賛同を得られると確信しています。停滞・低迷する日本を救うのは、まだまだ機会均等を与えられていない女性の躍進にあると、ロンドンオリンピックによってますます確信を深めてしまいました。

 さて、個の医療です。

 2012年8月3日、フランスSanofi社と米Regeneron社が、米国FDAから可溶型VEGF受容体「Zaltrap」(aflibercept)の化学抗がん剤耐性の大腸がんに対する治療薬として認可を得ました。抗VEGF抗体「Avastin」(米Genentech社)の有力なライバルの出現です。

 すでに加齢黄斑変性症の治療薬として米国で発売している「Eylea」とまったく同じ、成分afliberceptが配合されており、1成分2製品名で商品化が進みます。米国では抗VEGF抗体のFc部分を酵素処理で取り除いた製剤「Lucentis」がGenentech社によって商品化が先行しています。実は、AvastinとLucentisでは価格差があり、米国では本来なら大腸がんの治療薬であるAvastinを小分けして、加齢黄斑変性症に処方することが行われており、議論を巻き起こしました。今回のafliberceptではまったく同じ製剤が療法の治療薬として別のブランドで認可されているため、販売価格次第では、Avastin以上の「Zaltrap」の小分けが進む可能性すらあります。Sanofi/Regeneron社の価格政策は極めて注目であると思います。

 今後、抗体医薬や分子標的薬が疾患の概念を越えて適応拡大されていることは避けられません。各疾患毎に商品名が違うが、中身は同じ双子、三つ子の製品が誕生するのです。その結果、疾患によっては投薬量が異なり、当然のことながら薬価が異なる場合が想定されるのです。その際に、院内製剤により、比較薬価の低い商品が用量の違う疾患に適用するために小分けすることを、制約することは、少なくとも米国市場では困難であるのではないかと懸念しています。但し、日本では保険薬価で保証されるため、何も面倒な院内製剤で小分けするインセンティブは低いと思います。

 分子標的薬や抗体医薬が少なくとも米国市場で直面する一物多価の問題にどう対処すべきか? 製薬企業は新たな販売戦略やブランド名以外の製品の差別化戦略を展開せざるを得ないのです。その意味で、ZaltrapがAvastinの轍を踏むかどうか?はとても興味深く、疾患概念を疾患起因別に変えようとしている抗体医薬・分子標的医薬の未来を占う試金石であると考えております。是非ともご注目下さい。

  皆さん、今週もお元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満