こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 ケニアへの出張を予定しており、その準備で渡航者用の予防接種を受けてきました。接種を受けたものの1つに黄熱ワクチンがあります。黄熱病は蚊が媒介する伝染性の疾患で、熱帯アフリカおよび中南米で流行が見られます。病原体の黄熱ウイルスは日本脳炎ウイルスと同じフラビウイルス属のウイルスで、感染すると数日後に発熱し、まれに重症化して黄疸や出血などの症状が現れるといいます。

 黄熱に感染する危険のある国(感染危険国)から黄熱予防接種証明書要求国に入国する際には、黄熱ワクチンの接種を受けたことを証明するイエローカードの掲示が求められます。ケニアは証明書要求国ですが、日本が感染危険国ではないので、本来はイエローカードは必要ないのですが、ケニア自体が感染危険国であることや、帰国時の経由国が決まっていなかったことなどを考え、今回、予防接種を受けることにしました。

 予防接種を受けるために、渡航者用の予防接種外来なるものに初めて行ったのですが、インフォームドコンセントがしっかりしている点など、普段、医療機関を受診しているのとはずいぶん雰囲気が違って新鮮な思いをしました。コンサルテーションを受けて、黄熱以外にも幾つかの予防接種を受けることにしたのですが、母子手帳が手元にないこともあって自分が過去にどんな予防接種を受けていて、どのような疾患の免疫を持っているのか分からないまま検討せざるを得ませんでした。予防接種の記録と感染症の罹患歴とをデータベースなどに記録して確認できるようにするか、個々の疾患に対する抗体価を簡単に測定できればいいように思いました。今回はたまたま黄熱ワクチンの接種を受ける目的があって予防接種外来に行ったのですが、例えば健康診断や人間ドックを受けた際に予防接種が存在する疾患に関して抗体価の検査を行い、予防接種のコンサルテーションをするようなシステムがあってもいいかもしれません。大人用のワクチンも含めて日本国内でも使えるワクチンが徐々に増え、予防医療に対する認識も深まりつつあることを思うと、人間ドックのオプションサービスで、感染症の抗体価検査と予防接種を取り入れるというのはなかなかいいアイデアだと思いますがいかがでしょうか。通常の保険診療の医療機関にワクチンを持ち込むとどうしても高額さが目立ちますが、人間ドックのオプションとしてであれば1万円前後の価格でも受け入れられるように思います。いずれにしても、国民がワクチンで予防できる疾患に対する知識を十分に得て、予防接種のリスクとベネフィットをじっくり考えることのできる“場”を用意することが、日本のワクチン関係者にとって次の課題だと思います。

 ところで、先日、高度医療と先進医療の一本化の話を取材してきました。私は先進医療専門家会議の後に直接事務局の担当者から話を聞いたので、月曜日の日経バイオテクONLINEメールに書かれていたのとは少し状況が違うのですが、もしかすると会議終了後に、担当部局間で調整がなされたということかもしれません。制度の一本化の内容については日経バイオテクONLINEに記事をまとめたので、そちらでお読みください。

厚労省、先進医療と高度医療の制度を一本化へ、未承認・適応外の医薬品・医療機器の実用化を加速
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120720/162249/

 私が注目したのは、未承認・適応外の医薬品・医療機器を用いる先進医療Bの一部については、先進医療会議に設置する先進医療技術審査部会ではなく、外部機関で評価するという点です。これまで厚労省の高度医療評価会議を何度か傍聴したことがありますが、月に1度開催される会議で書類の不備や記述内容に不明な点があると審議は次回に送られ、スピードが上がりません。また、臨床研究が適切に行われるようにするためにはレギュラトリーサイエンスの考え方やノウハウを普及させる必要があり、外部機関で有効性、安全性の審査を行えるようにするというのはその観点からもいいことだと思います。もちろん審査がお手盛りになってはいけませんし、厚労省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)と評価のスタンスが異なるようでは医薬品・医療機器の承認に結びついては行かないので、一貫性が図られるように厚労省、PMDAも外部機関での審査にきちっと関与していくようにする必要があるように思います。厚労省は、まず2013年度に抗がん剤の分野で外部審査機関を公募する考えで、具体的にどのように運用されていくのかはこれから見守っていく必要があります。いずれにしても、医療イノベーションの適切な進展につながることを期待しています。

 本日はこのあたりで失礼します。

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                    日経バイオテク編集長 橋本宗明